午後9時過ぎ、若い女性の声で電話が掛かる
「もしもし、ナカシマと言いますが、○○君(長男の名前)、いますか?」
長男は県外の大学に行っているから家にはいない
そのことを知らない女性からである

当然のごとく、「どちらのナカシマさんですか?」と聞く
向こうは、「○○君、いますか」と繰り返す
こちらは再び「どちらのナカシマさんですか」と尋ねる
すると、「いるかいないかだけ言ってください」と、関西弁なまりで怒って電話を切る
瞬間、こんな女の子を育てた親の顔が見たい、と思ってしまう
自分のやることは正しくて、それに従わない人は悪い
匿名性を利用した、そんないびつな人間に育てた親を知りたい

かつて、不審電話は長女のところによく掛かってきた
やはり、長女は実家にはいないのに、そのことを知らない男からである
ようやく長女への電話が掛からなくなったら、今度は長男である
いったい、何なんだろう

いつぞやは、長男を女性と勘違いして、名前の読み方を誤って掛けてきた男性もいた
いかにも親しそうに、である
だから、思わず笑ってしまう
親しい人間なら間違わないことを間違えている

NTTには、番号非通知の電話からの通話を拒否するサービスがある
だが、これとて電話帳に記載してあるサービス案内を見る限り、携帯電話からの通話はつながるようだ
これでは意味がない

迷惑電話を受けるのは面倒である
文句を言われて一方的に切られるのも、すこぶる後味が悪い

かつて、日本は性善説で考えてもいい人たちばかりだったような気がする
いまや、性悪説でないと防御できない
裁判でも、かつては「罪を憎んで人を憎まず」と言った
ところが、「人と思えない人」が増えてきた
明らかに、社会が後退している