

下界の四川盆地をすっぽりと覆った霧を抜けると真っ青な空が広がり、実に気持ちがいい。遠くには、雪を被った峰々が見える。高山だけに酸素が薄くて軽い頭痛がするが、あまりにも広大で爽やかな景色が、頭痛を吹き飛ばしてくれるかのようだ。この山頂に立つには、バスで二五〇〇檀婉瓩泙任燭匹蠅弔い董∈埜紊慮沺察鮫辰魯蹇璽廛Ε─爾任△襦あっけないくらいで、誰でも楽に登ることができる。
中国人の観光客も多く、お寺の伽藍の前には、ピンク色の紙で巻かれた長さ八〇造呂△蹐Δという巨大な線香がいくつも煙をあげていた。もともと日本に仏教を伝えた国である。共産圏とはいえ信仰心は消えないものである。なぜだか近くに金色をした巨大な錠前のモニュメントがあり、その周囲とお寺に至るまでの上り坂の手すりには小さな錠前が無数に結び付けてあった。縁結びのおまじないなのだろうか。縁起をかつぐところなども日本とよく似ている。
それはともかく、蛾眉山に着く前、案内してくれた中国人の女性ガイドの話が面白かった。中国の一人っ子政策のことである。一人っ子同士が結婚するから、年寄りの面倒を見ることが難しくなってきたという、一般的な少子高齢化の問題ではない。都会の中堅層では、子供が家の中でインターネットをしているため、外で遊ぶことが少なくなったというのである。「人間と人間が接することができなくなっている」と、このガイドは表現した。