日銀の福井総裁が村上ファンドへの投資で、連日窮地に立たされてい
る。最初にこのニュースを聞いたとき、これで辞任だなと思った。イン
サイダー取引で司直の手が入った村上ファンドへの投資だから言ってい
るのではない。どれだけ理屈をこねようが、通貨当局者が投資をしてい
たのでは国民の理解を得られるわけがない。まさに、発展途上国でよく
あるスキャンダルを見るようである。

 総裁就任時に解約しなかったのが判断ミスであるわけだが、いまや、
ミスでは済まされなくなった。これだけ世間の指弾を浴びても、「職責
を全うする」と辞任を否定し、事態はいっそう悪化したからだ。さらに
小泉首相ら閣僚も福井総裁を守る発言を繰り返している。福井総裁は、
「首相に深く感謝している」と述べたそうだ。

 かつて習った日銀の役割は、政府からの圧力にも屈せず、独立して政
策判断をするというものだったと記憶している。つまり、一国の経済を
発展させるためには、ときの政府の思惑などに左右されずに、純粋な判
断が必要だからだ。それが資本主義社会における中央銀行の役割である。
なのに、「首相に借りをつくった」のでは、日銀総裁の資格は喪失した
と言っても過言ではない。

 人は自分のことが一番見えない。たぶん、福井総裁にしても「服務規
程に違反しているわけではない。第一、儲けるつもりがなかったし、利
益が出たら自分のためには遣わないとこれだけ言っているのに、なぜ分
からないのか。自分が職責を全うすることが日本経済のためだ」という
思いがあるかもしれない。

 しかし、客観的に見れば続投の目はない。どれだけ儲かったか具体的
な数字が出てくれば、さらに批判の大合唱が始まるだろう。晩節を汚す
前に身を引くのが利口だと思うが、さて……