

さて、いよいよ、「十二番札所・焼山寺(しょうさんじ)」だ。前に述べた阿波の難所の一つであり、個人的にも歩き遍路にとっては四国八十八カ所最大の難関だと思う。
今回はフュージョンだから楽に行けるだろうが、歩きで山に入ると、急な山道を上ったり下ったりで著しく体力を消耗させるところだ。うっそうとした森で薄暗い。行程は長く、歩いても歩いても到着しない。疲れてダウンしても携帯電話はつながらないし、真夏のオフシーズンでは出会う遍路もまずいない。普通は五時間と言われるが、ボクは足が悪いこともあり汗だくで七時間掛かった。標高は七〇〇メートルだが、累積標高差は一一〇〇メートルあるという。まさに「遍路ころがし」の名の通りである。
まずは県道二一号線を鮎喰川に沿ってさかのぼっていく。その後はいくつかのルートがあるが、とりあえずは県道をそのまま走ることにする。暑さは一層ひどくなったが、信号待ちで停車することもないので何とかなる。山の中の快適な道を走っているのはなんとも言えず、気持ちのいいものだ。
途中の「道の駅・神山」で休息したが、再び乗車するときにシートがやけどしそうなくらい熱くなっていて、まいった。またまた尻上げを時々しながらの走行である。役場を過ぎて間もなく看板にしたがって右折。県道四三号線に入る。しばらくは快適だったが、急に山道へと変化する。
山の中だと人がいないから、道を聞きようがない。ところどころ、「焼山寺↑」などの看板があるから迷わずに来たが、途中で「工事中、迂回路」の看板があり、そこから不安になってきた。さらに先を行くと道が二股に分かれていた。看板はなかったが、幸い、工事に来ていた人たちがいる。「こっちだよ」と、教えてもらい、事なきを得た。とにかく、「人の顔を見たら聞け」である。
ようやく駐車場に到着した。こんな山の中にしてはとても広い駐車場だ。白線で仕切ったスペースがずらりと並び、地図看板も設置してある。しかし、オフシーズンだけに、がらがらだ。あとは参道まで歩いて行く。ここまで来て、初めて見覚えのある風景となった。歩きの道と合流したのである。石段を上れば境内が広がる。巨大な杉の木がめぐりを覆い、まさに深山幽谷のお寺の雰囲気を漂わせている。(つづく)