恒例の人口動態統計が発表されて、2005年の合計特殊出生率は1.25となった。一人の女性が生涯に生む子供の数の推計である。要は4人の母親(父親も入れると8人)が計5人の子供しか生まないということだ。当然のことながら、どんどん人口は減っていく。
 地球規模では人口爆発によって、増え続ける人間を食べさせていけるのかということが問題になっているから皮肉なものだ。

 結婚しないか、遅く結婚する。生んでも一人、もしくは生まない。経済格差が影響しているのは確かだろうが、昔は貧乏でも子供はたくさん生んだ。今は豊かな家庭でも子供は少ない。つまり、人生の考え方が多様化したということのほうが、要因としては大きいのだろう。

 半面、子沢山の家庭もある。特にテレビは子沢山で戦争のような毎日を送っている家庭を時々取り上げる。視聴者に何を訴えたいのかよく分からないが、視聴率は高いようだ。人ごとなら見ていて面白いのだろう。

 結婚難の時代でもある。これも価値観がずいぶんと変わったためだが、男と女ではやや考え方が違うようだ。一般的に男は結婚したがるが、女性はそうでもないような気がする。

 もともと、生命体としてのオスには自分の遺伝子を数多く残そうとするプログラムがDNAに書き込まれているという。これに対して、メスはいい遺伝子を選択しようとするプログラムが書き込まれている。動物の世界ではオス同士がけんかして、勝ったほうのオスがメスを獲得できるのも種の生き残りのため少しでも強い遺伝子を求めるからという。
 人間には理性も感情もあるから話は別だが、根っこのところでは、このプログラムに支配されていると言っていい。

 生命体としては、男は女より弱い。平均寿命を見ても分かるとおりだ。いや、かつては成人するまでの死亡率も高かった。そこで自然界は女100に対して、男は105の割合で生まれるようにしてきた。これでバランスを保ったわけだ。ところが、医学の発達で男児の死亡率が改善された。すると、男が余ってくる。これも結婚難に拍車を掛けている。
 たぶん、遠い将来は男女どちらも100に生まれるのかもしれない。それが自然界の摂理のような気がするのだ。

 そして、現在の人口動態が続けば、将来の地球は中国人やインド人などアジアの人々が大半を占め、欧米人や日本人、韓国人がほとんどいなくなるということになるのだが、これまた自然界はうまくバランスを取って、そうならないような気もする。

 問題なのは、それまで待っていられないというだけのことである。政府は少子化対策に躍起だが、生み育てやすい環境が整えられ、仮に子供一人当たり数百万円とかの育児資金が支給されても、効果は限定的だろう。少子化対策だけではなく、少子化時代を生き抜く施策が必要なのである。