


今朝も早くから暑い。バイキングの朝食をとって支度をし、すぐに地下駐車場から地上に出る。日焼け防止の完全防備なのだが、顔は鼻を中心にすでに赤黒い。昨日、風呂に入ったら腕カバーしていても、足よりはるかに日焼けしている。もう旅に出てから一〇日目である。
きょうは、まず五つのお寺が近くに固まっているので、あわただしいスタートとなるはずだ。徳島市内は朝の通勤ラッシュである。まず、国道一九二号線を西に向かって進む。右折して県道一号線、さらに左折して県道三〇号線に入って鮎喰川を渡ると、「十七番札所・井戸寺(いどじ)」がある。朱塗りの仁王門前にフュージョンを停めた。スクーターと組み合わせた風景がなぜかなじんでいて美しい。
この門、どっしりとして豪壮な感じがすると思えば、阿波藩城主の蜂須賀家が寄進したもので、武家造りなのである。井戸寺の名前は、弘法大師が錫杖を突いて、清水が湧き出た伝説から来ている。境内の中にその「面影の井戸」がある。朝が早いこともあってか、まだお遍路さんの姿はない。記念に門前で写真を撮って、早々に出発する。どうも気が短くていけない。本当はゆっくりとたたずまいを楽しむべきなのだろう。
次の「十六番札所・観音寺(かんおんじ)」は、三キロも離れていない。南下して国道一九二号線に入り、一つ奥まった町の狭い通り沿いにある。小さなお寺だが、町の人がいつでも訪れることの出来る古刹だ。道路の向かいの小さな駐車場に停めて、鐘楼門をくぐると目の前が本堂。まるで歩かなくていい。大きなお寺も感動するが、こういうお寺も親しみやすくていいものだ。般若心経をあげるが、心地よい。
続いては「十五番札所・国分寺(こくぶんじ)」。こちらも二キロほどで到着する。近くまで来てから、民家の軒先で、植木を手入れしていた人に道を聞いて、すぐに分かった。
何度も国分寺という名前のお寺が出てくるが、すべて聖武天皇が天下泰平を祈願して全国に建立したものである。全部で六六あるが、ここは阿波の国分寺というわけだ。どこもだいたい規模が大きく、昔の栄華を感じさせてくれる。
ここも昔は七重塔があったという。戦火に遭って江戸時代に再興されたのだが、その伽藍の配置を見ていてもなぜか整然とした印象を受ける。歴史的な背景とは不思議なものだ。今は住宅街のなかにあるのも不思議である。(つづく)