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 展望台はごみ捨て場

「二十五番札所・津照寺(しんしょうじ)」は、五キロほど先である。室戸市の中心部にあるお寺だ。目の前に漁港がある。門前にフュージョンを停めて、一二四段ある急な石段を上がる。途中には仁王像のある朱塗りの鐘楼門があり、いかにも南国の風情をかもし出している。

 石段を上っているときから、セミの合唱がすさまじい。「ワンワン」とか「ギャアギャア」とさえ聞こえる。近所の子供たちが捕虫網を持って遊びに来ているが、鳴き止む気配はない。それにしても町の中なのに石段を上り詰めると眼下に海が広がり、先ほどの行当岬なども目に入る。こんな素晴らしいロケーションがあるのは、うらやましい限りだ。

 お経をあげていると、汗がじっとりとにじんできた。早くフュージョンに乗って風を切りたい。そんな気分で石段を下りてきた。走り始めてすぐ、国道沿いにある室戸岬水産高校が目に入る。校舎の前に棕櫚の大木だろうか、何本も植えてあるのが北国から来た者にとっては珍しい。道はもう一直線だ。

 海を右手に見て走ると、間もなく突端である。最御崎寺は、急な斜面に張り出して造られた立派な道路を駆け上がっていく。あっという間に、海と細長い町並みが眼下に広がった。
 上り詰めて、いったんは駐車場に停めたが、展望台まで二キロという看板が目に入った。そこで海を眺めてからお参りしようと、再びエンジンを掛ける。道は快適だ。

 ところが行き過ぎた。展望台の入り口の看板がなかったためである。気付いて戻ったが、いったいこれは何ということだろう。コンクリート造りの展望台は荒れ果てて、廃墟になっている。周囲にはテレビや冷蔵庫、洗濯機などさまざまな粗大ごみが捨てられている。利用が少なかったから廃墟になったのだろうか。それで、ごみを不法投棄するものが相次いだのか。とにかく、がっかりである。

 そんなごみ捨て場に長居は出来ない。海をのぞいて見ることもなく、直ちにUターンして元の駐車場に戻った。複雑な気持ちだった。室戸岬と言えば、行ったことはなくても多くの人が知っている。それが、この有様だったからだ。(つづく)