イメージ 1

 シーサイドラインから一気に山へ

「二十八番札所・大日寺(だいにちじ)」は、ブドウ園のそばを通り、へんろ石饅頭の店の四つ角を左折してJR土讃線と並行して行く。風景は違うが、なぜか故郷の道を走っている気分になる。土佐山田の駅前を右折すれば、物部川を渡って間もなくだ。

 大日寺は、日本三大鍾乳洞の一つと言われる龍河洞の近くにある。龍河洞は学生時代に一人旅で訪れたことがある。もう30数年前のことだ。今回は遍路ツーリングだから立ち寄らない。ただ、月日の長さや短さを思い、心を馳せただけである。
 落ち着いた感じのお寺だけに静かにお参りをし、本堂と大師堂で般若心経をあげた。そろそろ、今夜の宿の手配でもするかと、境内で携帯電話を取り出し、奈半利の町にあるビジネスホテルを予約した。またもや温泉付きである。今回の旅は実に温泉に恵まれている。

 宿も決まったことだし、ここから先はまた長い距離を走らないとならない。「二十七番札所・神峯寺(こうのみねじ)」は約四〇キロ先だ。歩きなら一日以上かかるところである。まずは国道五五号線に出て、香我美町から夜須町に入る。やしの木がある道の駅「やす」でトイレを借りて一服したあと、再び乗車。
 南国の海沿いの快適な道路が延々と続く。土佐くろしお鉄道ごめんなはり線も並行していて右に見えたり左に見えたりする。こちらの鉄道も単線だが高架になっている。安芸市に入って中心部でやや信号待ちなどあるが、あとは室戸岬へ向けてのシーサイドラインだ。

 神峯寺へは、左折して山に向かうことになる。急に道は狭くなり、勾配もきつい。フュージョンを右に左に寝かせながら駆け上がる。ところどころに歩き用の遍路道の入り口がある。藪の中に入っていくような感じだが、ほんの短い区間でまた車道に出る。単にヘアピンカーブを短縮する直登ルートに過ぎない。

 そんな入り口をいくつか見ながら走ると、どうにか標高四三〇メートルのお寺に到着した。ほっと一息だ。山門前までフュージョンを入れたが、あまり停めるスペースもなかったから、やはり駐車場に入れるべきだったのだろう
 境内には小さな団体さんがいた。帰り支度をしながら見ていると宮崎ナンバーのワゴン車二台に分乗しての巡拝だった。もともとこの山道は大型バスが入れない。遠くからバスで来ても、地元のジャンボタクシーに乗り換えしなくてはならない。それほど道幅も狭ければ急勾配でもある。(つづく)