

さらに雨は激しくなり、内海中学校前の木の下で雨具のズボンを履いた。フュージョンは旧御荘町に入り、標識に従って迷うことなく「四十番札所・観自在寺(かんじざいじ)」に着いた。この町は観自在寺の門前町として発展しただけに、今も残る古い家並みにそうした風情を感じることが出来る。まさに歴史の重みというものだろう。
駐車場の大きな看板があったので、何気なくここに停めた。ほかには一台も停まっていない。雨が激しいためヘルメットは被ったまま、雨具も着たまま歩き出した。矢印にしたがって、人しか通れない狭い道をどんどん行く。途中で「しまった」と思った。確かに観自在寺は町の中だし、遠くに駐車場を設置しなくてはならないとの先入観が働きすぎていた。
案の定、遠い。それからいくつかの駐車場と、スクーターなら停められる場所があった。ずぶ濡れである。いや、雨具を着ているから構わないのだが、経本やローソクが入った頭陀袋が濡れる。最後の駐車場は門前にあった。
いつもなら、山門ぎりぎりまでフュージョンで行くのに、なぜか大きな看板に吸い寄せられた。いや、歩くのは構わない。土砂降りであったから、ちょっぴり後悔したのである。
境内に入って、本堂までその格好のまま行った。軒下で雨が掛からないところで、ようやくヘルメットを脱いだ。大師堂も同じようにお参りをしていると、急に小降りになってきた。
お参りを終えて駐車場まで戻ると、どうやらここは団体さんの大型観光バス専用の駐場場であったことが分かった。まあ、頭陀袋も中までは濡れなかったのだから、よしとしよう。
国道五六号線に戻り、旧城辺町の二つのトンネルを抜けると、すぐに旧一本松町である。すっかり、雨上がりの快適なツーリングに戻っていた。間もなく愛媛・高知県境に着く。道路標識に「ぜひまた愛媛へ」と大きく書いてある。いい表示である。この看板の下にはバス停と休憩所があり、少し休ませてもらう。バス停の名称が「県界」という。あまりにもずばりである。
ツーリング巡礼も、三番目の高知県に入った。土佐の入り口は宿毛市だ。フュージョンは快適に走り、土佐くろしお鉄道宿毛線の高架橋が見え始めた。この路線は単線だが、ずっと高架になっているのが目を引く。すぐ近くには電車が駅舎に突っ込んだ高架となっている宿毛駅があるはずだ。心の中で今後の無事故を祈るしかなかった。(つづく)