絵のような内海
朝食を食べてから、午前七時四〇分に出発した。歩きだと夏場は暑くなる前に出発するから、時には五時に出たこともある。しかし、今度の旅はゆっくりできる。自転車置き場でフュージョンに荷物を積んでいると、ぽつぽつと雨が落ちてきた。
仕方なく、トランクから雨具の上着だけを取り出し、着てからスタートした。宇和島の中心部を標識にしたがって進むが、何度も右に左にと曲がり、実にややこしい。遠回りのような気もするが、下手に解釈して進むより、標識のほうが確実だ。国道五六号線は次第に山間部に入って行く。
雨脚はどんどん強くなった。走行中はスクリーンで防御されているにもかかわらず、白装束のズボンにも水滴が付くようになる。ヘルメットや雨具から滴り落ちるのだ。松尾トンネル(全長一七一〇メートル)を抜けると、津島町に入る。雨模様とはいえ、ここの岩松川の川沿いを走るルートは風情があって、心ひかれるものがある。
間もなく海が見えるところに出た。
美しい。実に美しい。深い藍色と灰色を混ぜたような色合いだが、波は全くなく、湖のようだ。湖と違うのは、養殖いかだや島が浮かんでいることである。すでに内海村に入っていた。
名前の通り、内海である。穏やかで心が洗われる。沿道には椰子の木も植えられていて、何か別世界だ。
いや、待った。すでに内海村という名称はない。合併に伴い、「愛南町」になっているのだ。二〇〇四年一〇月に近隣の御荘町、城辺町、一本松町、西海町が一緒になった。
平成の大合併の嵐は四国の各地に及んでいるのだ。だが、合併はともかく、それぞれの地名は歴史的にちゃんと理由があって付いていたわけだし、それを捨てることについてはいささかの疑問がある。単なる記号・符号の類ではないからだ。(つづく)
朝食を食べてから、午前七時四〇分に出発した。歩きだと夏場は暑くなる前に出発するから、時には五時に出たこともある。しかし、今度の旅はゆっくりできる。自転車置き場でフュージョンに荷物を積んでいると、ぽつぽつと雨が落ちてきた。
仕方なく、トランクから雨具の上着だけを取り出し、着てからスタートした。宇和島の中心部を標識にしたがって進むが、何度も右に左にと曲がり、実にややこしい。遠回りのような気もするが、下手に解釈して進むより、標識のほうが確実だ。国道五六号線は次第に山間部に入って行く。
雨脚はどんどん強くなった。走行中はスクリーンで防御されているにもかかわらず、白装束のズボンにも水滴が付くようになる。ヘルメットや雨具から滴り落ちるのだ。松尾トンネル(全長一七一〇メートル)を抜けると、津島町に入る。雨模様とはいえ、ここの岩松川の川沿いを走るルートは風情があって、心ひかれるものがある。
間もなく海が見えるところに出た。
美しい。実に美しい。深い藍色と灰色を混ぜたような色合いだが、波は全くなく、湖のようだ。湖と違うのは、養殖いかだや島が浮かんでいることである。すでに内海村に入っていた。
名前の通り、内海である。穏やかで心が洗われる。沿道には椰子の木も植えられていて、何か別世界だ。
いや、待った。すでに内海村という名称はない。合併に伴い、「愛南町」になっているのだ。二〇〇四年一〇月に近隣の御荘町、城辺町、一本松町、西海町が一緒になった。
平成の大合併の嵐は四国の各地に及んでいるのだ。だが、合併はともかく、それぞれの地名は歴史的にちゃんと理由があって付いていたわけだし、それを捨てることについてはいささかの疑問がある。単なる記号・符号の類ではないからだ。(つづく)