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 逆転の発想という言葉がある。ロケット工学で日本の技術の基礎をつくった糸川英雄教授の本にも、確か、そういうタイトルがあったはずだ。
 物事を違った角度から見ると、今まで見えなかったことがいろいろと見えてくるという。それに伴って考え方も変わってくる。鳥の目、アリの目、上下左右、裏側に回ることは大事なのだろう。

 大陸から見た日本列島の地図がある。富山県が平成6年に国土地理院の承認を得て作った。上が北ではなくて、南東が上に表示してある。となると、大陸が下にあり、そこから朝鮮半島が上に向かって突き出して見える。日本列島は日本海を挟んで上に弧を描く。それもサハリンから台湾まで点々と大陸を覆うような形に見える。

 かつて明治新政府が、国の基盤を確立するために外国人を招いて教えを請うた。そのうちの一人でアメリカ人・リゼンドルが「日本は樺太から台湾まで領有し、大陸を半月形に包囲すべき」と進言したという。この発言は、後々の戦争にまで至るきっかけの一つと言えなくもない。要はアメリカからすると、大陸との間に防波堤を設けたかったのだろうか。

 いま、日本海は穏やかな平和の海として存在すべきだと、さまざまな観点から見直しが進められている。富山県が企画した「日本海学新世紀」というシリーズ本は歴史から文化・文明、地理学、生物学など、あらゆる観点からアプローチしている。大学の先生20数人がそれぞれ専門分野を生かして、一般向けに書いた本で、その第6集「海の力」が、角川書店から来月上旬に発売される。

 末尾に掲載されている「蜃気楼のその先に」と題する小文は、私が執筆した。幼いころから日本海を見続けた思いや12年前にロシア・ウラジオストクを訪れたときのことをメーンにして書いたエッセイである。興味のある人は、書店で手に取っていただきたい。