
山から下りると、一変して街中である。白峯中学のところを左折して上民部と書かれた交差点を右折する。JR線をまたぐ国道一一号線の跨線橋を渡らずに、直前で下りて行き、県道三三号線に入ってすぐに左折。これで「七十九番札所・高照院(こうしょういん)」に着く。
正式には「天皇寺(てんのうじ)」という。高照院は通称だそうだ。前回来たときは、まず鳥居が目に入り白峰宮という神社があるので、間違えたかと驚いた。ところが、これまた神仏習合のためで、境内にはちゃんと高照院があるのだ。山門はなく赤い鳥居が入り口である。
県道三三号線に戻って、「七十八番札所・郷照寺(ごうしょうじ)」を目指す。
坂出の町を通過するとき、あえてサティの近くの商店街を通った。前年、てくてくと歩いていたら、店主のおばちゃんに「お接待するから、ちょっと寄って」と言われ、店に行ったら冷えたドリンクとお線香を手渡された。おばちゃんの友達もティッシュにお金を包んで渡してくれた。すっかり話し込んでしまい、疲れきっていたボクに勇気を与えてくれた店だ。
だからこそ、一言お礼を言いたかったのである。しかし、ゆっくり通ってみてもそれらしき店が分からない。Uターンしてもう一度通ったが同じだ。場所を間違えているのだろうか。やむを得ず、そこをあとにして先へ進む。ひどく心残りだが、仕方がない。心の中で「ありがとうございました」と手を合わせた。
天気はいい。いや、暑くてたまらない。走っているときはまあまあだが、信号待ちでは汗がにじんでくる。そんな道でも、ニヤッとさせられることは多い。ガソリンスタンドの看板に「うどんはこし くるまはつや」というのがあった。洗車を促すキャッチコピーだが、讃岐うどんに引っ掛けている。こういうローカルな看板は実に楽しい。
郷照寺は、高照院から六キロほど。標高二五メートルとわずかに高台だが、鐘楼(しょうろう)の向こうに、宇多津の街並みや瀬戸大橋が見える。古いものと新しいものが混在し、微妙なバランスをとっている。ゆっくりしたいところだが、なにしろ暑い。人もいないし、お参りを済ませると、早々にエンジンを掛けた。
フュージョンは丸亀市に入る。ビルが建ち並び、都会的な雰囲気だ。アーケードに覆われた繁華街もある。地図を見てもホテルや旅館が林立している。城下町として栄えた歴史が今に息づいているのだろう。
中心部を越えると、県道三三号線は県道二一号線となり、「七十七番札所・道隆寺(どうりゅうじ)」に着く。郷照寺からは七キロあまり。ここも人けがない。境内にずらりと並ぶ観音像を眺めただけだった。
(つづく)