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 絶景ポイント
 続いて、「八十一番札所・白峯寺(しろみねじ)」である。いったん三叉路まで戻って、そのまま真っ直ぐ行く。県道一八〇号線だ。やや上ったり下ったりを繰り返し、最後は標高一〇〇メートルほど下って到着する。根香寺から八キロあまりだろうか。なにはともあれ、車道だと、こうも楽に行けるのかと痛感する。前年は白峯寺から根香寺まで遍路道を歩いた。山の中の道である。

 車道を少し外れるだけで、山というのは実に厳しい。ぜいぜいと息を吐き、汗だくになって上がったり下りたりを繰り返す。人が誰もいないどころか、鳥の鳴き声以外物音もしない。ヘビも怖い。たしか二時間ほどをかけてたどり着いた記憶がある。
 見覚えのあるのは、自衛隊の演習場があることぐらいである。歩きのときも、そのエリアを迂回する形で山道があった。
 白峯寺の駐車場から、根香寺へ向かう遍路道の入り口が見える。なんとなく薄暗い山道。それを見ると、記憶が鮮やかによみがえるのだ。「よくも歩いたよな」。感慨ひとしおである。
 境内に入って左のほうへ行くと石段があり、その上が本堂と大師堂だ。十三重塔もあり源頼朝が建てたという。天気晴朗、さわやかなお参りだ。

 駐車場でベンチに腰を下ろして一服していると、広島ナンバーの車で来た夫婦遍路らしき二人連れのうち、男性が私の左横にある地図看板をずっと見ている。道が分かりにくいのかと思って声を掛けた。
「次は根香寺さんですか?」
「そうです」
「その地図の赤の線ですよ」
 山の中とはいえ、道は何本もある。ただ、根香寺へは赤の線でちゃんとルートが書いてあるのだ。
「あー。そうかあ」。すぐに分かったらしい。
「近いですよ。七キロぐらい。途中に看板もありますから間違えませんよ」
「ありがとうございます」と言って走り去った。
 こっちもよく道に迷うが、知っているところは積極的に教える。当たり前のことだが、これも遍路の務めのようなものだ。

 八十番は昨日のうちに打ったので、山道を西へ下る。途中で見晴らしのいいポイントがあったので、写真を撮った。遠く眼下に坂出の街並みや真っ白な瀬戸大橋が見える。天気はいいし、気分は最高だ。フュージョンも喜んでいるように見えてしまう。(つづく)