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 二つの大橋
 午前一一時四〇分。若狭自動車道の入り口に着いた。正午には舞鶴パーキングに到着し、京都府入りである。トラックと乗用車が一台ずつしかいない。静かだ。木のベンチに寝転がってみた。休養こそ長旅を完遂させる一番の決め手である。いや、体よりもスロットルを握る右手がだるくて仕方がない。ずっと同じ姿勢を強いられているので、ぶらぶらさせてほぐしてやる。急ぐ旅ではない。

「西紀サービスエリア」で、牛丼とクリームソーダを胃袋に入れ、フュージョンにもガス補給だ。南条サービスエリアに続いて本日二回目の給油である。このフュージョンは早めにエンプティーを指す。燃料計が古いだけに、フロートが沈みがちになっているのかもしれない。
 このときは、まだ少しは残っているのが分かっていたが、五・七八リットルしか入らない。南条では六・一五リットルだった。一二リットルタンクなのに、実に面倒なことだ。もちろん、満タンごとにトリップメーターをゼロに戻すから、それを見て判断すればいいのだが、どうも気分は落ち着かない。赤いランプがつくとどうしても補給してしまう。
 このサービスエリアで、近辺の高速道路を網羅したパンフレットをもらってきていた。ここからが、道がややこしいからだ。

 西川ジャンクションで中国道を大阪方面へ。すぐに神戸ジャンクションで山陽道を今度は神戸方面へ。さらに三木ジャンクションで徳島方面へと切り替えなくてはならない。田舎から出てきたボクには、なかなか難しい。それでも一応、頭にルートを入れていたから、なんとか間違わずに走っている。
 トンネルを抜けると、目の前に見上げるほど巨大な白い構造物が迫ってきた。明石海峡大橋の橋脚だ。
台風の影響か、それともいつもこうなのか、橋の上は風が吹いている。時速九〇キロぐらいで走行しているが、なんとなく吹き飛ばされて落っこちそうで、やや怖い。特に欄干が低いせいかもしれない。いや、高さは十分なのだろうが心理的な問題である。足元はるかに海面が見える。船も通っている。感動と若干の恐怖。鉄製のつなぎ目は、より慎重に超えた。

 淡路島には初めて足を踏み入れた。島を南北に貫く淡路鳴門自動車道を通っていると、山ばかりで島ということを忘れてしまいそうだ。あっという間に今度は大鳴門橋である。こちらも似たような巨大な構造物だが、両側に高いフェンスがあるせいか恐怖心はそれほどでもない。むしろ鳴門の渦潮が見えないか、チラッと眺める余裕もある。しっかりとした渦は見えなかったが、それらしき白い流れは見えた。(つづく)