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今朝は「みやざき中央新聞」よりめぐみ在宅クリニック院長 小澤竹俊さんの講演記事をご紹介します。
めぐみ在宅クリニックは、在宅療養支援診療所という、『在宅ホスピス』専門の医院です。
学校に講演に行くと私は、子どもたちにこんな問いかけをします。
「今何がつらいですか?」
例えば、
「朝起きることがつらい」
「宿題がつらい」
「花粉症がつらい」・・・・
どれもバラバラに見えますが、共通点があります。
「希望と現実の開き」です。
例えば、「朝起きるのがつらい」という人の希望は、「もっと寝ていたい」です。
私がホスピスで学んできたことは、何も終末期医療だけの話ではありません。
「こうだったらいいなぁ」という希望と、でもそうではない現実があり、誰もがその「開き」に苦しみを感じているということです。
こうした苦しみとどう向き合うのか。
私はこの問いかけに、
「苦しみは決して負の要素だけではない」と答えています。
どんなに真面目に生きても失敗します。
病気になったりもします。
でも、その時、ただ単に苦しむのではなく、その苦しみを通して大きな学びがあることを、私は今の仕事を通じて学んできました。
中学2年生が書いた詩をご紹介します。
彼は脳腫瘍を発病し、その闘病中に、この詩を書きました。
『病気』
この病気は僕に何を教えてくれたのか今ならわかる気がする。
病気になったばかりの頃は、
『なぜ』『どうして』
それしか考えられなかった。
自分のしてきたことを振り返りもしないで。
けどこの病気が気づかせてくれた。
僕に夢もくれた。
絶対僕には病気が必要だった。
ありがとう。
普通の中学生が、発病して1年後です。
突然病気になり、手術や抗がん剤治療の日々を送りました。
彼は闘病中に夢を持ったのです。
「病気を克服して学校の先生になろう」って。
そして彼は本当に病気を克服し、中学を卒業し、高校を出て、大学へ進みました。
なぜ「理不尽」な苦しみがあっても、穏やかに、力強く生きることができるのか。
それは、『支え』があるからです。
その『支え』の一つが、「将来の夢」です。
人はただ単に生きているのではありません。
過去の様々な体験から、将来の夢に向かい、今を生きようとするのです。
もし、僕たち人間が、
「将来のこと」「明日のこと」を考えられなかったとしたら・・・
例えば、「今日のお昼は何を食べようかなぁ」
と考えることができなかったら、お昼をいつも楽しみにしている人は、
もしかしたら、「がんばろう!」っていう気持ちにならないかもしれません。
人間なら、誰もが遠い未来にしろ、近い未来のことにしろ、
「将来のこと」を考えると思います。
誰かの未来のことも考えると思います。
だから、「今」を生きられる。
僕がもし、未来のことを考えられないことを想像したら、さぶいぼが立ちます。
だって・・・・
ワクワクしないんだもんっ♪
未来のために学ぶのに、
学ぶことの価値もわからなくなっちゃうんだもんっ♪