不祥事を追及するマスコミの視線は、権力を抑制する「監視者」として重要だと思います。

「出勤後にアルコール検出や欠勤繰り返す、喜多方市職員2人を懲戒処分」福島民友 2026/02/06

https://www.minyu-net.com/news/detail/2026020609474745856

 

しかしそれだけだと、組織を動かす原理が「監視と罰」に偏りすぎていないでしょうか。

これまでの組織は、指示と監督で人を動かす「ボスマネジメント」が主流でした。

そこには「外的な刺激で人は変えられる」という思い込みがあります。しかし、今の時代に求められているのは、目的を共有し、主体性を引き出す「リードマネジメント」へのアップデートです。

選択理論心理学(※1)では、「人を変えることはできない」ことを前提とします。

変えられるのは自分だけ。それなのに、現場の公務員や教員に「やって当たり前、失敗すれば糾弾」という外的コントロールを突きつけても、待っているのは「失点さえなければいい」という思考停止と停滞だけです。

ここで、広島県教育委員会の元教育長、平川理恵氏(※2)の実践を振り返ってみます。

彼女が民間出身校長として全教師の授業を見学し、その工夫を外部へ発信し続けたのは、先生を「変えよう」としたからではありません。先生たちが本来持っている「良い授業をしたい」という内的な欲求に情報という光を当て、誇りを取り戻す環境を整えたのです。

これこそが「リードマネジメント」の真髄です。「監視」という外圧で縛るのではなく、良い取り組みを「称賛」という形で可視化し、自発的な挑戦を促す。この手法への転換が、これからの組織運営に不可欠です。

喜多方の舵取りにおいても、この視点は欠かせません。 「誰かの失敗を待つ」ような縮こまった空気ではなく、理論に裏打ちされた「挑戦を称え合う」風土へ。組織のOSをアップデートし、現場の閉塞感を突破していく。そんな未来の行間を、これからも読み解いていきたいですね。


【出典・キーワード解説】

(※1)選択理論心理学: ウィリアム・グラッサー博士が提唱。「全ての行動は自らの選択である」とし、他人はコントロールできないという前提に立つ心理学。

(※2)平川理恵氏のエピソード: 平川理恵 著『義務教育を再定義する』(朝日新聞出版)などに詳述。横浜市立市ヶ尾中学校での「全授業見学とポジティブな発信」による学校改革の事例。