師匠の武勇伝と沢庵漬け | 岩手南部の小さな町から

岩手南部の小さな町から

翔平君の実家まで車で15分

師匠れい子ちゃんの武勇伝

 

今日は 昨日聞いた 師匠れい子ちゃんの武勇伝について

お話しましょう

少し長くなるかもしれませんが 最後まで聞いてください

 

その前に 師匠の家に住み着いている 「おい」(名前がなく れい子ちゃんがこう呼ぶので)

とれい子ちゃん愛用の長靴です

 

【おい】です

この頃はお婆にも随分となついてきました

 

師匠れいこちゃん愛用の長靴です

 

長靴は一度借りて履きましたが とても軽く 履いていることを忘れるくらいでした

「な 履いてねえみてえだべ」

その時 師匠がそう言っていました

どこかで赤い長靴を履いて歩いている老人を見かけたら それはれい子ちゃんかも知れません

 

 

れい子ちゃんは家娘なので八十数年里山の実家を離れたことはありません

れいこちゃんのお父さんは 所有していた裏山で炭焼きを生業としていたので

れいこちゃんにとっては周辺の山は子供の頃の遊び場

樹 一本一本をすべて熟知していたそうです

(一本一本は大袈裟だが これは武勇伝だから)

 

れい子ちゃんちの裏山です

 

 

大人になったれい子ちゃんは 山に詳しかったので とても重宝がられ

鉄塔建てのてもとだの 植林の日雇いだの

山の堺の綱張りだの 今でいうキノコ狩りのガイドだのを よく頼まれたそうです

そして仕事のないときは

「おら 日に三度は 山にキノコ取りに行ったもんだ」

昔は今と違い れい子ちゃんのあたりは

山仕事で生計を立てている家が多く  山々はきれいに整理されていたので

日に三度 山に入らなくてはならないほどキノコが採れたそうです

 

 

昨日 れい子ちゃんの裏山で収穫したクリタケです 

 

 

 

   スギゴケの雌株の胞子嚢

 

 

ここまでの話もすごいが

その後の マムシの捕獲 の話は凄まじいものです

 

「こうやってよう 棒で頭っこ押さえて 親指と人差し指でつまんで

背中にはうんとキノコしょって 手にはマムシをぶら下げて よく山を下りたもんだ」

「マムシを手でかぁ  何か入物に入れるとかしなかったのか」

「それはかえってだめだ 何かに入れようとすると 逃げ出したり 噛まれたりすっから

こうしてよう 捕まえた状態のままぶら下げて来るのがいいのだ」

   

マムシは持ち帰り 一升瓶に焼酎漬けにした物皮をはいで骨を干した物

そして何といっても肝は虚弱体質の人達に大変喜ばれ

 

「おら うんと 方々に けえてやったよ」

「何匹ぐらいとったのや」

「そうだなあ まあ100匹ぐれえは取ったな」

「そんなにか よく嚙まれなかったな」

「それがよう 一度嚙まれたことがあるんだよ」

 

れいこちゃんいわく

山で捕まえて家までぶら下げてくる間はとても緊張していて必死だけれど

無事 家に持ち帰り安堵した時

「そこら辺に 逃げ出してよう おら あわてて しっぽつかんだもんや」 

 

病院に運ばれハアハアいいながら点滴を受けている間

「先生も看護婦も おらの持っていった噛まれたマムシの瓶こばかり眺めていて

おらの様子っこ まったく見に来ねえの」

 

これが 昨日話してくれた 師匠れいこちゃんの武勇伝です

 

 

 

 

 

 

沢庵漬け

 

軒干していた 大根が

漬け頃になったと思われるので

(一体どの状態まで干すのかの基準をお婆は明確に把握している訳ではありませんが)

今日は沢庵漬けをしました

 

 

材料を自分で調合して漬け始めてから 5回目のシーズンとなりますが

大根の状態や気候などにより 毎年毎年 微妙に味が違い

それもまた良しとしています

 

 

「お婆 大根はいつ漬けるのや」毎日毎日 聞いてくる おじじ

 

 

今日 お婆が 沢庵漬けをしたので

明日からは

「お婆 沢庵は いつ食べられるのや」

 そのうち 毎日毎日 聞いてきます