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誰にでも訪れるピンチ。
うるのさんにも、驚愕のピンチが訪れる。
その時、彼の身の回りに何が起こったのか・・・。
涙の第三話、どうぞ!!
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本当に首をつろうかっていう時期もあった。
女房と二人で、どっちが先に死んだ方が保険金の効率が良いか
っていうのを必死に話あったよ。
:いつぐらいの事でなんすか?
えっと、あれは・・・2002年。
それまでずっと打ち込んで来た仕事がパーになった時だよね。
あんときゃ、全部の夢が吹っ飛んだって思ったもんね。
「俺の保険金の方が高いから、俺から死んだ方がいいだろ」って言ったら、
女房が「私の保険金があれば当面はしのげるから、あなたなら再起できるよ」って。
「イヤイヤ、子供の事を考えたら母親が必要だろ!俺が先に行くから」
みたいな感じでしたね。
:差し障りがなければ、どんな事があったのかお聞かせ願えますか。
ずっとホームページの仕事をやってて、自治体の仕事もたくさんあったから
20世紀の後半っていうのは調子が良かった。
そのうち「マンガでも読者のために描いていたわけだから、
それがWEBになっても閲覧者のために作りたい」っていう気持ちが強くなってね。
僕は企業のためのWEB作りじゃなくて、その企業の製品が社会に出回る事によって
生活が良くなるお客さんを一人でも増やすために作るってのを貫いてる。
そのためには民間企業のサイト作りをやりたいって思ってたんだ。
同じような事を考えてる会社があったから、営業と制作っていう風に
パートナーになってやろうって事になってね。
でも向こうは実績もないし、営業と制作だと割合が合わなくなってくるから、
「いっそ、おたくの社員になってやる」っ言ったんだ。
機材は全部持ち出し、資料も自腹、交通費の請求もせずに、蓄えも全部出したけど、
この仕事が当たれば全部返ってくるっていう希望があったよね。
そうやって2年たった。
それまで企画に携わってたシステムがあったんだけど、全然売れなかったんだよ。
モノは良いっていう自信はあったんだけどね。
でも、その開発の元会社の所に「30万アカウント分購入したい」
っていうオーダーが、世界に名だたる企業から入ったんですよ。
それは僕らの広報の結果っていう事もあったから、
その元会社も「彼らもこの話に絡ませてくれるんなら」
って言ってくれたんだよね・・・、うれしかったなぁ。
これ、年商2~3千万で苦しんでた企業が、いきなり三億になるっていう事なんですよ。
まさに「いつか必ず来る」って思ってた波がきたんです。
「これで、俺たちは生まれ変われる!」って、社員みんなで言ってたときに、
突然その会社から「おたくとは、やっぱり取引できない」ってバサッと言われた。
そんなバカな!って思っていたら、パートナーとしてやっていた社長が、
お客様から回収した代金をサーバー会社に払わずに、
全部個人的に使い込んでたことが発覚。
それを聞かされちゃ、僕も何も言えないじゃないですか。
サーバー会社にも行ってちゃんと土下座して。
自分の会社に戻って、社長つかまえて問いつめたら・・・
「出てけーー!!」ですよ。
:ヒドイ・・。
「今までのお客さんには挨拶させろ」って言っても、
「それは許さん、この場で消えろ!」って。
で、自分の個人資産である機材とかだけ車につんで、本当にそれで終わり。
だけど、それまでの自分の既存のお客さんとかも、
ぜーんぶその会社につぎ込んでたんよね。
「全部、自分の客さんもあげるから、早く大きくなってよ!」
ってやって来てたから、もう何もない。
もう、うるの個人名義でやっている取引は何も残ってなかったから、
「もう、首でも括るか・・・」って。
子供の養育費を稼ぐには、もうそれくらいしか道はないだろうと思った。
退職手当だって二ヶ月までだし、そこから先のビジョンもまるでなかったしね。
年齢的にも再就職はキビシイ時代だもん。
・・・と思った時に、近所のお客さんから電話がかかって来て、
「うるのさん辞めたんだって? でも、まだこの世界で働くんだろ?
ウチ、“会社”じゃなくって“うるのさん”に頼んでたんだけど」
って言ってくれたんだよね。「空いてる場所貸すよ」とまで言ってくれて。
でも、自分はもう終わりだと思ってるから、考えときますって返事した。
ところが、次から次へとそういう電話がかかってくるんだよね。
「うるのさんじゃなきゃ困るから!」って。
あっという間にそれが何十人とかになって、
売上が100万になっちゃうっていうのを、本当に目の当たりにしたんですよね。
それで「やれる!」っていうよりは「これで終わっちゃダメだ!」ってやっぱり思う。
何よりも、結局デザイナーさんが気に入ってるとか、
いつも打ち合わせしてるうるのさんが好きだったとか、
そういうところで仕事っていうのが動いてるって、段々わかってくるじゃないですか。
システムでもなけりゃ、企業名でもなんでもないんだよね。
結局、“人”にお客さんはついてんだっていう事がわかる。
つまり、自分のデザインの能力もマンガを描く力も、
脳の中にあるものは、その会社は奪えないんだよね。
勤め先がどこであろうと、奪いうがないんですよ。脳の中にしかないんだから。
お客さんとの人間関係も、その人の内側にしかないから、やっぱり奪えないんだよね。
失ったと思ってたのは全部勘違いだったんですよ。
全部自分の中にあった。
でも、その時にはいくら皆が支えてくれるって言っても、
まだたいした数字が立ってるわけじゃない。
一時的にご祝儀で仕事をくれたところで、
2~3ヶ月先の事を考えたらナイも同然だよって。
それでも「何か自分が役立つ事があるんじゃないか?」って思った。
その時ちょうとカミさんが
「私がパートに出る、たいした金額じゃないけど、
それでもなんとか頑張って家計支えるから、あんた頑張ってごらん」
って言ってくれて。
俺はもう絶望してるのにカミさんの方は「あんたは何とかするはずだ」
って思ってるんだよね。
だから死ぬ死なないって言ってたときも「私が死ぬほうがマシ」って
あくまでも言い張ってた。
で、先のビジョンがあるわけじゃないけど、やってみるかって事になった。
今思うと、二人ともノーテンキだったんだろうなとも思うんだけど、
でも「なんとかなる」「なんとかする」って
信じてくれる人がいるのはウレシかったですね。
それに支えられて、本当に何とかしたわけだし。
本当にピンチだった時には、死ぬ覚悟までしてくれたし。
モノをはっきり言うくせに気が小さくて、ボクが怪我をすると、
不安感で先に気分が悪くなっちゃって、怪我人に介抱させるようなカミさん。
そういう彼女が命を預けてくれた。それは、とても大きなことだったと思う。
ボク自身も首を括る覚悟をしたけど、そうすると気持ちが楽になって、
死ぬんだったら、もうちょい足掻いてから死のうと思えた。
そう思って足掻いてみたら、状況がガラっと変わったんですよね。
躊躇していたことは、ちっとも躊躇するようなことじゃなかったりして。
ブ厚い壁に見えたものが、実は薄っぺらだったとでも言うのかな。
いや、それなりの厚さはあったんだけど、死ぬ気で体当たりすれば
破れるってことなのかな。
でも、一度破ると、次からは死ぬ気じゃなくても破れるようになるんだよね。
自分の限界がもっと深いところになる。
その、最初のひと押しをしてくれたのが、カミさんの覚悟だったと思うんです。
だから・・ってわけじゃないけど、ウチのカミさんは世界一ですよ。
外見も性格もダメな部分も全部好き。あ、娘も世界一。愛犬も世界一(笑)。
言い切ってもハズかしくはないっ!イノチより大事!
・・・で、やってみると仕事が入ってきた。
多少足下は見られるけどね(笑)。
でも「本当は50万のところを30万で!」っていうくらいのもん。
そん時の30万って、とてつもなくありがたいんですよ。
それが積み重なっていく。で、段々段々とやっていけるようになる。
なにより、そのキツイ中で仕事をやる事を覚えていくと、
自分の効率アップにもなるんですよね。つまり50万の仕事を30万でやり抜くには
どうしたらいいかって事を工夫するわけじゃないですか。
それが今度はノウハウになって、よそが50万でなければできないものが、
うちは30万で出来るようになっていくんだよね。
仕組みやシステムを作って、採算が上がる人間になっていく。
それが今の支えになってますね。
誰だって一度はそんな事があるみたい。
そんときにそうやって変わるっていうの分かるでしょ?
土壇場まで、本当に追いつめられて救われたっていう経験もあれば、
家族で話し合ってた時に、
「なんとかならなかったら、ならなかったでかまわないんじゃないか?」
って達観もできちゃったんですよ。
もっとキツイ所をしのいだ先輩ってのがいてね。
その人にも「あんた、まだ一度も勝負してねえぞ!」って言われた。
「広告やなんてのは商品の魅力を見抜いて、どう売り込むかを考える仕事で、
わたしもそれをやっている。私からあんたっていう商品を見たならば、
あんたはあんたで勝負すべきだ!」って。
それで、やって生き抜いた人が言うから、返す言葉がないんだよね!
「ハイ・・やってみます」って言うしかなくってね。
で、やったら「おっしゃつ通りだった」というわけです。
今は僕にも同じ事が見えるけど、そん時はそうだった。
本当に達観しちゃうとね、絶対に日本て破滅できない国なんですよね。
食えねぇ。なら、とりあえず渋谷の駅前で倒れてみるか・・・って。
おそらく、救急車なり警察なりが来て、本当に社会復帰できないくらい弱ってれば、
入院もさせてくれて治療費も払ってくれて、その後の仕事もあてがってくれる。
当座の事は考えてくれる。日本てそういう国でしょ?
飢え死にしそうな人が倒れているから、とりあえず骨になるまでほっとこうよ
っていうのはこの国はできないんだよね。子供や家族がいても養護施設なんかもある。
それが幸せかどうかはわからないけど、そのまま死んでしまうって事は絶対ないでしょ。
そういう社会システムなんです。
これがアフガンだったら、そのままほうっておかれるかもしれませんが。
「この国は破滅できない」っていう風に考えちゃったら、
「なんとかなるじゃん」って僕は思っちゃった。
そこまで思うと、今度は逆に仕事が入ってくるんですよね。
なんで入ってくるの?って聞かれると困るけど、しゃべる事、話し方、
WEBサイトでの発言なんかも全部ひっくるめて、何か変わったんでしょね。
それまでの人間とは、違うスイッチが入っちゃった。
でも、僕はこれで「人は人にしか仕事を出さない」
ってよーく分かりました。
腕とか能力とかキャリアとかも当然アピールしますけど、極論するとそうなりますね。
だから自分を信じて人とつながり、目標100人の取引先を得れば、生涯心配いらない。
将来、社員を抱えたいってそれがまずベースにあって、
50とか100人の部下や社員を食わせようっていうビジョンを持ってるなら、
それじゃすなまいけどね☆
たとえば田舎だとしても、商店街に100件、多くても2~300件がいいとこかな
っていう地域だったと仮定する。そこをとにかく毎日歩く。
んで、「おばちゃん今日どう!?」「んーボチボチだねえ」っていう会話をする。
「じゃあ、この張ってるビラを作り直してあげるよ!」「ホームページこうしよっか!」
「タウン誌に出してみよっか!?」って提案をして、実際にやってあげる。
昼間はそうやって廻って、夕方から作業。月に何回やったからいくらとか言わなくて、
僕の為に毎月1万円だけ助けてよ!って言えば、それでやっぱり年収1千万円でしょ?
その上で自分が広告マンとしてでっかい仕事をやるんだっていうならそれでもいい。
その関係を作るのもすぐにはできないけどね。恋愛と一緒だから、
会ってすぐに結婚してって言ってもそれはムリ。
手間ひまかかるかもしれないけど、その女性を落としたいならかけようよ。
みんな玉の輿みたいな女性ばっかり追いかけて、
「そうじゃない可憐な野の花みたいな女性を大事にしよう」
っていう考えを持てないでいる。
届かないものばっかりに手をのばしているんじゃないかな。
一人のデザイナーを支えるぐらいのチカラは
中小のオッチャン達にも十分あるんだよ。
でも、それは仕事だけじゃ生まれてこないですけどね。
僕の場合だと、柏市でやってる市民イベントはずっとボランティアでやってきてて、
ホームページとかチラシも無料でやってる。
もちろんドメインやサーバー維持費もかかるんだけど、
何にも言わずに請求もせずに一人で支えてて、もちろんそういう仕事で支えてるから
「後は知らないよ」ではなくて、ミーティングにはちゃんと顔を出すし、
当日には売り子もやる。地元の土浦市でも当然同じようにやってます。
一日金魚すくいコーナーとかね(笑)。
そういう付き合いの中で、「あれやってくれないかなぁ」っていう声がかかる。
ところが、この「あれやってくれないかなぁ」までになるには
3年から4年はかかるんですよ。
その間、本気で取り組んでいるのか、金が欲しいからたんなる人脈作りのために
やってるのか見られてます。たんなる人脈作りでやってる人は1年もたないんです。
本気でやってる人なら3年もつんですよね。その時間をちゃんとしのぎきっていけば、
それは十分に生きて行ける場所になるんです。
この間、活動していた人で会社を解雇された人がいるんだけど、
「うちで面倒みてやるよ!」ってみんなが、就職先を面倒みてくれた。
人は見てるんです。
だから、食えないって言ってる人は「遠いものを見すぎてない!?」って僕は思う。
あとは「ちょうだい!」って言ってない?
言ってるうちは、たぶん仕事ってついて来ないですね。
仕事っていうのは自分が作った結果に対して、
「俺はこれだけの結果を出そうと思ってるからくれ!」って事じゃない?
だから「ちょうだい」は通らない。
若い人を見ててスゴク感じるのはそれ。
おねだりでももらえる仕事はもらえるんですけどね☆
でも、他の人もおねだりしてるわけだし、安定しないよね。
本当の人間関係っていうのは、ゼニがなんぼだからっていう所だけでは、
人を選ばないですよね。味は他の所がうまいかもしれないけど、
俺はここが好きなの!っていうレストランもあるじゃないですか。
それは雰囲気だったり、サービスだったり、人柄だったりする。
それを「俺は腕がいいから」って吹いててもしょうがないよ。
特にフリーでやってる人はそう。
美女がかならずしもモテるとは限らないしね。
「ブサイクだけどほっとけないなぁ」っていう人はいる。
もちろん腕は磨かなきゃいけないですよ。磨こう磨こうと努力は必要。
だけど、それがそのまま金額換算ではないよってことだと思う。
:最後に、30代のクリエイターに向けたメッセージをいただけますか?
うーん。
30代とは限らないけど、最近の若いクリエイターって、戦ってないなぁって思うんだよね。
たとえば、K-1選手みたいな暴漢がやってくるんだけど、
自分は武器も何も持ってない。助けてくれる人はどこにもいないとする。
逃げ足も勝てない。どうします?
:・・・う~ん・・・・・・・・・・・・・・・第四話に続く!!
うるのさんは、本当にいい奥さんに恵まれたと思う。
でも、それはうるのさんの生き方も良かったんだと思う。
自分は家庭をかえりみず、困ったときだけ「一緒に死んで」は、
絶対に通らない。死んじゃダメだけど、同じ覚悟を持てるだけ
家族を愛していた結果が、奥さんの行動につながっていたはずです。
次回は、
20代、30代のクリエイターに向けての
うるのさんからのメッセージ「あなたは●●してますか?」
お楽しみに。
※このブログは不定期更新です。
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隔日更新のキタデザインブログ:http://plaza.rakuten.co.jp/kitadesign
でお知らせしていますので、お付き合いください。
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★うるのさんよりのお知らせ
クリエイターや中小企業の皆様、
将来の不安、商売の不安、本気の方のみ相談にのります!
というお言葉をいただいております☆
下記メールアドレスにてご連絡ください。
※すごく真剣に応えてくれますので、ふざけた内容の相談はキタデザインが許しません。
うるのクリエイティブ事務所
代表 うるの拓也 宛
E-mail:uruno@urutaku.com
●サイト:http://www.urutaku.com/
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