待つ…ということ | kit ブログ

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また ひとつ 年をかさねる事ができました





【ふるさとのそら】

かさねる事で 解って来ることは…何が 大切なのか ということ


高級な時計? 煌びやかな宝石? それとも…


わたしにとって 大切なことは 想い 言葉 そして 時間




【ホテルのレストラン】

想うことも 言葉も 鋭い刃物より 人を深く傷つけてしまうこともあります


想いも 言葉も まぁるい 方がいい


想い出の箱から そのひとつを取り出した時 微笑がこぼれるほど


やさしく 丸い方が しあわせ


時間は 永遠であり 限りもある


『 わたし 』という身体のままで あと どれくらい 時間があるのでしょうか


なりたい『 わたし 』に どれだけ近づけるのでしょうか




【佐川美術館】

待つこと


エピソードは 50代半ばで癌になった母のこと


当時 わたしは 20代でした 

母の手術の日 朝からずっと付き添っていました

癌だという事を 母も知っていました

かなり 進行していて 完全な摘出は難しいと 家族には知らされていました


手術の時間が迫って来る中 心細くなっていた母は 私に手を出してきました

「お母さん 大丈夫 大丈夫だから…ね」 

母の手は緊張で冷たくなっていました その手を握り締め もう一方の手でさすりました

『…そうよね 頑張らないとね    ねぇ 待っていてね』

「 当たり前でしょ 待ってるよ ずっと 待ってる」

手術室に入るまで その手を握り続けました


母のその時の手術は予定時間を2時間もオーバーするものでした

ドクターもベストを尽くして下さいました

その後 3度の再発で 二度の手術を受けました

その度 母と私は 『 待っていてね 』 「 待ってるね 」を繰り返しました


母が亡くなり 数年後 友人が 癌になりました

末期で どうすることも出来ない状況でした

親しかったからこそ その病室に行くことが怖かった


けれど もう10日も彼女の顔を見ていません

朝から ざわざわ と 心が騒ぎます

彼女の病室のドアを開けると…開口一番『 やっと来てくれたぁ 待っていたよ 』

ぽろぽろと 泣く彼女に近寄り 手を取って 「ごめんね お待たせしちゃったね」

ぽろぽろ ぽろぽろ 流れる涙は 惜別の涙 

その晩彼女は 旅立ちました


父は7年前に亡くなりましたが 10年前には脳梗塞で 右半身の自由が無くなりました

リハビリ次第で 幾分かの回復も望めるという事でした

午前中は仕事 午後は父のリハビリにお付き合い

けれど どうしても 仕事が抜けれないときもありました

そんな日の翌日は 『 待っていたのに… こないから リハビリ さぼった 』

「ええっ サボったの? もぉ わがまま過ぎ!! 仕方ないなぁ 今日は2日分ね」

『そりゃ きつい お手柔らかにな』

とても 頑張りやの父 左手でも右手でも 字が書けるようになりました

車の運転が出来るほどまで回復しました

でも わがままだけは 治りませんでした


高校時代からの友人は 専業主婦

彼女は最近 お料理に夢中

旬なものから 珍しいものまで 手間ひまかけて作ったものを

私に食べさせたくて メールがきます

『美味しくできたよ~ 待ってるよ 食べに来て』

彼女の家まで 片道1時間

近くはないけど そんな彼女の気持ちがとても嬉しい

山間部の道を通らないといけません

実は とても怖がりな私 山合いの道は苦手です

特に 夜 は…外灯もなく ひとりで行くのには勇気がいります

『今 どこ? どのあたり?』彼女からです

「あと…15分? 飛ばせば…10分かな?待っててね」

電波も切れ切れ

カーステレオの音量を上げて アクセルを踏み込む

すれ違う車もない……きゃ~

と 対向車一台 すごいスピードですれ違う

えっ!!

あの車のシルエットは? ブレーキランプが光ります

そうです 彼女です

『心配でね…待ちきれずに車に乗ってた』

「ありがとうね ありがとう…」そう言って 言葉につまってしまいました

暖かい彼女の気持ち 暖かい料理 暖かい時間


待つ…ということとは

待っていてもらえることも 待つことも 

幸せなこと





【今日の夕陽】

そんな 時間を 綴っていけますように


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