副業したら社会保険(健康保険、年金)はどうなりますか? | 自分らしく生きるためのお金のこと

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~ファイナンシャルプランナー清原俊之が伝える大事なお金の話~

前回の「副業したら確定申告しないといけませんか?」に関する質問です。

 

 

≪質問≫

 

副業の収入額が一定額を超えて確定申告をすることになったのですが、

社会保険(健康保険、厚生年金)はどうなるのでしょうか?

 

 

≪回答≫

 

まず、確定申告は所得税・住民税に関するものなので、

確定申告するかどうかと社会保険とは基本的には関係しません。

(ただし、国民健康保険の場合は確定申告した所得によって保険料が計算されます。)

 

 

今回の質問の副業した場合の社会保険についてですが、

前提として本業が会社勤めをしていて、会社で社会保険の被保険者となっている場合で説明します。

(社員、契約社員、派遣社員、アルバイト、パートなど名称を問わず、給料から健康保険料や厚生年金保険料がひかれている人が対象です。)

 

 

この場合、副業が2パターン考えられます。

 

(1) 別の会社で働いている

(2) 個人で仕事をしている(個人事業主)

 

 

 

まず「(1) 別の会社で働いている」場合ですが、

この中でもさらに2パターンに分かれます。

 

副業が社会保険の加入対象か、そうでないかです。

 

 

社会保険の加入条件は以下のとおりです。

日本年金機構HPより)

 

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≪判断基準≫
次の(ア)及び(イ)が一般社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。
(ア)労働時間
1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
(イ)労働日数
1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
 
(例)一般社員の1週の所定労働時間が40時間で、1月の所定労働日数が20日である場合
・1週の所定労働時間40時間×3/4以上=30時間以上
・1月の所定労働日数20日×3/4以上=15日以上
1週30時間以上及び1月の所定労働日数が15日以上業務に従事する従業員は、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず、被保険者となります。

 

 

また、一般社員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、下記の5要件を全て満たす方は、被保険者になります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  2. 雇用期間が1年以上見込まれること
  3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  4. 学生でないこと
  5. 常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

 

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副業が社会保険の加入条件に当てはまらない場合は手続きも不要です。

今までどおり本業の会社の収入に応じた社会保険料が本業の会社の給料から天引きされます。

 

 

副業が社会保険の加入条件に当てはまった場合には、

本業と副業、両方の会社の給与額を合算して社会保険料を計算する必要があるため

「二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。

 

詳しくはこちら

日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになった時の手続き」

http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20131022.html

 

ちなみに、この二以上事業所勤務届を提出して社会保険料が変更になると

本業の会社にも通知がいき副業が発覚する可能性があるので

本業の会社の許可なく別の会社で副業をする場合には注意してください。

 

 

 

あと、副業が「(2) 個人で仕事をしている(個人事業主)」についてです。

この場合は何も手続きする必要はなく、社会保険料の変更もありません。

 

個人事業主であれば国民健康保険・国民年金に加入が必要ですが、

会社で社会保険に加入している場合は国民健康保険・国民年金の対象外となります。

 

これは所得の額に関係なくです。

 

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国民健康保険法

 

(適用除外)

第六条 前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、市町村が行う国民健康保険の被保険者としない。

一  健康保険法の規定による被保険者。

 

 

国民年金法

 

(被保険者の資格)

第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。

一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの

二 厚生年金保険の被保険者

三 第二号被保険者の配偶者であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもののうち二十歳以上六十歳未満のもの

 

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マイナンバーが導入されたことにより、

複数の会社から収入があった場合の社会保険の徴収が厳しくなることが考えられます。

 

不明な点などは、年金事務所や健康保険組合、社労士など専門家への相談をおすすめします。