ラヴ KISS MY 書籍

 

 

 

「私、慶さんの愛情を確かめました、週刊誌の記事が掲載されてから、一緒にいても上の空だし、秘書の真莉さんに会社の為、社長の為を思うなら、どうすべきかわかってますよねって言われて、もう慶さんとは一緒にいられないと覚悟を決めました、でももし慶さんが私を思ってくれていれば、それだけで幸せって思っていたんです、ところが同じ時期ごろから慶さんの愛情に不信感を抱き始めてしまいました、だから……」

 

「わかったよ、もういいから、慶は凄く美鈴ちゃんを心配していた、そして僕に相談しに来たんだ、僕は医者だからね、美鈴ちゃんの嘘はバレれたよ」

 

「本当にすみませんでした」

 

「でもよかったよ」

俺は兄貴の指示通り飲み物を買って戻った。

 

「兄貴、買ってきたよ」

 

「慶さん、ごめんなさい、私……」

 

「美鈴、大丈夫なの?凄く心配したんだぞ」

 

美鈴は目に涙をいっぱい溜めて俺を見つめた。

 

俺は美鈴を引き寄せ抱きしめた。

 

美鈴も俺の背中に手を回した。

 

「ところで、美鈴は大丈夫なの、どこか具合悪い所とかないの」

 

 

そこに兄貴が割って入った。

 

「原因はお前だ」

 

「俺?」

 

「お前が忙しさにかまけて美鈴ちゃんを放っておくから、美鈴ちゃんは寂しくなったんだ、それにお前の秘書、しっかり注意しろ、美鈴ちゃんにお前と別れるようなニュアンスの言葉を言いにきたらしい、かいしゃの為かもしれないが、それは違うと思うぞ」

 

「そうだったんだ、ごめんな、美鈴、嫌な思いをさせてしまって、真莉にはちゃんと注意しておくよ」

 

「ダメです、真莉さんは今でも慶さんを愛しています、最近何か冷たい態度をとったんじゃありませんか」

 

「何言ってるんだよ、俺は真莉に振られたんだぜ」

 

「あまのじゃくなんですよ」

 

「訳わかんねえ」

 

「お前は女心全く苦手だな」

 

「じゃあ兄貴はわかるのかよ」

 

「僕を誰だと思ってるんだ」

 

「ハイハイ、わかりました」

 

「美鈴ちゃんを目一杯愛してやれよ」

 

「ああ、サンキューな兄貴」

 

俺と美鈴は兄貴のマンションを後にした。

 

「慶さん、ごめんなさい」

 

「大丈夫だよ、俺の気遣いが足りなかった」

「私は慶さんと一緒にいたいです」

 

「俺だって、美鈴と別れる気持ちは全くないよ」

 

「でも大丈夫でしょうか」

 

「大丈夫だよ、何も疾しいことないし、俺は今まで社長としての自信がなかったんだ」

 

美鈴は驚きの表情を見せた。

 

「仕事も中々上手くいかなくて、美鈴ともこの先夫婦としてやっていけるのか不安だった、俺の愛情は冷める事はないけど、美鈴の俺に対しての愛情は冷めたままなんじゃないかって」

 

「慶さん」

 

「でも、凄く嬉しい、だって、俺の気持ちを確かめようとしてくれたんだからな」

 

「そんな事してって怒らないんですか、子供みたいって呆れられたんじゃないかと心配していました」

 

「そんな事ないよ、凄く嬉しいよ、でももうごめんだな、あの思いは……凄く心配したんだぞ」

 

「ごめんなさい」

 

美鈴は頭を下げて俺に謝った。

 

「じゃあ、お詫びの印が欲しいな」

 

「なんですか」

 

「美鈴とキスしたいな」

 

美鈴は真っ赤に頬を染めて恥ずかしがっていた。

 

「美鈴」

 

俺は美鈴の唇にそっと触れた。

 

美鈴は目を閉じて俺のキスを受けてくれた。

 

この先に進んで大丈夫だろうか。

 

俺は美鈴の唇を何度も求めた。

 

可愛らしい声が漏れて、俺は我慢出来ずに舌を割り入れた。

 

一瞬唇が離れて、美鈴と見つめ合った。

 

「美鈴、嫌なら無理しなくて大丈夫だよ」

 

「嫌じゃないです、慶、私を抱いてください」

 

俺は美鈴の言葉に気持ちがマックスになった。

 

俺と美鈴はお互いを求め合った。

 

白々と夜が開けて朝日が差し込んで来た。

 

俺は目を覚ますと、隣で俺の胸に顔を埋めてすやすや美鈴が眠っていた。

 

俺は昨夜の美鈴の態度から手応えを感じた。

 

美鈴はめっちゃ興奮していた。

 

もちろん俺もこんなにも我を忘れるほどの気持ちは初めてだった。

 

その時、美鈴が目を覚ました。

 

「慶さん、おはようございます」

 

「美鈴、おはよう」

 

「もう、俺の側を離れるな、いいな」

 

「はい」

 

美鈴は顔を真っ赤に染めて頷いた。

 

     

 

          END