11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化
2/28電子書籍版が発売されて、1ヶ月が過ぎようとしています。
既にお迎え頂いた方、感謝申し上げます。
まだ、お手に取っていただけていない方々、よろしくお願いします。
ラストちょっと前の試し読みを公開致しました。
是非電子書籍版をお手に取って頂き、気になるストーリーを楽しんで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
💖試し読み💖
「あゆみ、結婚しよう」
「でも……」
「何度も記憶からあゆみが消えても、またあゆみと出会って愛することになるなんて、運命としか言いようがないよ、そうだろ?」
「私は麻生さんと出会ったことが奇跡で、愛して貰える事も奇跡で、しかもその奇跡が三度も訪れるなんて運命ですかね」
「そうだな、何があっても、俺について来てくれるか?」
「はい」
私は大きく頷いて彼について行く事を改めて決意した。
私と彼は結婚した。
何気ない毎日が嬉しくて、彼と一緒にいられる事がこんなにも心穏やかに過ごせるなんて、改めて感じた。
私は仕事を辞めて専業主婦となった。
ある日彼は頭痛を訴えて一緒に病院へ向かった。
嫌な予感が脳裏を掠めた。
また私が彼の記憶から消えたらと思うと心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
彼が診察室から出てきた。
「麻生さん、大丈夫ですか?」
「あゆみ、大丈夫だよ、薬処方してくれるって」
あゆみと呼ばれてほっとした。
次の瞬間彼の口から想像を遥かに超えた言葉が飛び出した。
「あゆみ、産婦人科の検診一緒に行こうな」
「えっ?」
「一緒に行こうって約束しただろう?」
どう言うこと?麻生さん記憶が戻ったの?
「麻生凌さんのご家族の方ですね、先生のお話があるとのことで、少しお時間大丈夫でしょうか」
「はい」
「麻生さんちょっと待っていてくださいね」
「わかった」
「失礼します」
「お久しぶりです、またご結婚されたのですね」
「はい、あのう……」
「麻生さんの頭痛は処方しましたお薬で改善されると思います、実は記憶がまばらではありますが戻っているようです」
「はい、今私が妊娠中の記憶があるみたいでビックリしました」
「そうでしたか、様子を見て頂けますか?」
「はい、わかりました、あのう私流産したので、その事実を伝えたほうがいいでしょうか?」
「事実は事実として伝えてください」
「わかりました、ありがとうございました」
「すっかり記憶が戻るといいですね」
「はい」
私は診察室から出た。
「麻生さん、お待たせしました、お薬貰って帰りましょう」
「ああ、そうだな、先生の話はなに?」
「うちに帰ったらお話しますね」
彼と私はマンションに戻った。
「麻生さん、お薬飲みましょう」
「それより先生の話はどんな事?」
「頭痛はお薬で改善されますって、それから記憶が混濁しているみたいなので様子を見てくださいって」
「記憶が混濁って」
「今麻生さんが記憶していることは二年近く前の事です、ごめんなさい、赤ちゃん流産しました」
「そうか、いろんな事がごっちゃになっているのか」
「頭痛が改善されると記憶も元に戻りますって」
彼は考え込んでいた。
「あまり気にしない方がいいみたいですよ」
「俺は二年間あゆみをちゃんと守っていたか流産してしまったあゆみにちゃんと寄り添っていたか?」
「大丈夫ですよ、ずっと側にいてくれましたよ」
「そうか、それならいいけど……」
彼はしばらくの間店を休むことになった。
記憶の混濁に不安を隠しきれない様子だった。