11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化
「あゆみ、大丈夫?」
「すみません、ご迷惑をおかけして」
「全然平気だよ」
「あの、私どうしちゃったんですか」
「切迫流産しかかったんだ」
「えっ?赤ちゃん大丈夫でしたか」
「大丈夫、でもしばらく安静の為入院だって」
「そうですか」
「俺の子供だろ?」
あゆみは俯いたまま答えなかった。
俺は自分の気持ちのままの行動に出た。
あゆみのベッドに腰を下ろし、あゆみの顎を上に向かせ、唇に触れた。
「俺、今、あゆみが好きになった、俺の側にいてくれ」
あゆみは俺の言葉に、涙が頬を伝わった。
可愛くて堪んねえ
こんな気持ちになったのは初めてだ。
いや、多分、記憶には無いが、あゆみとはじめて会った時も、ドキドキしたんだろう。
ここが病院じゃなかったら俺は、迷わずあゆみを抱いていた。
あゆみは退院出来た。
先生から子宮の収縮には十分気をつけてとの注意があった。
なるべく夫婦の営みは控えるようにとの事だった。
マジか、マンションに戻ったらすぐにでも抱きしめたいのに、抱きしめると我慢出来なくなる。
でも、マンションに戻り、俺はあゆみを抱きしめずには居られなかった。
「麻生さん、無理しなくても大丈夫ですよ」
「俺は無理なんかしてねえ」
「目覚めていきなり目の前に現れて、奥さんだの子供だの言われても、理解出来ないですよね、あの、私は大丈夫ですから、どうしたらいいか言ってくださいね」
あゆみは俺を愛していないのか、契約だと言われて、俺の言いなりに生活してきたのか。
「あゆみ、他に好きな男がいるのか」
「まさか、そんな事はありません」
「じゃあ、どうして平気でいられるんだ、どうしたらいいか言ってくれって、俺があゆみをここに置いておけなから出て行ってくれと言ったら従うのか」
「悲しいけど仕方ないと思います」
「あゆみの本当の気持ちが知りたい」
「そんな事言葉にしたら、わがままだと言われます」
「誰に?」
「麻生さんに」
「俺はわがままだなんて言わないから、あゆみの気持ちを聞きたいんだ」
あゆみはしばらく俯いていたが、顔を上げて俺をまっすぐに見た。
「私は麻生さんが大好きです、こんな私を好きって言ってくれて、はじめての事を一杯経験させてくれて、感謝しています、ずっと一緒にいたいです、だから・・・」
そこまで言いかけて、俺はあゆみをベッドに押し倒しキスをした。
この時はっきりわかった、俺は術後目覚めた時あゆみに一瞬にして惚れた。
そう、俺はあゆみに二度目の一目惚れをした。
「待って」
「今、俺の事大好きって言ってくれたのは嘘か?」
「嘘じゃないです、これ以上はドキドキしちゃうとまた、お腹痛くなっちゃうから」
「我慢出来ねえ、俺の身体は何回もあゆみを抱いてるんだろうが、俺は覚えてない、
気持ちは初めてだから、すっげーあゆみを求めて止めらんねえ」
「麻生さん」
「ずっと気になっていたんだが、ずっとその呼び方?」
「はい」
「凌でいいよ」
「凌」
「あゆみ、やべ、これじゃあ、また止められなくなる、シャワー浴びてくるな、クールダウンしないと寝られねえから」
それから俺はしばらくして仕事に復帰した。