11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化
それから、廉とは時々食事をしたり、相談にのってもらったりと友達の様な関係が続いた。
「ねえ、中学生の男の子ってよくわからないんだけど」
「何が問題あるんだ」
「会話しようとするとあまり話してくれないし、でも突き放すと、一緒に寝たいって甘えてくるし・・・」
「そうか、凛をもう女として見てるんじゃないか」
「まさか」
凛は記憶を探っていた。
「心当たりありそうだな」
そういえば六歳の時から、お嫁さんにしたいって言われたし、子供扱いすると、もう子供じゃないって怒ってたよね。
「うん、この前だってキスされたし」
「おい、それはまずいんじゃないか」
「そうかな、おやすみのキスだよ」
「じゃあ、俺とおやすみのキスしてくれるか」
凛は顔を真っ赤にして恥ずかしがってた。
「もう、変な事言わないで」
「変な事じゃないだろ、俺は十六年前から口説いてるんだから」
「もうそんなになるんだ」
「いい加減俺のものになれよ」
「いい加減結婚相手探したら?」
「いいのか、凛の相談に乗ってやれなくなるぞ」
凛はじっと考え込んでいた。
「それは困るかな」
「だから、俺のものになれ」
「ごめんね、廉、頼るだけ頼って、私何にも廉に返せない」
「そんな事ないよ、こうして会って食事して、凛の相談聞いて、凛の気持ちが安定してるなら俺も幸せだよ」
「なんでそんなに優しいの?」
「はあ?わからないのか」
「うん」
「マジかよ、お前を愛してるからだよ」
凛は俺をじっと見つめていた。
しばらく廉とは距離を置くことにした。
廉はずっと私を愛してくれている。
でも、私はその気持ちに答えられない。
そんなある日、廉は具合が悪くなり、私に助けを求めた。
私はすぐ廉のマンションへ行った。
「廉、大丈夫?」
「ごめんな、なんか動けなくて・・・」
「こんな時見舞いに来てくれる彼女位いないと困るでしょ」
「凛がいればそれでいい」
「また、そんな事言って」
廉は私を見つめていた。
「こうやって凛は来てくれるだろ、だから彼女はいらないよ」
「お粥作ってあげるね」
「ああ、頼む」
廉はお粥を食べ終わるとウトウトしていた。
おでこのタオルを変えてあげて、看病をした。
一緒に年を重ねて、生きていくってこう言う事かなと改めて思った。
私は愛している人がいる。
残念ながら廉ではない。
しかし、その人はこの世にいない。
一緒に年を重ねて生きていけない。
でも、廉の気持ちに甘えるわけにはいかない。
この頃から私は廉と一緒にいることに心地よいと思うようになった。
側にいて愛してくれると、気持ちが動いて行く感じを味わった。