11月1日発売ラヴ KISS MY初書籍化

俺はあゆみと結ばれたことで、気持ちが落ち着いていた。

 

次の俺の思いは子供を作りたかった。

 

俺が消えた後、あゆみが一人になるのを防ぎたかった。

 

「あゆみ、子供作ろうよ」

 

「えっあの、私達契約結婚ですよね」

 

あゆみは俺の言葉に戸惑いを見せていた。

 

「俺、子供欲しいんだよね」

 

「子供って途中でやめる事出来ないんですよ」

 

「大丈夫だよ、最後まで……」

 

俺はそこまで言いかけて言葉を飲み込んだ。

 

あゆみは不思議な表情で俺を見つめた。

 

俺は最後まであゆみのそばにいてやる事が出来ないだろうと思った。

 

 

「あゆみ、こっちへおいで」

 

あゆみは恥ずかしがっていた、その表情がめっちゃ可愛かった。

 

俺はあゆみを抱き寄せた。

 

その時激痛が俺の頭の中を襲った。

 

「麻生さん、大丈夫ですか」

 

「大丈夫、びっくりしたよね」

 

あゆみは俺に横になるよう促した。

 

「ごめん、少しだけ横になるね」

 

あゆみは心配そうに俺の寝顔を見ていた。

 

この時あゆみは俺の限られた時間を感じ取った。

 

確実に俺の命は蝕まれていった。

 

あゆみとの時間は少なくなっている事を感じた。

 

あゆみ、お前を愛している、契約結婚は口実だと伝え俺はお前を抱きたい。

 

ある日仕事関係のパーティにあゆみを同伴させた。

 

仕事関係者にあゆみを妻として紹介した。

 

あゆみは俺を質問攻めにした。

 

「こんなに沢山の方に私を紹介して、他の人が奥様になった時どうするつもりですか」

 

「あゆみ以外を妻にするつもりはないよ」

 

「でも私達は契約結婚なんですよね」

 

俺はあゆみに契約結婚は口実だと伝えた。

 

「俺はあゆみに一目惚れしたんだ、だから一緒に暮らす方法を考えた、それで契約結婚を思いついたんだ」

 

「一目惚れなんて嘘ですよね、信じられません」

 

「嘘じゃない、俺はあゆみを愛している」

 

俺はあゆみを抱き寄せてキスをした。

 

 

その夜、俺はあゆみを抱いた。

 

俺には時間がない、早く子供を残さないと、俺とあゆみの愛の証を。

 

俺の思いを全て注ぎ込んだ。

 

「あゆみ、あ〜あゆみ、俺の名前を呼んでくれ」

 

「恥ずかしいです」

 

そのまま時間が止まってくれと願った。

 

 

第6話へ続く