原発問題備忘録

原発問題備忘録

このブログは福島第一原子力発電所問題について、個人的に情報を収集し判断して書いておりますので、鵜呑みにはしないでください。責任は一切負えません。コメント・メッセージは大歓迎です。できれば日本語でお願いします。

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最近、原発に関連して「経済合理性」という言葉をちらほらと耳にするようになった。

その説を幾つか読んでみると「政府のコスト試算が甘いため、実際には他の発電方式に比べてコスト高なので原発は非効率的だ」という主旨のようだ。

政府の試算が甘いのは他の事業もそうなので、恐らく正しいだろうと私も思っている。
そして試算をやり直した結果、原発のコストが他の発電方式に比べて割高になるのかもしれないと私も思う。

しかしながら、敢えて言いたい。

エネルギーは経済合理性だけで語られるものではない、と。

学者や評論家ではなく、実際に生産現場におられる方は理解して頂けると思うが、経済合理性を追い求めるのであれば「材料在庫を極力減らして回転率をあげる」ことが常識である。

材料在庫というのは、材料を購入して倉庫に保管し加工する前の状態のことだ。加工品を作るために在庫は必要だが、在庫状態である限り売ることができず、工場の資産として計上されるので様々な方法で在庫を減らすのが今の主流となっている。つまり在庫が増えれば増えるほどコスト高になるのだ。

ピンと来ない方は冷蔵庫の食材を想像して欲しい。

食事を作るために、通常はスーパーに食材を買いに行く。その日の分だけを買う人もいれば、作り置きするために3日分とか1週間分の食材を買う人もいるだろう。しかし、3ヶ月分の食材をまとめて買う人はあまりいないはずだ。保管する場所も広いスペースが必要になるし、腐ってしまうものもあるだろう。冷凍・冷蔵保存するためにはその分電気代も増える。だから主婦の方々は毎日スーパーに通って安い商品を購入して短期間で消費するのだろうと想像している(間違っていたら指摘して頂きたい)。

話を戻すと、火力発電については材料にあたるものが石油・天然ガス・石炭となる。石炭は国内で調達できるが、石油・天然ガスはほぼ輸入に頼っているため、輸入元の状況次第で材料の調達がストップする可能性がある。従って現状、石油については政府・民間合わせて112日分の備蓄を常に保管しているのだ。

もし、この記事を読んでいる方で工場長の知人がおられるなら一度聞いてみて欲しい。「あなたの工場では材料在庫を112日分保管していますか?」と。よほど特殊な材料でない限り「そんなに在庫を持っていたら工場は潰れる」と返事が返ってくるはずだ。

では石油備蓄を減らせばよいのか?

残念ながらそれはできない。石油は発電だけでなく、自動車・船・工場施設などの燃料としても使われているため「枯渇することが許されない材料」となっているからだ。

私が読んだ原発の経済合理性についての文章には備蓄について記述されていなかったので、含まれているのかいないのか残念ながら判断できなかった。もし含まれていないなら備蓄についても試算に追加するべきだと思う。

長くなってきたので続く。
まずは記事を読んで頂きたい。

「脱原発」解散に反対=2次補正、7月成立目指す-民主幹事長

 民主、自民、公明3党幹事長は26日午前、フジテレビの討論番組にそろって出演した。この中で民主党の岡田克也幹事長は、菅直人首相が「脱原発」を争点とした衆院解散に踏み切るのではないかとの見方が出ていることに関し、「シングルイシューで解散はやるべきでない」と述べ、解散に反対する考えを明らかにした。自民党の石原伸晃幹事長は、解散に備える構えを示した。
 東日本大震災からの復旧の追加的対策を盛り込む2011年度第2次補正予算案について、岡田氏は7月15日に国会に提出されると明言、「早ければ10日もあれば関連法案を含めて終わってしまう」と述べ、来月中の成立を目指す考えを強調。公明党の井上義久幹事長も「いつでも通せる」と語り、早期成立に協力する姿勢を示した。
 首相が意欲を示す再生可能エネルギー促進法案に関し、岡田氏は「自公両党が反対しても通る可能性は十分ある」として、早期の審議入りと採決を求めた。これに対し、井上氏は「議論して一定の結論を出せばいい」と応じた。石原氏は「(国会提出から)2カ月以上ほったらかして、この局面で通してくれと言われると(首相の)延命だと思う」と指摘した。(2011/06/26-10:05)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011062600041

再生可能エネルギーについてご機嫌な顔で語る菅総理を見ると、解散総選挙で「私はこの国を再生可能エネルギーで美しい国に戻したい!」と叫ぶ姿が容易に想像がつく。

岡田民主党幹事長の言うように、現在の日本はひとつの問題(シングルイシュー)でかたをつける状況ではない。もし脱原発のみを争点に選挙が戦われるなら、こんなバカげた話はない。

なぜバカげているのか?理由は幾つもある。

まず、原発事故を拡大させ、未だ収束できていないのは他ならぬ菅政権の問題であるのに、新しいことを提案して相殺できるなら今起こっている原発問題が放置されてしまう。4/17に東電から発表された原発対応工程表のステップ1は7/17に終わる予定になっており、それを実行するのは東電であるが、監視して尻を叩くのは政府である。しかし、7/17まで残り3週間となった本日時点で見通しの立っていない項目は多い(東京電力原発対策取り組み状況資料より)。政府はこの責任を取らなくてはならない。

そして、再生可能エネルギーについては、一部では原発推進党と考えられている自民党も賛成しているので争点にはならない。「これまで原発を推進してきたのは自民党だろ!」と思う人も多いかもしれない。それは確かに事実だ。だがしかし、その一方で2004年まで太陽光発電量・太陽光発電設備シェアを世界一にしたのも自民党であることも事実。

次に、原発事故対応を含めた震災対応と復興の遅れが原因で退陣を迫られているのに、福島以外の大規模被災地を無視することは許されることではない。私のブログでは原発問題だけを扱っているが、より重大でより迅速な対応が求められるのは津波復旧の方である。その進捗が遅れている現状だからこそ「言ったことを守らない」現政権に私は何ら期待できないのだ。

最後に、次の選挙では、政権交代を目的とした2009年版民主党マニフェストが実行されたかどうかを必ず評価しなければならない。国民との約束として掲げたマニフェストがろくに実行されないままウヤムヤに終わらせてしまっては、いつまで経っても「どうせ公約なんか守られない」ものとしか認識されない。

これらのことがウヤムヤにされて再生可能エネルギーのみが争点として報道されるようなら、国民を愚弄しているとしか私には考えられないのだ。