10年ぶりに横浜に帰ってきて暮らした当初は、変わってしまった町並みにセンチメンタルになったり、久しぶりの友人との再会に肩たたきあったり行方不明の奴もいたりと、脳科学者にいわせればアーユレディの脳は活性化してたわけだが、半年経てばそんなもんグダグダでっせ。
そしてハッキリしたことが一つあってね、
「やはり俺は母が嫌いだ」
ってことだ。父はそうでもない。
あいつら現在は鎌倉に住んでて俺んちまで40分。前の荒川区の4分の1。近くに疎遠だった息子が来たからって母の野郎毎週来やがる。しかも泊まってこうとするからな。
俺はお前の干渉が鬱陶しくてすぐ家を捨てたんだよ。
読む本は純文学にしろだの友達が悪いだの、このままいくとアンタは不良になるってか?
たしか不良は不良だが、自分は戒律を持ってんだよ。タバコも盗みもカツアゲもみんながやってるからってやらないんだよ。ケンカだって反撃してくる奴とやるんだよ。気の優しい内向的な子をサンドバッグにしてなにが楽しい?
第一、スリルないだろ、
小さいころから俺の内面を操作しようとしやがって。子供には子供の世界があるんだよ、お前らが入ってくると壊れるんだ

今の子供だって、ポニョとかアンパンマンとか子供同士で語りあいたいかもしれんだろ。
気をきかせてんだかしらんが、お前ら大人がヨコから口挟むと気が散るんだよ。そうやって親や大人の顔色ばっかみて行動するヘンなガキが出来上がんだよ。
最近30過ぎて少しくらいは親孝行しようなんて気になってたが、いまだ俺のテリトリーに文句言ってくるお前は完全に「敵」だ。
産んでくれたことだけで感謝できぬ。
ほっといてくれ

享年三六。大腸に癌が見つかったときにはもう遅くて入院ちょっとだけ。そんなこと知らない俺は酒呑んでいるところの突然の訃報に寂漠感というか諸行無常というか

