ドールの仕事を覚えなければ自身が火傷をしているのを知る事は無かった。ヴァイオレットはかつて味わった事の無い絶望に、悲しみ暮れる中で自分の存在意義を見失う。自分で首を絞める事も彼女の腕力・・・この両手なら十分可能だった。だが、少佐への思い、思い出や言葉が頭をちらつかせて、その手を緩める。

 

一通の手紙が届く。初めての自分宛の手紙。膨大な、捨てられていた手紙達の配達を手伝うヴァイオレット。同じ会社で働く郵便局員の言葉で、自分の手紙は・・これからもずっと少佐には届く事はない。自分がやってきたこの仕事であれば、届かない想いを、他者を自分のように悲しい思いをしなくていいようにできるのではないかと気付く・・気付いたのだと思う。けれど、自分のしてきた事、燃えている事を無視する事はできない。―ヴァイオレットという名の人になりなさい。ヴァイオレットは残された・・最後の命令をなんとか叶えたい。仲間からの手紙に自分にも、居続けて良い居場所がある事を知る。一番の適任者に、中佐に聞くしかなかった「生きていていいのでしょうか?」と。互いに、戦場で背負ってきた火傷の数は図りきれない。永遠に悩み続けるしかない。中佐自身も生きていていいのかどうか分からないでいた。それでもなお生きていなきゃいけないと思いながら。

同じ境地まで辿り着いた事に関する思い

純粋に、ヴァイオレットが成長したことへの喜び

改めて口にする事が出来るんだという思い、他者へ投げかける言葉はいつも自分に言い聞かせてきた言葉。

少佐の死を隠していた事は相当な不安だったと思う、ヴァイオレットが少佐の死を知って、悲しみから乗り越えてくれるのか・・乗り越えてほしい、その想い。真っ直ぐな眼差しで言葉聞く彼女なら、きっと自分の言葉でも何かをいってあげられる。それまで傍で見守るしかない、彼の忘れ形見を。

同じ苦しみを共有できた事に互いに感極まるが、しっかりと、ヴァイオレットが、ヴァイオレット自身が築きあげてきた道がある事を教えてあげることが出来た。苦しみの中を生きる先駆者として。

 

 

 

 

そして何より、作画と声優のレベルの高さが全ての質を底上げする。石川由依。冒頭からヴァイオレットの感情に取り込まれるかのように、魅入り、同調、共感する。声に乗る情報量が、感情の質が高く共感の度合いが高くなる。