立川吉笑38→39

立川吉笑38→39

立川吉笑、38歳、落語家。

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2023年2月1日(水)

 

アメブロの更新は久しぶり。

2022年の夏の終わりを捧げたテイトクラファンなんて、もう随分昔のことのよう。あれからどうなっているのだろうか?ちゃんと想いを込めた運営をしているのだろうか?まぁ僕の預かり知らないことではある。それぞれの持ち場で頑張るしかない。

僕はと言えば、あれから色々なことがあった。幾つかの受賞が重なり順風満帆に見えるだろうけど、裏では相変わらず反動で落ち込む数週間もあった。いまはまた少しずつ上り調子と言ったところか。自分が思うかっこいい真打になるために、今年も全力で突き進もうと思う。

今日から渋谷らくごでの『吉笑三題噺五日間』の練習を始める。

 

なんでもそつなくこなせる器用な人間に思われることもあるけど、全然そんなことなくて、ただ単純に裏で猛烈に時間をかけている。同じくらい時間をかけてすらいないのに、簡単に「才能の差」などと処理してしまえる雑な人が好きじゃない。一緒にいてもこちらの熱量が冷めてしまうだけだから、可能な限り距離を取ろうと昔から振る舞っている。そこはそう、徹底的に。

 

 三題噺の前にも、大きな山場はいくつかあって、一番はソーゾーシーのネタ下ろしが2ヶ月連続で。まだどちらのネタも全然形になっていないけど、この数ヶ月頭の片隅にいつもあった種を3月あうるすぽっとに、2月高円寺はタイトルとハイライトシーンだけ浮かんでいるあるネタを持っていこうと思っている。「西の●●」というネタ。

 

 

 誰かの夜の、果ての、最後の一踏ん張りの、微かな足場にでもなれたら嬉しい。同じように僕はあの人やあの人から、そんな最後の一踏ん張りの、微かな足場を作るための、小さな石を、いくつも、分けてもらってきた。

 

///

 

2022年1024()
小室直樹・ペンギンカフェ・デイリーズカフェ

 朝、作業場で真打計画01の高座動画をvimeoにアップロードする。そろそろ配信始めなくちゃいない。
 なんとなく、これまで読めていなかった小室直樹先生の評伝を持って久しぶりにいつもの喫茶店へ。途中、図書館みたいな、ホテルのラウンジみたいな、そんな雰囲気を纏う店を見かける。入って見ようかと思うけど、まずはいつもの喫茶店に行くことに。ペンギンカフェ。
 一段落しての帰り道、気になった店はまだ開いていて、もう少し作業をしたかったこともあり寄ってみることにした。たぶんできたばかりでまだ知られていないくて、立地的にも周辺住民のみが出会える場所で、なおかつ店自体がめちゃくちゃ広いから、これは自分にとって、とても快適に使える穴場なのだった。「Well-Blend阿佐ヶ谷」というシェアハウスっぽい雰囲気のあるマンションの1Fにあるデイリーズカフェという場所。
 ラウンジ以外にサウナもあって、だったら作業場をここにしたら良いのではと思って調べてみると、家賃は予算の範囲内だけど、ぐっと狭くなるから、やっぱり今の部屋にトータルでは軍配があがるのだった。梅雨の終わり頃に買ったKOMAの椅子がそろそろ届くはず。ラグも買って、作業場の住環境を高めようかと思っている。

 思い立って「羅房」を始めようと決める。「月と散文」に影響を受けていないはずはない。羅房という名前は本当は作業場の名前にしようと思ったのだけど、調べたら画数的にあまりよくなくて、そのまま放置していたものを、まぁウェブスペースで使うのだったらいいだろうと。書く筋力を鍛えて、また小説を書きたい。

 

 

2022年1025() 断片
全国若手落語家選手権予選「ぷるぷる」

 

(略)

 ということでそう、無事に予選を通過することができたのだった。
 ここでは正直に書くけど、当たり前にどう考えても
●●さんが強敵で、というか現状の勢い的にはあちらが圧倒的な本命というのは間違いなくて、でもそう簡単に負けるつもりはないぞとも思っていて、というか、なんとか勝ちたいなぁとさえ思っていて、というか、全然勝てない勝負じゃないだろうとも思っていて。

 

(略)

 結果、この夏仕入れた圧倒的に強い「伊佐坂先生」のマクラで、ドンと沸かせてから「ぷるぷる」という、一番丁寧な方法で。ネタ自体はいつも以上にウケたところと、いつもはウケるところがウケなかったりとまぁそんな感じで、でも終わった段階でまず大丈夫だろうなぁという手応えで、というのが実際の感触といったところか。

 

(略)
 いずれにせよ、●●さんが素敵な芸人さんということは間違いない。本当にあんなに主人公感がある人は●●さんと●●さんしか会ったことがない。たぶん来年には情熱大陸あたりに密着されるはずだ。そんな眩ゆい才能に憧れるけど、自分はまた違う方向で輝きたいとも思う。

 

 

2022年1026() 断片
ぶつかり稽古 伊賀一景
JAL名人会 ぷるぷる

(略)

 初めて呼んでもらった「JAL名人会」。そうだ「ぷるぷる」は音源だと目を閉じてる寅さんと、最後の親方の部分が伝わらないじゃないかと出番少し前に気づく。無理やり言葉で補うことに決めて本番。緊張していたのか、疲れもあるのか、ど頭で噛んで、そのあともちょっと言い淀みが気になった。それでもネタ自体は予定通りちゃんと笑ってもらうことができた。笑い量と密度だけだと、圧倒的にこの日の一番を取ることができた。自信を持って大丈夫。ネタが強すぎる。
 それでもこうやって事が順調に運んでいる後は絶対に良くない流れになるから、そこも覚悟して、それでもこんな良い流れができるだけ続くように謙虚にひたむきやっていこう。あと5日くらいだけ、このままの流れでいきたい。

 風向きが怪しいのは、今日発覚した出番順。最悪の事態は避けられたからそれだけでもまず良しなんだけど、そんな中では一番最悪なものになっていた。どうシミューレーションしても、●●さんに負ける感じが強くなってきた。うまくいって同点で決選投票。そうなると、まだ勝ち目はあるけど、同点にまで持っていけない感じがぷんぷん。

(略)
 ただそうやって呑まれるのは良くないから、あくまでも強気でいきたい。ネタの力は間違いなくある。それだけの準備はやってきた。結果も出してきた。そして、今頃向こうは向こうで「色々シミュレーションするけどやっぱり吉笑さんが強いなぁ」と悶々としているんだと思う。もちろん他の4人も含めてだけど、どんなことになるのか楽しみだ。とにかく「ぷるぷる」はその日一番の大爆発を起こすしか勝ち目はない。その大爆発の規模をどこまで高められるかだ。天井が抜けるくらいの、ドッカーン!!!をものにしたい。そして「ぷるぷる」は真打披露目までしばらく封印するんだ。

 

 

立川吉笑ウェブ書斎『羅房』

1000円でお釣りがくる、過剰な日々の記録。

 

 

 夏からずっと頭の片隅にあった短編小説の執筆がようやく終わって、久しぶりに深く呼吸できる日々を過ごしている。短編はまだ編集者からの返答がなく、ここから直しの作業が始まると思うけど、ひとまず終わりまで書けたからよかった。とてもタフな作業になったのだけど、そのことについてはまた改めてどこかで言葉にしたい。(同じタイミングで締切があった中央公論の原稿では一足先に書いておいた。)

 実際にやってみてようやくやろうとしていることと現状との距離が掴めることってたくさんあると思うけど、短編執筆はまさにこれで、なるほどこれくらい大変な作業なのか、今の自分の道具だとちょっと思っているところへ到達するのは無理だから、まずは道具を集めて使い方を覚えなくちゃいけないなぁと、そんな風に思っている感じか。無事に掲載が決まったら改めてお知らせします。タイトル知ったら、僕のことを応援してくださっている皆さんには驚いてもらえると思う。

 

 さて、今日は来月から始まる「真打計画03」について書こう思う。

 7月23日に予定していた真打計画02は延期になって、振替公演が11月3日に決まったから、02に先立って03を開催することになった。計画はあくまでも計画でその通りに進むはずはないし、最初からそのつもりで覚悟していたから、とにかく「かっこいい真打になりたい」という想いだけはぶらさずに、その都度最善の道へ軌道修正しつつやるべきことをやりたい。

 

 どうしたって東京近郊での活動が中心になる中で、できれば各地のお客様にも僕の真打昇進を自分事のように喜んでもらえたら嬉しいなぁと思って、そのために昇進する前の段階、この真打計画から各地へ伺いたいなぁと思った。この数年ソーゾーシーツアーでできたご縁もたくさんあるから、それはとても大きな後押しになっている。

 本当のことを言うと、僕としては今年のソーゾーシーツアーも去年の15都市17公演くらいの規模にできればと思って動くつもりで、そのために秋以降スケジュールも抑えていたのだけど、ソーゾーシーは今や皆さん売れっ子でスケジュールなど色々な兼ね合いでそんな規模では開催できなくなって。たぶん遡ったらどこかでそれが判明した時のことも言葉に残してあるはずだけど、そこから「だったら確保したスケジュールが空いているのだから真打計画で回るか」と03を各地で開催する決心がついたのだった。

 

 今や若手演芸家としては指折りの人気者になられた兄さん方とのソーゾーシーならまだしも一介の二ツ目である僕一人の公演となると、そりゃ開催に尻込みされる主催者も多くいるだろうと想像していたけどありがたいことに。宮城・大阪・愛知・静岡・山形・佐賀・福岡で開催できることになった。1年目でこれだけの公演数で開催できるのは思っていた以上の形となった。以下、各公演の情報にちょっとした想いを添えて。

 

 

☆10月10日(月・祝) 宮城公演

13時開演 仙台市福祉プラザ9F

初日の仙台は半分自主公演のような形。ソーゾーシーツアーを手伝ってくれている、昇々兄さんのお友達「つくちゃん」が快く引き受けてくれました。12月には花座で独演会をやらせてもらうことが決まっていたりと、仙台は今後定期的に伺いたいなぁと思っています。案外東京から近いし、図書館とサウナがあって好きな街です

 

☆10月14日(金) 大阪公演

18時45分開演 道頓堀ZAZA Pockets

大阪公演は吉田食堂さん主催。その数年定期的に開催して頂いている独演会と組み合わせる形で真打計画として伺わせて頂けることになりました。終演後は阪急電車に乗って京都の実家に帰ります。最近は京都で会を開催できていないから、とても貴重な機会です。金龍ラーメン(青春の味!)の誘惑に今回は勝てるかどうか。たこ焼きは、食べます。

 

☆10月15日(土) 愛知公演

15時開演 矢場町・spazio rita

愛知公演はスタジオ・リタというオルタナティブスペースでの開催。主催はもうずっと応援して頂いているはじめ亭しげたさん。しげたさんのお人柄とかこれまでの積み重ねがあってか、特に熱気溢れる雰囲気で会が始まる印象なので、こちらもがつんと今の自分をご覧頂けるように頑張れたらと思います!

 

☆10月16日(日) 静岡公演

14時開演 casa SHIZUOKA

静岡公演は寄席バッソさんの主催で。本業は建築だけど、精力的に演芸の後押しもしてくださっています。二ツ目になりたての頃からお世話になっている場所で、こうして真打昇進を見据えた会を開催できるのは嬉しいです。かっこいい真打になって恩返しできればと思っています!しきじ(サウナ)に寄れるかな、どうでしょうかな?

 

☆10月29日(土) 山形公演

14時開演 山辺・噺館

山形公演はこの夏にソーゾーシーで初めて伺った噺館(はなしごや)さんで。主催のらくごやまさんは同年代でご自身も落語をやられる方。演芸に愛情があって、なおかつ超敏腕なので、マネージャーを雇えるくらいの仕事規模になったらお願いしたいなぁと思っている方。噺館は超絶素敵な空間だから、また伺えることがとても嬉しいです。晴れたらいいなぁ。

 

☆11月12日(土) 佐賀公演

17時開演 シアター・シエマ

(詳細はまだ出ていないのですが、お問い合わせはこちら)

bautytanabe@gmail.com

 

太福兄さんと毎年5月に伺わせてもらっている「弐の壱寄席」が佐賀公演を立候補してくださいました。シアター・シエマは佐賀カルチャーシーンの大事な拠点なんだろうなと、佐賀の事情は詳しくないけど、佇まいからひしひしと伝わってきます。演芸好きの温かいスタッフさんたちが愛情を持って手伝ってくださる大好きなチームの皆さんに真打計画も催して頂けて僕は幸せ者です。

 

☆11月13日(日) 福岡公演

14時開演 あじびホール

福岡公演は「ひなたの会」さんが主催を引き受けてくださいました。いつもは二人会を中心にやっておられるのですが、こうして真打計画の開催サポートに立候補してくださって大感謝です。福岡はいつも温かくそして前のめりに聴いてくださるイメージがあるので成長した姿を見て頂けるように頑張りたいです。美味しいご飯がたくさんあるから、何を食べようか早くも悩んでいます。

 

 

 以上、各地で初めての真打計画旅公演を開催できることになりました。計画はあくまでも計画だから、相変わらずこの先どうなるかなんて分からないけど、できれば来年も同じ感じで旅公演をできればと思っています。そして晴れて真打昇進できた際には師匠やゲストをお招きして、この真打計画03に立候補してくださった各地では必ず披露目をできればなぁと思っています。

 

 お近くにお住いの皆様、ぜひお時間ございましたら会場へいらしてください。精一杯、今できる落語をやろうと思います!

 ミュージックテイト菅野さんから、なぜか僕にだけ名指しでリプライが飛んできた。ソーゾーシーのCDを置いてもらったり、CDやDVDを買わせてもらったり、落語会も何度か出演させてもらったことはあるけど「なんで僕なんだろう?」と不思議に思いつつ、まぁ思ったことを手紙で綴りました。以下、菅野さんに読んでもらうためだけに書いた文章です。

 

///

テイトのクラウドファンディングについて

 

☆募集ページを見て「いいな!」と思ったこと

(1)目標金額と使用用途が明記してある。

→まずは「2年分の家賃とクラファン手数料で

 1200万円必要」と

 「どういう理由で、いくら必要なのか」

 これ以上ないシンプルな形で記されていて、

 良いなと思いました!

 

差し障りがあるかもですが、

できれば現時点での家賃を明記した方が

より透明化できてよかったなと思うのと、

クラファン後の

経営プランの見通しについて記載がないから、

「抜本的な解決にはならないのでは?」

と引っかかり、

支援することを

躊躇させてしまう可能性が残っているのは

「むむぅ」と思いました。

あとは家賃が高い新宿に

今後も店を構える事情や必然性について

記載がないことも

支援の躊躇につながるだろうなと。

 

 

(2)使用用途に「後継者の育成」とあったこと

→どこまで本気で

 そう思ってらっしゃるのかわからないけど、

 「後継者の育成」

 というメッセージを見て、

 僕は(1)に書いたマイナスの要素が

 全部吹っ飛びました。

 「高い家賃で継続する理由」や、

 「そもそもCDが売れない時代に、

  ましてや演芸専門のショップで

  どうやって利益を確保するか」

 に対するアンサーがなくても、

 ただ一点、

 「一時しのぎの

  繋ぎにしかならないかも

  しれないけど、

  その繋ぎの2年で自分のように、

  演芸界、特に若手のために

  演芸文化を守っていくための

  後継者を育てたい」

というメッセージがあることで、

そうか一時しのぎの2年だとしても、

その2年は次世代にバトンを渡す

大きなきっかけの2年になるんだなと、

ハッとしました。

経営プランの見直しなどは

その後継者とあとで試行錯誤すればよくて、

まずはそんな後継者に引き継ぐため

猶予期間として

向こう2年を死守したい、と。

 

商品を購入するだけなら

ほとんどamazonで解決するけど、

「ここに行けば

 あらゆる演芸関係のものが揃っている」

「同じように演芸を愛している人が集まれる」

「若手育成の場になっている」

とそう思える場所は

「文化」そのもので、

そんな場所を

自分が退いたあとも

受け継ぎ遺してくれる後継者を育てたい、

そのために2年の延長戦を我々にください。

 

というのは、

とても強力なメッセージだと思いました。

理想で言えば、

もし現時点で後継者候補がいるのであれば、

その方も

「僕が菅野さんの想いを

 引き継ぎたいと思っています。

 ご支援お願いします!」

と前に出てこられた方が

支援する側は応援しやすいし、

クラファンが成功したあとの

2年の引き継ぎ期間も

より潤滑に進むんじゃないかなと思います。

まだ後継者候補が

見つかっていないのであれば、

このクラファンきっかけに

菅野さんの想いを継承してくれる方が

見つかるといいですね!

 

 

☆募集ページを見て

 「改善した方がいいなぁ」

 と思ったこと

 

(1)募集ページの文章が長い

クラファンの鉄則として

「募集ページをいかに読みやすくするか」

というのはよく言われることです。

募集する側は、

もともと想いが強くなっているのと、

それを過不足なく伝えたいと思うから、

どうしても「あれもこれも」と

長く書いてしまいがちです

(この手紙のように)。

 

そんな長い文章を

ちゃんと読んでくれる

熱い想いを持ったお客様は

当然支援してくださると思いますが、

1200万円という目標金額は

そんな「濃いお客様」だけでは

到達できるはずがなく、

肝になってくるのは

「演芸に対して熱い想いはあるけど、

 テイト自体はそこまで強く

 推しているわけではない」

という方々にどれだけ支援してもらえるか。

 

そうなると、

募集ページにアクセスしたところで、

ズラーっと長い文章があるだけで

「うっ」となって

最後まで読んでもらえない可能性が

少なくないです。

 

さらに細かい話をすれば、

菅野さん自身が

他人のクラファンページを

ご覧になったらわかると思いますが、

そこに動画が埋め込んであっても

まず再生すらしません。

テキストだとまだスクロールしながら

チラ見するけど、

わざわざ再生ボタンを押して

そこへ留まって動画を見る、

ということはほぼほぼないはずです。

 

なので一番大事な

「店長からのメッセージ」を

動画形式のみにしているのは

明らかに勿体無いです。

「現状」や、

上記の「後継者の育成」などを中心に

菅野さんの想いを正直にしっかり、

でも長くなりすぎずに

記したメッセージを

テキストで掲載した方がいいです。

そのとき文字だけだと読みづらいので、

写真はわりと頻繁に挿入して

リズムをつけた方がいいです。

特にスマホで閲覧した場合、

テキストに挟まる画像は

とても見やすく効果的です。

(笑顔の菅野さんの写真、

 とてもいいと思いました)

 

たぶんパソコンで作業されていると思いますが、

スマホでどう見えるか確認するのも忘れずに。

 

僕のスマホだとこう表示されます。

こうならないように、

少し使う言葉を工夫して

無駄に二行になっているところが

一行で表示されるようにするだけで、

読みやすさはグッと変わります。

 

 

そのほか募集ページの記載内容について、

ここでまとめて書いちゃいます。

 

サービス業の基本なので

釈迦に説法だと思いますが、

大前提は

「読んでいる人がどう思うか」

を第一に考えることですよね。

上記の理由で

動画をたくさん埋め込むのは

あまり得策ではありません。

(例外として、それこそ

 伯山兄さんや宮治兄さんのように

 映像があると多くの方に「見たい!」と

 強く思ってもらえるであろう方々の動画は

 求心力があるのでありだと思います)

 

店のことを

紹介したくなる気持ちはわかるけど、

「西新宿ぶら~り寄席」とか

「成金」の情報については

掲載する優先順位は低いと思います。

テイトのことを全く知らない方

に向けてのクラファンじゃなくて、

すでに

ある程度知ってくださっている方々

に向けて

「ご支援お願いします!」

という企画なので、

ほとんどの方が

「テイトを起点に成金が大きくなった」

ということはご存知だろうから省略しちゃって、

伝えるべきメッセージに

注目が集まるようにした方が

いいんじゃないかなぁと思います。

 

各師匠方からの応援メッセージも、

SNSなどを中心にたくさんの種類

見られるようにするのは良いと思いますが、

募集ページの冒頭に

ずらっと羅列する優先順位は低いです。

 

まずは

「菅野さんの想い」

「人となり」

「テイトの現状」

「目標金額・用途」などを、

強く伝えられるように、

でもできるだけ簡潔に、

画像を使って読みやすく、

まとめることが大事です。

 

「テイトのことはなんとなく知ってる」

「演芸のことは大好き」

 

という方が募集ページを見て、

 

「こんな方が運営されているのか」

「こんな想いでクラファンされているのか」

「支援したら、こんな風に役に立てるのか」と

より思いやすくなるようにした方がいいです。

(募集ページでは応援メッセージは、

 数行だけ抽出して

 お名前と宣材写真を添えて

 使わせてもらえるくらいにするのが

 いいでしょうね。

 そのかわりSNSでは

 ガンガン応援メッセージを

 貼り付けていきましょう)

 

(2)リターンの設定が「うーん?」

リターンについては、システム的に

後から差し替えることができない気もしますが、

まずは「むだに種類が多い」と思いました。

せっかく支援しようと思っても、

実際にどれを支援すればいいのか

パッとわからず

そこで躊躇してしまう方が一定数いるだろうと。

 

また支援してくださる方のほとんどは

「テイトを存続させたい」

という強い想いで支援してくださるのだから、

正直「モノ」としてのリターンは

そんなに求められていないんじゃないかと

僕は考えています。

パッと見たところ

無駄に原価率の高いリターンはないから

その辺は大丈夫として、

リターンの種類が多くて

どれを選んだらいいのかわかりづらいのは、

支援を躊躇させてしまう要因になりそう。

 

そのあたりは

今さらああだこうだ言っても仕方がないですが、

もし各コースの名前を変えられるなら、

そこは今からでも変えてもいいかもしれません。

 

実際に会への招待券なんかもリターンに含まれている状況で

「勉強会コース」

「二人会コース」など、

会の名前がリターン名についているのが

ややこしいなと僕は感じました。

勉強会のチケットが

ついてくる気がしちゃうというか。

 

「演芸界らしい用語を使って」

「ランクアップしていく感じを出して」

というところから、

今のネーミングになったとは思いますが、

設計段階で

もっとやりようはあっただろうなぁと。

「一日席亭コース」は

ネーミングと内容がイコールだから

わかりやすいですね。

 

僕がやったクラファンだと上記のことから、

見込み支援者数から逆算した平均希望支援額を

「メインコース」とすることで

「ここを基準に考えています」

と暗に提示しつつ、

それより多くご支援くださる方を

「タニマチコース」と

演芸まわりの用語で表して、

さらに上のコースを用意するときに

「タニマチより上の言葉」を

演芸まわりから持ってくると、

タニマチコースに支援してくださった方が

少し残念な感じがされる可能性があると思い、

いっそ全く別の文脈から

「ちゃおコース」という

自分たちにとって大事な言葉を

コース名に使いました。

そして

メインコースよりちょっと少額のコースは、

支援者に「少なくて申し訳ないです」と

思わせてしまわないように

「応援コース」と名付けました。

 

めちゃくちゃ細かい話ですが、

そうやってとにかく

支援を躊躇させてしまう可能性があるものや、

支援者の方に「ん?」と思わせてしまう要素を

徹底的に改善して

精一杯誠実に対応していくのが、

皆様から支援を集める以上

当然のことじゃないかなぁと僕は思っています。

 

 

☆そのほか、やった方がいいと思うこと

 

今回菅野さんがPRのために

ツイッターアカウントを開設されたのは

当然やるべきことと思います。

本当ならこのクラファンを始めるもっと前に、

例えば1年前とかから

ツイッターを運用しておいて

認知度を上げて備えておくべきだった

とは思いますが、

それも今さら

どうこう言ってもしょうがないことで。

 

でもとりあえずアイコンの写真は

あの笑顔の写真に今すぐにでも設定しましょう。

「誰が」「どういう想いで」

というのを

とにかくまっすぐに伝えるしかないから、

無機質な初期設定の画像で

「支援してねー」と言われても、

そこに菅野さんの温もりを感じづらいです。

 

もちろん個人アカウントで

PR展開するのもありだし、

今の段階で1からフォロワーを増やしていくのは

情報を拡散する上でプラスにならないから、

すでに動いているテイトのアカウントに特化して

運用していくのでも全然いいと思います。

その時も

「中で菅野さんが動いている」

というのは

ちゃんと伝わるように設計してください。

 

システムとして自動で

「あと25日で、

 約946人からの協力がないと

 支援が届きません」

というようなメッセージが

共有するときに用意されていますが、

自分たちのアカウントでも

随時支援状況は、

お礼の言葉を添えて拡散するようにしましょう。

 

今みたいに1日一回くらいのペースで

応援動画を添えて支援状況を拡散するのは

当然効果的ですけど、

もっと頻度は増やしていいと思います。

基本的に

現時点で支援してくださっている200名弱は

猛烈にテイトのことを

想ってくださっている皆さんで、

これからは、そこまででもない方に

どれだけ想いを届けることができるか

になってくるので、

さっとスクロールされてしまうタイムライン上で

奇跡的に目に止まり、アクセスし、

そこから支援までして頂こうと思ったら、

そのきっかけは

たくさんタイムライン上に流す必要があります。

 

もし僕がリターンを考えるなら、

これまでテイトに出演された師匠方にお願いして

「テイトでの想い出」とかを喋ってもらう

トーク動画(30分とか60分とか)

を用意しただろうなぁと思います。

師匠方には無理を言って

ボランティアで協力してもらえたら、

基本的に動画コンテンツは

原価0円で用意できます。

(編集は自分たちでやる)

 

いち落語ファンとして

「成金が始まった時のこと」とか

「成金の勢いが増してきた時のこと」とか

めちゃくちゃ聴いてみたいです。

テイト(というか菅野さん)の

これまでの歩みなんかも、

思えば僕も知らないくらいで、

そういうのも

リターン動画コンテンツの1つとしてなら

見たいし、知りたいと思う方も

少なからずいるんじゃないかなと。

(くれぐれも応募ページは端的に!)

 

 

☆最後に

 

などなど、今回なぜか

名指しで僕にだけ

メッセージを送ってこられたので

思うことを手紙に書きました。

僕はクラウドファンディングについては

落語家で一番実践してきたはずで、

少しは自分なりの経験値が貯まっています。

「だったら手伝ってあげたらいいじゃんか」

という話なのですが、

取り組む以上は徹底的に考えて考えて考えて

最善を尽くしたくなる僕の性格からすると、

そういう「実業」モードで

脳をフル稼働させると、

そのあとネタを考えたり稽古したりする

本来自分がやるべき

「虚業」モードへ脳を切り替えるのが

とても難しいんです。

現にこの手紙を書くだけで

今日の午前中を丸ごと費やすことになって、

ここから作業に取り掛かろうにも

脳みそが「わー」っとなっているから

しばらくは使い物になりません。

 

でも、もちろん

テイトさんにはお世話になってきたから

こうして、

「本気で」やり通す気持ちがあるなら

こういう改善点ややり方がありますよと、

提案させてもらうことと、

あとは少しでも情報が行き届くように

拡散に協力させてもらうくらいが

自分にできる関わり方かなと思いました。

 

繰り返しますが、僕は

「一時しのぎの

 繋ぎにしかならないかもしれないけど、

 その繋ぎの2年で自分のように、

 演芸界、特に若手のために

 演芸文化を守っていくための

 後継者を育てたい」

ということで全て腑に落ちました。

 

菅野さんが本気でそう思ってらっしゃるなら、

そんな未来を迎えられるように

微々たる力ですが

後押しできればと思っています。

 

頑張りましょう!

いつもありがとうございます。

 

立川吉笑

 

 

ミュージックテイトさんの

クラウドファンディングはこちらです。

どうぞよろしくお願い致します。

 

(まずはこれを再生して、聴きながら読んでね。)

 

 

 ソーゾーシー山形公演が終わって最終電車に飛び乗っていま。東北新幹線は山を越えて福島県に入ったところ。前では昇々兄さんが小説を読んでいて、後ろでは昼公演だけだと思っていたみね子師匠がうとうとされている。僕もさっきまで眠たかったけど、トイレに行ったらすっかり目が覚めた。

 色々なことをすぐに忘れちゃうから、どんな流れで山形公演をやることになったのか、はっきりとは覚えていない。「それぞれの故郷で開催したいよね」という話になって、だったらみね子師匠の故郷・山形でもやろうと、こちらから山形落語愛好協会さんにお願いしたのか、各地から主催者を募集した時に山形落語愛好協会さんが立候補してくださったのか。

 どっちだったのかは忘れてしまったけど、とにかく山形公演は盛り上がる。ツアー屈指の動員数だし、さらに人数以上にドカンという笑い声の響き具合は圧倒的で、ついには昇々兄さんが血縁関係含めて何の具体的な繋がりがなかった中、「山形は故郷です」とほうぼうで宣うくらいで。それらは山形落語愛好協会の、もっと言えば中心となって動いてくれているTさんのおかげというのが大きくて。

 色々な事情で山形落語愛好協会さんに主催してもらうことができなくなった今年。ダメ元でTさんにお願いすると「個人的にバックアップしますよ」と今年も手伝ってくださることになった。集客が読めなかったり、会場の空きがなかったりで、キャパはこれまでに比べてグッと小さくなったけど、そのおかげで噺館という素敵な劇場と出会うことができた。昼夜公演大盛り上がりで、相変わらず山形のお客様はびっくりするくらい笑ってくれて、スタッフさんお手製の芋煮は美味しくて。

 ツアーで各地を周るたびに思うのは、なんでここまで良くしてもらえるのだろうということ。興行を商いにされている方がツアーのために尽くしてくださるのはわかるけど(それでも、なぜたくさんの素敵な芸人がいる中で自分たちを気にかけてくださるのか不思議に思う)、文字通りボランティア精神でただただ尽力してくださる方々に支えてもらっているのがソーゾーシーで。

 こちらとしても労力に見合う対価は支払いたいと思っているけど、まだ現状の動員力だと自分たち自身への適当な対価も確保できない状態で、結果当然自分たちの収入は度外視するけど、同じように主催者さんも文字通りボランティア状態で。

 「関われることが嬉しいです」とか「自分たちの街に来てもらえるだけでありがたいんです」とか言ってもらえるけど、それでもやっぱりちゃんと恩返ししたいなぁといつも思う。動員できるようになってしっかりと利益をお渡しするのも大事だけど、たぶんそんな恩返しでは足りていなくて。だったりどうすればよいんだろう?といつも堂々巡りになる。漠然とは良い芸人になるのが一番で、こんなすごい集団をもうずっと前から呼んでいるんだ、と思ってもらえるようになることなのか。でも自分たちで自分たちを「良い芸人になった」とそんな風に思える日なんて来るんだろうか?むしろそんな風に思えてしまった時にはもう芸人としては終わりに向かい始めているんじゃないか?未だに答えは出ないから、せめて別れ際にはっきり大きな声で「ありがとうございました!」と伝えるようにはしている。

 

 今年のソーゾーシーツアーは少し物足りなくて、これで折り返し。その分「真打計画」の一環として個人的にツアーをやらせてもらうことにした。来年はまたソーゾーシーでも真打計画でも各地を周りたい。マゴデシ寄席でそんなことをやるのも諦めていない。談笑一門会としても。

 

 エンドロールに名前がなかった

 だからぼくら

 旅を続けなくちゃ

 旅を続けなくちゃ

 

 

 感傷的な文章になるのは、相変わらず短編執筆が思うように進んでいかないから。こんな毎日もあと10日もしたら終わる。

 

 

 執筆にせよネタ作りにせよ言葉を使う作業だから、作業中BGMはポストロックのインストばかり流している。toeとhow to count one to tenが中心で、思考の推進力になるからリズムがしっかりある方が好きで、それから同じフレーズがループされるのも好きで。そうなったらテクノとかミニマルテクノとかでも良い気もするけど、それよりはバンドサウンドが好きで、だからtoeとかに落ち着く。

 趣味でちょっと楽器も触ることもあって、ついには作業中に聴くためのBGMを自分で作ったりもした。

 これが単純に演奏技術が及ばず消去法で同じようなフレーズを反復している曲になっているけど、それでもやっぱり作るネタでもかなり色濃く影響が出るくらいに「反復」というのは自分にとって、大きな部分を占めるようだ。こと音楽に関していうと、同じようなフレーズがひたすら反復されると、少しずつ聞こえない音が頭の中で鳴り出す感覚があって。それは少しずつ耳に馴染んできた結果、意識が鳴っている音以外にも働き始めて、結果脳内で勝手に音が足されて行くんじゃないかなと思っている。もちろん光の影送りのように、音の残像による効果も大きいと思う。

 

 

 話は変わって、近頃はGEZANのEND ROLLという曲をずっと聴いている。

 

(エンドロールに名前がなかった

 だから僕ら 旅を続けなくちゃ)

 

 普段は芸人モードで笑いについてばかり考える脳味噌になっているから、締め切りが迫って来た短編執筆を進めるを前には純文学モードにグッとギアを変える必要があって、その時にこの曲の力を借りている。

 

 終盤にメンバー全員で叫ぶ「ぱー ぱっぱっぱっぱー」というサビのメロディ。曲の始まりにもイントロのイントロみたいにして挿入されているこの部分がとても気持ち良い。

 ずっと聴いているうちに、イントロのイントロが終わって楽器が入って本格的に始まるイントロ部分とか、曲の感想部分ではギターソロなり鍵盤なりでこのメロディラインを強調されていないことにちょっと居心地が悪くなって、しまいにはGarageBandで自分で主旋律を足したりしていて、そこで思ったのは、ベースを強調しつつ、ギターは主旋律じゃなくてノイズだったり上音をあしらう感じにして主旋律部分に余白を残してあることで、聴いている側が自然に「ぱー ぱっぱっぱっぱー」の主旋律を"演奏"できるようになっているのだということ。曲が進むに連れて気持ちは高まってくるし、間奏パートも熱を帯びてくるから俄然と「ぱー ぱっぱっぱっぱー」と脳内で音が鳴り響いてくる。そして最後の合唱部分でバンドと一体になるっていう。

 そうやって自分ごとにさせてしまうことは、当然ながら圧倒的な臨場感につながる。意味を届ける落語や笑いではなかなか扱えそうにない領域だけど、つくづく人間の想像力は面白いなぁと思った。前にも書いたっけか、いまは臨場感について考える時間が増えて来た。その思索は数年後に一冊の本になるはずだ。

 

 

 

 

 

 数日、休みになり、かつ都内の天気が不安定らしいと判明して、だったらと青森に行ってきた。場所はどこでもよくて、とにかく晴れている場所に限定して行き先を決める。趣味の図書館巡りをするのはいつでもこのやり方で。

 図書館に行ってもよかったけど、来月頭に迫ってきた短編の締め切りに向けてグッと物語を考えたくなったから、だったら十和田湖畔でぼんやりしながらひたすら小説のことを考えるかと奥入瀬渓流を歩いて、十和田湖へ向かう旅にすることに。

 あとで判明したのは十和田湖にはyamajuというコワーキングスペースや、十和田サウナという素敵なサウナがあったということで、事前にわかっていたら足を伸ばしたかったけど、結局は十和田湖まわりをぶらぶら歩きながらひたすら考えることに。ずっと考えていた方向の話では進めない方がいいだろう、ということがわかった。前進なのか後退なのか微妙なところだけど、落ち着いて考えたられたのは旅先だからこそだろう。

 

 ソーゾーシーツアーが始まった。兵庫は吉田食堂さん主催で喜楽館、静岡は寄席バッソさん主催でサールナートホールと、毎年お世話になっている主催者様、会場で。こうやってネタを作っては、出来立てほやほやのものを見てもらう、ということを当たり前のようにこれからもやっていきたい。

 『新食』と名付けた僕のネタはまだヨチヨチ歩きでどうなるのか自分でも捌ききれていない。いつもの作り方だと後半のギミックに焦点を当てて、むしろそこから初めてさらにその先まで思考を深めていく感じの作り方をするのだけど、今回はそうじゃなくて無駄に思える前半のところをどれだけ無駄に長くできるか、その上で後半部分をギミックの鮮やかさじゃなくて、むしろ雰囲気で面白がってもらえるか、という風な具合にやりたくて、いまは高座での実践を通して、その調整をしているという感じか。

 ネタバレしないように書こうとすると、なんのこっちゃ分からなくなってしまうけど、要はこれまでとはちょっと違う種類のネタを作っているところという。

 

 8月の山場はこれにて終了。9月の始まりは短編を完成させることとシブラクのトリ出番。秋の気配が濃くなってきたけど、あと2回くらいは炎天下と呼ぶに相応しい夏日が来ることを経験で知っている。

 小痴楽兄さんのラジオ収録に行ってきた。年々、仕事のオファーをもらったら先方は自分に何を求めているのかを考えるようになった。今回の場合、レギュラー化を見据えた大事な特番だから、聴取率や注目度をあげようと思ったらもっとネームバリューのある師匠方だったり、ギャップを出すために落語界隈とは全く違う方をキャスティングされるだろうし、関係性を全面に押し出すなら楽輔師匠をお招きして師弟関係を押し出したり、横のつながりによる関係性を強調するなら成金世代の仲間をキャスティングされるだろうし。そんな中で、わざわざ自分に声をかけてもらった理由はなんだろうと、自分なりに考える。

 それらを言葉にしていくと、身内感はそこまで出したくない、その上で目上の方よりは後輩をゲストにすることで兄さんが伸び伸びと喋ることができる環境を作りたい、落語家属性の芸談に終始するよりも等身大の兄さんも届けたい、だいたいそう言ったところだろうなぁと落ち着いた。シンプルにまとめると、この番組は小痴楽兄さんのヒトとして魅力をリスナーの届けたいのだろうと。落語属性の情報はアシスタントで出演もされる構成の九龍ジョーさんが担われるのだろうから、となると自分は兄さんの魅力をどれだけ引き出すことができるかが頑張りどころだなと。

 

 そんな風に思いながら始まった収録。メインパーソナリティーだから当然だけど番組説明など色々な段取りが記入された台本を前に、案外そういうところはきっちり真面目にやろうとされる兄さんのまっすぐな性格が発揮されて、いつものらしさはほとんどなく、右手と右足を同時に出す歩き方をされてるような、絵に描いたようなガチガチ具合で(笑)

 それも兄さんの魅力で僕は大好きなんだけど、途中からゲストとして合流させてもらう自分としては、必要以上にそこをほぐすべきだと思い、「ガチガチじゃないですか!」とたぶんあの時スタジオにいた全員が思っていたことをそのまま言葉にしながら登場して、混ぜっ返して、ガハハと笑って。そうやってこっちから空気を崩すと、そこからはもう兄さんの真骨頂で、収録だからカットできるけど普通の語彙としてヤクザ・ヤクザと言い出されたり(笑)、メインパーソナリティーの大事な仕事の1つであるタイムキープを一切放棄して結局放送時間の倍くらいああだこうだ喋ったり。

 九龍さんがぽろっと小痴楽師匠は破調の美学のヒトなんですねというようなことをおっしゃったように、せこせこした決まりごとに縛られずにどかーん!と大爆発させてしまうところがずば抜けてすごくて。

 

 結果、ひたすらゲラゲラ笑える楽しい時間になりつつ、その上でチャンスがあれば質問を投げて他であまり話されないようなグッとくる特別なエピソードを聞き出せないかと企んでいたら、偶然2つクリーンヒットする話を引き出すことに成功して、ようは自分としては求められていた仕事は十二分にできたんじゃないかなという手応えバッチリの収録になったのだった。

 

 

 とにかくたくさん喋ったから最終的にどこがどう使われるのかはディレクターさんの判断によるけど、冒頭のロボット歩きをされている兄さんから、中盤以降のいつもの小痴楽節を炸裂させている兄さんまで、兄さんの魅力がふんだんに詰まった放送になると思うので、ぜひお聞きくださいー。

 

8/28 16時05分〜16時55分

『小痴楽のシブラジ』

NHKネットラジオ「らじる☆らじる」で一週間アーカイブもされるので、ぜひ!

 

 

Toスタッフさん

見事にレギュラー化された暁には、私・吉笑めをアシスタントして起用するのはいかがでしょうか?バランサーとしてそこそこ良い仕事ができるタイプだと思うので!

 

 ソーゾーシー前日。「自分らしい切り口」を追い求めるのはいつものことだけど、一方で今作は「面白さ」じゃなくて別のとある要素を伝えられるかどうか、というところに焦点を合わせているからどう受け止めてもらえるのか全くわからない。いつもの「面白さ」であれば、嬉しくもまた残酷にもすぐにその場で結果が笑い声としてフィードバックされるけど、例えばこの夏に取り組んでいる『妲妃のお百』だったり、明日やる今作だったりは目に見える分かりやすいフィードバックは得づらいから、そこの省みづらさのようなものがあると思っていて。まぁそうやってこれまでやったことがないことにまだまだ挑戦できるのは作り手として幸せなことだと思う。

 次に新ネタをやる機会としては、たぶん10月のシブラクしゃべっちゃいなよに今年も呼んで頂けるんじゃないかと勝手に思っていて、そこではこれまで通り「面白さ」を求めるネタを作れたらと思っている。去年、渋谷らくご大賞と創作大賞をダブルで受賞させて頂いて、そのご褒美で三題噺六日間もやらせて頂き、身が余るくらいシブラクから十分ちやほやしてもらった現状ではあるけど、「二年連続で創作大賞を獲る」というのはちょっとわくわくしていて、そのためには全員から文句なしと思ってもらえる圧倒的な面白さを備えたネタじゃないと、それこそ横並び止まりの秀作だったら別の方の勝ちになると思うから、『ぷるぷる』クラスの会心の一席を作りたいと思っている。

 6月27日が誕生日で、今は38歳になった。ということでこのブログのタイトルも「38→39」へと変更になった。URLが「36-37」になっているのは36歳の時に始めたからで、その年は365日、毎日律儀に記述する正真正銘の日記形式だった。(そして書いた記事は1年たったタイミングで全部消した。)

 

 37歳以降はこんな感じで特に気張らずにゆるゆると書いている。で、なんとなく思い立って2ヶ月以上ぶりにここを更新することにして、それに伴ってタイトルも新しくした感じ。

 

 いまはもう数日後に迫ったソーゾーシーに向けてのネタ制作にいっぱいいっぱい。来月頭に締め切りの短編小説は結局当初避けようと思っていた「落語家」の話にしようと決めて、ことあるたびに情景を、物語を思い浮かべている。(文字にするのはソーゾーシーが始まってからの方がいいと思っている)。真打計画は第2回が延期になって、早くも当初の予定を大きく変更することになったけど、まぁそんなもんだろうと思っている。延期公演への振替案内をやらなくちゃと、これを書きながら思い出した。「立川吉笑」でなく「横山笑吉」というアマチュア落語家としての会を始めた。今月は新宿永谷で1回、来月は神田で2回やるつもり。最初から「失敗しますよ」と宣言しての会だから気は楽で、だからこそちゃんと失敗できるように毎回難しいことに挑戦したい。クイックジャパンの連載、自分にとって会心の文章が書けた。これが書けるから僕は僕なのだと自己肯定できるような、そんな文章。とてつもなく難しい領域への挑戦になるけど、きちんと向き合うことができた暁には「現在落語論」以上に類を見ない文章群になるはずだ。そう思えることは明日への希望に他ならない。

 

 会田誠『性と芸術』と卯城竜太『活動芸術論』がほど同時に発売されて、両方買った。『性と芸術』は2009年〜2014頃にかけて、「擬古典」という旗印を掲げて駆け抜けていたあの頃の自分が思い出されて懐かしかった。200ページ読んでようやく三分の一くらいのところにたどり着いた『活動芸術論』、ものすごい情報量で圧倒されている。落語家になる少し前、アイムボカン展を観に行った記憶があるけど、なんでそこにたどり着いたのかは覚えていない。

 

 夏らしい夏を過ごせていないまま、秋になりそう。それでもこの夏のハイライトを僕はまだ諦めていない。

 6月は今のところ何だかもっちゃりした感じになっている。梅雨入り前なのになんでだろうか。忙しすぎるとあれだけど、やっぱりある程度仕事が充実してこないと張り合いが出ない気がする。

 

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 去年くらいから全店舗でコンセントを設置してくれたベローチェがありがたすぎる。Wi-Fiが弱すぎるとこもあるけど、それでもコスパ最強。最近は最寄り駅の店舗じゃなくて、気分転換がてら自転車で隣の区の店舗に通っている。お気に入りは練馬春日台。普通に暮らしてたら来ることのない街だったと思うけどベローチェのおかげで週に何度か通っている。帰りに大江戸線の表記でしか見たことのなかった光が丘を通るのも楽しみの一つ。西新宿のビル群みたいな感じがして、そこを自転車でダーっといくのが気持ち良い。

 

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 また連歌の話をするか。寸志さんとの百韻を進めつつ、初心者だから過去の名作を少しずつ読んでは慣れ親しもうとしている。今日から読み始めたのは『宗伊宗祇湯山両吟』。最初に読んだ水無瀬三吟で知って好きになった宗祇が師匠格になるのかな?宗伊と二人でやった百韻。

 最初は師匠・宗伊のターンで

 

1、鶯(うぐいす)は霧にむせびて山もなし

 

 これを受けて宗祇が

 

2、梅かをるのの霜寒き此(ころ)

 

 続いて、宗伊が

 

3、もえそむる草のかきほは色付きて

 

 と、こんな立ち上がり。

 たったこれだけでも、初心者だから1つ1つ掘っていくと、まずは「1」で抑えなくちゃいけないのは、「山もなし」の「なし」が切れ字だということ。「鶯」は一座一句物といって、百韻の中で一度しか使っちゃいけないモチーフだということ。ちなみに「なし」「もなし」は一座二句物で、二度しか使っちゃいけない縛りがあるとのこと。

 こういう連歌のルールを式目(しきもく)と言うらしいけど、これがめちゃくちゃ細かい設定があると発句だけでも痛感させられるという。正式な式目でやろうと思ったらめちゃくちゃ大変だよ、寸志さん。

 

 「2」で抑えるのは、俳句の感覚だと梅(春の季語)と霜とか寒き(冬の季語)が混じっているのはちょっと心配になるけど、連歌はまぁOKらしいということ。この場合の「霜」とか「寒き」は「梅」と結ばれて春で大丈夫らしい。

 そして相変わらず式目(縛り)が発動して、「梅」は一座五句物、つまり百韻の中で「5回使っていいよ」ということ。そして「野」はさらに細かくて、可隔五句物(ごくをへだつべきもの)、つまりは1回使ったら、そのあと5ターンは使っちゃだめですよ、という縛り。そこまで指定があるのかとちょっとひいた。

 そして、「1」の「鶯」から連想して「梅」を使うという、「寄合」という技が使われているとのこと。こういう決まったモチーフの組み合わせは寄合と言われて、そういう方法も自分の創作の糸口に使うことができるらしい。

 

 「3」の「かき」「かきほ」は一座二句物とのこと。もう毎回何かしらの制限がありそう。そして、この句は寄合だらけで、「梅」に対して「かき」、「霜」に対して「色つく」、「野」に対して「草」で、それぞれ寄合スキルが発動しているらしい。なにこの応酬。

 「霜」と「色つく」の関係は、普通「色つく」は紅葉の色の変化として使われる前提があって、それは霜がつくくらい寒くなったらグッと色が変わることから、「霜」というワードがあると、「色つく」が連想されるからのよう。そして、本来「色つく」は「秋」であるべきだけど、「2」と同様、前のターンの「梅」と「萌え染むる」に結ばれて、「色つく」も春扱いになるとのこと。

 

 連歌、共有すべきルール多すぎてやばい。そりゃやる人いなくなるわ。とりあえず寸志さんとのやつはゆるく継続しながら、コツコツ名作を読んで連歌リテラシーを高めよう。

 

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 前にも書いたように連歌は遠景。で遠景にピントを合わすと、自分のやりたい笑いは見えづらくなるから、意図的に近景にピントを合わすことも忘れちゃいけないなと思った。ということで、藤井くんに付き合ってもらって、また近景型のWEBラジオをやることにした。早速明日収録。