うちの母の自転車ですが、サドルのカバーが縦方向に破けてしまい、

 

おまけにカゴもひん曲がって錆びてきています。

 

なのでサドルのカバーとカゴを買いたいと言ってきました。

 

どうせ行くなら大きな自転車屋さんが良いだろうということで、

 

先週の日曜日、俺も自転車屋さんへの案内がてら着いて行くことにしたんです。

 

 

俺が案内した自転車屋はスーパーぐらいの規模で大きいため、

 

たかがサドルのカバーとカゴを選ぶのに1時間以上も待たされました 笑。

 

因みにサドルのカバーが数百円で、カゴは2,500円ぐらいしたようです。

 

 

そして買物が済んでから、ひと休みしようと駅付近にある

 

ドトールコーヒーに入ったんです。

 

そこで母が言いました。

 

「あんた昔、自転車のサドルを盗まれたことがあったわよね」

 

俺にはそんな記憶は全くないと答えると、

 

「ほら、高校生の時にサドルを盗まれて帰ってきたことがあったじゃないの。

 

それで夜中にひばりヶ丘の駐輪場にサドルを拝借しに行ったの覚えてない?」

 

とのこと…。

 

俺としては「はぁ?何のこっちゃ?」って感じでした。

 

 

ところがその日の夜、母の言ったことを鮮明に思い出したんです!

 

母の言う通り、確かに俺は自転車のサドルを盗まれたことがありました!

 

思い出したくもない嫌な記憶が次々と鮮やかに蘇ってきました。

 

 

……高校3年に進級して1週間ぐらい経ったある日のこと。

 

クラス全員、放課後に担任と二人で個人面談をすることになったんです。

 

もちろん進路のことについてですね。

 

その際ですが、俺の順番の時に、クラスメイトであるT崎というデブが

 

いきなり割り込んできたんです。

 

そしたら担任に怒られてました。

 

「お前なに割り込んでるんだ!今は聖輝の番だろ!」と…。

 

ムッとするデブのT崎。

 

そこで俺は担任とデブのT崎に言いました。

 

「僕、次でいいですよ。お先にどうぞ」

 

本来なら担任の言うよう俺の番なんだけど、新しくクラスメイトになった男子と

 

新学期早々からつまらないことで揉めたくなかったので譲ろうとしたんです。

 

そしたらT崎が担任に向かって、

 

「ほら俺が先で良いって言ってるじゃん!

 

面談やるんだったらさっさとやっちゃおうよ!」

 

などと挑発的に言ったんです。

 

担任としてはその態度が気に入らなかったのか、

 

「とにかく今は聖輝の番だろ!子供じゃないんだから順番は守りなさい!」

 

とT崎を突っぱねました。

 

T崎は露骨に怒りを表すと、振り返って教室を出て行こうとしました。

 

その際、俺の肩にわざと肩をぶつけてきたんです。

 

完全に八つ当たりですね。

 

イヤな奴とクラスメイトになっちゃったな~って思いましたあせるあせる

 

 

んで、俺の面談が終えたので、図書室で彼女を待ってました。

 

彼女は隣のクラスで、彼女のクラスでも個人面談を慣行していました。

 

なので彼女の面談が終わるのを図書室で待っていました。

 

やがて彼女も面談を終えて図書室に現れたので、一緒に帰ろうとしたんです。

 

 

校舎の裏にある駐輪場の自分のクラスのとこに行くと、

 

なんと俺の自転車のサドルが抜かれて無くなっていました!

 

自転車のサドルだけじゃなく、キンコンベルのフタも盗まれてました!

 

因みにキンコンベルってこういうやつ。↓↓↓

 

 

普通の自転車のベルはチリンチリン♪って感じだけど、このキンコンベルは

 

キンコ~~~ン♪と良い音が鳴るんです。だから結構高かった。

 

サドルと一緒にそのキンコンベルのフタも盗まれたってわけ。

 

俺は直感的にさっきのデブのT崎の仕業だと思いました。

 

俺の自転車にはきちんと名前も書いてあったしね。

 

 

やがて彼女が自転車に乗って俺のとこにやってきて、

 

「どうしたのそれ!?」なんて驚くから、盗まれたと言い、

 

先ほどの個人面談で起きたデブのT崎との些細なトラブルも話しました。

 

そしたら彼女は、

 

「そのデブのこと、先生に言った方が良いよ!

 

何ならあたしから聖輝くんのとこの担任に話そうか?」

 

などと言うので、それだけは止めてくれと言いました。

 

俺はほぼデブのT崎の犯行だと思ってるけど、何せ証拠がない…。

 

T崎を問い詰めたとこで、証拠がなければ「知らない」と言われればそれまでだ。

 

 

それでサドルの無い自転車で家に帰ってきました。

 

その時の記憶は全くありません。

 

今思えば、片道1時間弱の道のりをどうやって帰ってきたのだろうと…。

 

 

家に帰るとすぐに銀行に行き、3万円ばかり下ろしてきました。

 

サドルがなきゃ乗れないので、勿体無いけど新しい自転車を買おうとしたんです。

 

俺はこの時期、マーシャルというギターアンプを買うつもりで

 

ステーキハウスのバイトに精を出して一生懸命お金を貯めていました。

 

その貯金を切り崩すのにすごく抵抗があったのを覚えてます。

 

 

そして夕方ぐらいにうちの祖母に「今から自転車買いに行ってくるからね」と話すと、

 

「とりあえずお母さんが帰ってくるまで待ってなさい」と言うので、保留にしました。

 

ひょっとしたら新しい自転車買ってもらえるかも!?という甘い期待も込めて 笑。

 

 

んで、夕食後に母が仕事から帰宅したので事情を話すと、

 

「サドルを盗まれただけなんだから新しい自転車なんか買うことないわよ」

 

なんて言うので、じゃあどうするんだと聞くと、

 

「いいこと考えたからちょっと一緒に来なさい」

 

などとワケの分からないことを言ってきました。

 

 

母に連れられて来たのは地元の無料駐輪場。

 

ひばりヶ丘駅に行く人たちが皆利用する無料駐輪場ですね。

 

こんなとこで一体なにをする気だろう!?と思ってると、母はカバンから

 

懐中電灯を二つ取り出し、ひとつを俺に寄越しました。

 

俺は不安になって母に聞きました。

 

「……まさかよその自転車を盗む気じゃないだろうな?」

 

「そんなわけないでしょ」

 

笑いながら答える母。

 

「じゃあどうするんだよ?」

 

すると母は駐輪所の片隅を指差し、

 

「あそこにある自転車の山、あれは放置自転車でね、そのうち処分されるのよ。

 

だからあの自転車の中からサドルだけ貰っちゃいましょ」

 

と言いました。

 

見たとこ、確かにどれもこれも捨てられた自転車っぽい。

 

これならサドルを勝手に拝借しても別に問題は無いだろうと判断しました。

 

 

街灯もあまりない暗い無料駐輪場にて、母と俺は懐中電灯を手に

 

捨てられた自転車のサドルを物色し始めたんです。

 

選ぶにあたってはちゃんと時間をかけて選り好みして 笑。

 

母なんかサドルを抜くとまずニオイを嗅いでた 笑。

 

んで、何点かサドルを拝借すると家に持って帰ってきました。

 

俺の自転車に一番しっくり来るサドルを有難く頂戴し、他に持ってきたサドルは

 

元の場所に返しておきました。

 

キンコンベルのフタもあったら拝借しようと思って探したけど、キンコンベル自体

 

結構レアアイテムだったのでさすがに無かったですね。

 

 

そんな具合に母の機転の利いたナイスなアイデアにより、俺の自転車は見事復活し、

 

新しいのを買わずに済みました。自転車も買うとなると結構高いからね。

 

 

……因みにデブのT崎ですが、高校3年の1年間ず~~っと仲が悪いままでした。

 

それよりもコイツからたびたび嫌がらせを受けてましたね。

 

俺にちょっかいを出してくるのはしょっちゅう。

 

当時お昼になると隣のクラスの彼女がお弁当を持って俺のクラスに来て、

 

一緒に食べてたんだけど、我々がお弁当を食べてる席にゴミ袋を

 

投げつけてきたりとか…。

 

俺の机に墨汁をドボドボ垂らされたこともあります。

 

 

あと体育でサッカーをやった際、

 

ラグビーのよう両腕で抱きつく形でなぎ倒されたり…。

 

汗かいたデブに抱きつかれるほど気色悪いことはない。

 

おまけに汗かいたデブというのは何故か酢の臭いがする。

 

ファールどころかこの酢の臭いだけでレッドカード一発退場ものですよ。

 

 

このように俺はデブのT崎から度々嫌がらせを受けてきましたが、

 

相手にせずひたすら無視し続けたんです。

 

高校では問題を起こすことなく、ただ楽しく平凡に過ごしたいと願っていたので…。

 

 

が、ついに俺の堪忍袋の緒が切れました。

 

秋の文化祭の準備期間ですが、俺はバンドでステージに立つことに

 

なってたので、文化祭の準備期間中は毎日学校にギターを持って来ていました。

 

ギターケースは教室後ろの掃除用具入れに立てかけておいてね。

 

 

ある日の休み時間、T崎がギターケースを「邪魔!!」とか言って蹴ったんです。

 

バーーン!とすごい音を立てて倒れるギターケース…。

 

今までは何をされても我慢してましたが、この時ばかりはキレてしまい、

 

気づいたらT崎をボッコボコにしてました。

 

高校での最初で最後の喧嘩で暴力沙汰…。

 

生まれたての赤ん坊のように顔を真っ赤にしながら床にうずくまるT崎。

 

俺はまだ怒りが治まらず、更にT崎に襲いかかりましたが、クラスメイトたちに

 

羽交い絞めにする形で止められました。

 

 

んで、俺は職員室に呼ばれたのですが、ふと冷静になって「ヤバイ!」と思いました。

 

「バイクの免許取得、喫煙、喧嘩」は確か問答無用で停学だったハズ…。

 

停学だなんて大変みっともない。

 

が、その心配は無用でした。

 

お咎めを受けるどこか、担任は俺を心配してくれました。

 

担任は俺が普段からT崎に嫌がらせを受けてることについて、

 

ずっと前から知っていたようです。

 

彼女が俺の担任にこっそり報告してくれてたみたい。

 

俺の担任は彼女のクラスの古典を受け持っていたからね。

 

なので古典の授業が終わった後でもこっそり話しておいてくれたのかなと…。

 

そんな事情で、俺の暴力沙汰についてのお咎めは一切なかったです。

 

んで、この日を境にT崎の嫌がらせも一切無くなりました。

 

というよりも俺に近づいてこなくなった。

 

どうせなら家畜にしてやろうと思ってたのに 笑。

 

 

……とまあ、先日うちの母がふと話したことから思い出したことでした。

 

それにしても母もよくそんなことを覚えてたものだ。

 

母が言わなければ俺も思い出すことはなかったです。

 

思い出したくもない出来事ですけどね。