職員室に誰もいないのを確認して
自分のスマホを出し
せっせとラインする。
宛先は、直人くん。
マコトのお兄ちゃん。
直ぐに返事が来る。
直人「休み取って、どこか行くとか
何するとか言ってました?」
健二郎「なんか出かけるんやないですか?
新幹線か飛行機かわからんけど
ずっとスマホとにらめっこしてましたよ」
直人「そうですか。
詳細わかったら、また連絡ください」
(全く、あの兄妹は人使い荒いんやから!)
隆二side)
敬浩さんのお店の打ち合わせが終わり
町田さんと店を出ようとすると
オミのお姉さんに引き止められた。
「今市くん、ちょっといいですか、
話あるんだけど...
マコトちゃんのことで...
敬浩さんには内緒で...」
隆二「あ、自分だいじょうぶです。」
玲奈「ありがとう。
じゃ、こちらへどうぞ」
隆二「ここで、だいじょうぶですか?」
玲奈「うん、今敬浩さん出かけたから」
隆二「あ、話って...」
玲奈「その〜、マコトちゃんと
お付き合いしてたの ?」
隆二「え、あの、え、オレですか?」
玲奈「違ったら、ごめんなさい。
今市くんとマコトちゃんが付き合っているのなら
それで良いんですけど、こないだ広臣に会いたいって
マコトちゃん言ってたから...」
隆二「オミに、何かあるんですか?」
玲奈「そうじゃなくて...
昔の思い出がいい事は素敵な事だけど
お互い別々の道を歩んで行ってるのに
わざわざまたヨリを戻すようなこと...
どうかなって」
隆二「お互いに好きなら、
誰も止められないと
思うんです。」
玲奈「余計なこと、話しちゃって
ごめんなさいね。」
隆二「いえいえ。
僕は、マコトさんに振られたんです。
だから、今はもう、友達です」
玲奈「そうなのね?
今市くん優しいし、素敵だから
もったいないわ」
隆二「いえ。
僕はマコトの気持ちに寄り添いたくて
オミの事も相談に乗ってるんです。
お姉さんがどうしてもと、言うなら...」
玲奈「ううん。今市くんの気持ちは
わかりました。
これからもマコトちゃんをよろしくね。
引き止めてごめんね。
ありがとうございます」
オレはすっきりしないまま、
家路に着いた。