ミチside)
伸くんとは、夏に別れてから
会っていなかった。
伸くんとのデート中に、
臣を好きだった女子と、ばったり会って
臣と付き合ってるんじゃないのかと問われて
それがきっかけで伸くんに臣とのことを疑われ、
うまくいかなくなった---
結婚を意識して付き合ってはいたけど、
うまくいかなくなった時に、
ずっと心の中に臣がいたことを
私は気づいたのかもしれない。
ミチ「伸くん、
・
何か用だった?
・
約束があってこれから出かけるところなの。」
鈴木「え?オトコ?
それとも、これから仕事かよ?」
ミチ「違うけど、仕事関係の人に会うから・・・」
鈴木「ちょっとだけ、話出来ない?」
ミチ「待ち合わせしてるから、
もう出なきゃいけない・・・」
鈴木「オレ、やっぱミチがいなきゃダメだわ。
今度こそ大事にするから、ヨリ戻せない?」
ミチ「・・・
私、好きな人
出来たから、
ヨリ戻せない。」
鈴木「もしかして、昨日一緒にいた人?」
ミチ「昨日?
どこかで会った?」
鈴木「お前んとこの会社の近くの駅、
一緒に歩いてた人?」
(がんちゃんだ・・・)
ミチ「あの子は、後輩だよ。
好きな人は、別な人。」
鈴木「へぇー。
まっ、いいけど。
また、今度ゆっくり会おうよ。
なぁ、いいだろ?」
ミチ「うん」
伸くんを刺激したくなくて、返事をしたけど
本当は二度と会いたくなかった。
鈴木「じゃ、送るよ。」
ミチ「だいじょうぶ。
電車の方が近いから、歩いて行く」
鈴木「乗ってけって。
駅まで送るから。」
(嫌な予感がする。
早く、この場から去りたい。)
♫ ♫ 携帯の着信
スマホを開けると、がんちゃんからだ。
ミチ「もしもし」
岩田「ミチさん、オレがミチさんとこ行こうか?
休みにわざわざ来てもらうの、大変かなって。」
ミチ「まだ、マンションなの・・・」
岩田「何か、ありました?」
ミチ「うん。ちょっと・・・
行けるか、わかんない・・・」
岩田「じゃあ、オレそっち向かいます。」
ガチャ
がんちゃんからの電話は切れた。
伸くんは、こっちを見てる。
鈴木「やっぱ、オトコだろ?
聞こえたよ、会話。」
ミチ「そういうのじゃないけど。
伸くんとは、もう会えない。」
鈴木「じゃさぁ、もう今日で最後にするから
ちょっとだけ、家入れてくんない?」
ミチ「もう、岩田くん来るから
出なきゃ」
伸くんが私のバッグを手に取り鍵を出し
いとも簡単に玄関のカギを開けた。
伸くんに引っ張られ、玄関に入り
すぐに鍵をされた。
鈴木「ミチ、最後だから
オレのお願い聞いてくれる?」
返事をせずに、ジッと伸くんを見る。
鈴木「最後に、抱かせて・・・
そしたら、お前のこと
忘れるから。」
イヤと言い終わらないうちに、
手を回され動けないくらい抱き寄せられ
唇を塞がれた。