2017年3月2日
JR中央線の東中野駅前にあるポレポレ東中野で映画「人生フルーツ」を観て来ました。
愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンに暮らしている90歳の建築家津端修一さんと、87歳の妻英子さんの日常を映像化したものです。
修一さんは日本住宅公団の創設期の中心メンバーとして、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきました。
津端夫妻は自ら設計した高蔵寺に、完成当時から住み続けていて、約50年が経過しました。その自宅では、50年前に植えた小さな苗木が、今では鬱蒼とした雑木林に成長し、枯葉を撒いて土を耕し続けた畑では、年間を通じて約100種類もの野菜や果物が育っています。
妻の英子さんは、外食せず、コンビニでは買い物をしない主義です。
畑で収穫した作物を使って、夫のために自慢の手料理を丁寧に作る日常です。
英子さんは「食は命」と言います。
二人が暮らす家は、師であるアントニン・レーモンドの自宅に倣って建てた30畳一間の平屋建ての丸太小屋です。
長年連れ添った夫婦の暮らしは、細やかな気遣いと工夫に満ちていました。
二人の暮らしぶりは、まるで現代の桃源郷のようです。
津端さん夫婦のモットーは「年を重ねるごとに美しくなる人生」。
幸せだったご夫妻ですが、悲しいことに平成27年6月に津端修一さんは逝去されてしまいました。
突然の展開で、こみ上げてくるものがありました。
ナレーションの女優の樹木希林さんが繰り返す、
風が吹けば、枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。
こつこつ、ゆっくり。
人生、フルーツ。
が心に残っています。