2021年9月22日

中目黒の郷さくら美術館では9月14日より「WABI/SABI」展が開催されていますが、その前に「日本画GOLD++」展が開催されていて緊急事態宣言中だったので、行けませんでした。

しかしこの展覧会の図録が手に入ったので、図録で観賞できます。

 

主催者の郷さくら美術家の挨拶文です。

古来より人々を魅了し続けた眩しいほどに輝きを放つ「黄金:GOLD」。憧れ、輝き、妖艶さ、色あせることのないその輝きは見る人の心に様々な感情を引き起こさせます。

本展では光の表現としての「黄金:GOLD」を様々な作品により紹介いたします。

金箔を大胆に用いて描かれた迫力のある作品や金泥を用いことにより繊細な表現を可能にしている作品など、「花」「人物」「動物」「風景」が描かれた選りすぐりの作品をご紹介いたします。

金箔や金泥、基底材などの素材によって異なる、金色が放つ輝きの違いもご覧いただけます。

古典的な技法でもある「金」を使った黄金の世界をどうぞお楽しみください。

 

金箔を貼る

あかし紙に金箔をとって、膠を塗った画面に載せ軽く押さえてからあかし紙をはがします。

貼られた金箔の上に日本画的イメージ、例えば花鳥風月を描きます。

 

秋華(屛風四曲一隻)       森田りえ子

 

春宵(120号)      佐藤晨

 

燃えんとす(屛風六曲一双)      小倉亜矢子

 

昇陽菊図(屛風六曲一隻)     那波多目功一

 

桜花爛漫図(屛風六曲一隻)     吉川優

 

泥(でい)

粉末状にした金・銀などの金属を膠と水で溶かした絵具のことです。

金・銀以外にも銅、アルミ、スズなど様々な種類があります。

 

富貴花(50号)       松本高明

金泥・緑青・胡粉等を使ったこの絵は牡丹の花の華美でもない品格溢れる美しさを表現できています。

 

朝陽(80号)       吉川優

大赭墨(たいしゃすみ)、青墨、ドーサ等をかけ、最後に金泥・銀泥で深い表現をしています。

銀泥は時間の経過とともに、より黒く深く沈殿変化していきます。

 

金泥・銀泥で非日常的、幻想的空間を表した作品2点を。

華炎月下美人(80号)       下川辰彦

 

追憶(50号)       中川侑

 

また金泥は炎とか陽光、黄昏など光の多様な表現に適しているようです。

残照の木立(80号)      浅野均

 

木漏れ日(50号)      佐藤晨

 

光響(40号)       加來万周

 

金泥と金粉の「砂子撒き」の技法を取り入れた作品

神秘(80号)      加來万周

 

昇(100号)      村松公嗣

 

切金(きりかね)

細く切った金属箔を張り付ける技法で、竹や小刀や箸を使用します。

箔はとても薄く脆いため繊細な作業が要求されます。

洋猫(15号)      加山又造

猫の毛並みが切金で表現されています。

 

 

裏箔(うらはく)

絹や薄い和紙の裏面に箔を貼って下地を作る技法です。

絵の具を塗っても薄っすらと箔の輝きが浮き上がってきます。

 

白根葵(20号)      荒井孝

 

宵牡丹(80号)       藤野直也

 

また金箔を貼ったものの中にも、現実でない異空間に迷い込んだような不思議な錯覚を覚えるような作品がありました。

散華(80号)        大竹彩奈

 

天使群像Ⅱ(100号)        中堀慎治

 

古今東西の聖母子像には有名な作品が幾つかありますが、金を使った現代の聖母子像もそれらに匹敵できるほどです。

聖母子(50号)       中堀慎二

これも日本画です。