2021年5月28日

トラツグミと言う鳥がいます。

大きさはヒヨドリくらいでしょうか。

 

このトラツグミの声が変わっているのです。

 

 

トラツグミについて詩人の大島健夫さんのコラムがあるので紹介します。

 

日本産のツグミ類の中で最も大きなトラツグミは、千葉県のレッドリストでは「A・最重要保護生物」にランクされています。

姿も立派で、バードウォッチャーに人気の鳥です。

ところがこの鳥は、夜に「ヒィー、ヒィー」と聴こえる笛の様な声で鳴くため、古来から気味悪がられてきました。

これが平安時代には「鵺」(ぬえ)と言う妖怪の鳴き声とされたのは有名です。

この鵺は、たまに姿を現わしては誰かに退治されています。

最も有名なのは、仁平年間(1151年~1154年)、源頼政が退治したものでしょう。

この頃、夜な夜な御所の上に黒雲と共に不気味な鳴き声が響くようになり、時の近衛天皇が怯えられたので、弓馬の達人・頼政が召し出され、見事に怪物を射止めたという話です。

ところがこの怪物、「平家物語」によると、鳴き声こそ鵺なものの、頭は猿、胴体はタヌキ、手足はトラ、尻尾はヘビに似ていたというものですから、全然トラツグミではありません。

描写に真実があるとするなら、むしろ中型の哺乳類のようです。

実は、この怪物は本当に、当時の日本人には未知の中型哺乳類であった可能性があります。

東南アジア海域では、香料や薬となる「麝香」をとるためジャコウネコの仲間が国際的に流通していたからです。

鎌倉時代初期、藤原定家の日記「明月記」にも輸入されたジャコウネコを見たことが記されています。

前述の怪物の描写は、現在のジャコウネコの仲間、とりわけハクビシンを思い起こさせるものがあります。

どこからか逃げたジャコウネコ、もしかしたらハクビシンが御所の屋根裏辺りに住み着いて物音を立てていたものだとすると、つじつまがあってしまいます。

源頼政の鵺退治は、日本最古の外来生物駆除の記録だったかもしれません。

 

印西市でも現在外来生物が増えてきています。

外来生物のうち、日本在来の生物を捕食したり、これらと競合したりして、生態系を損ねたり、人の生命・身体・農林水産業に被害を与えたりする、あるいはそうする恐れのある外来生物を「特定外来生物」等として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入等について規制を行うとともに、必要に応じて国や自治体が野外等の外来生物の防除を行うと定めています。

それが外来生物法で通称は特定外来生物被害防止法と言われています。

罰則は

特定外来生物について、販売・頒布目的での飼養、不正な飼養、許可のない輸入や販売、野外に放つなどの行為に対しては、個人には3年以下の懲役や300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科せられる。

 

前にも紹介しましたが、蝶のアカボシゴマダラは2018年施行の第13次指定リストに載っています。

今日紹介するのは2006年施行の第2次リストに載っているオオキンケイギクです。

オオキンケイギクは1880年代に観賞目的で日本に導入されました。

繁殖力が強く、荒れ地でも生育できるため緑化などに利用されてきましたが、カワラナデシコなどの在来種に悪影響を与える恐れが指摘され、2006年に特定外来生物として栽培・譲渡・販売・輸出入などが原則禁止されました。

 

印西市ではこのオオキンケイギクが道路の脇などに繁殖しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道路に沿ってかなり浸食されています。

 

私の住んでいる団地内も

 

 

侵されています。

綺麗だからと言って移植するのは法に触れます。

 

平安時代の外来生物の駆除から現代の外来生物に対する実情の一端を紹介しました。