2020年2月19日
岡山駅西口から徒歩5分くらいの場所にある福寿司を以前利用した時、メニューに備前ばらずしが載っていて、鰆のつけ酢と具をご飯に混ぜ込み、一品一品味付けした具材を更に散りばめた岡山の郷土料理という説明がしてありました。
食べてみたかったのですが、来店日の2日前までに予約しておかないといけないので、その時は注文できませんでした。
今回は岡山に行くことが大分前から分かっていたので、早々と予約を入れておきました。

備前ばらずしは明治の初め頃から太平洋戦争前まで、備前から西大寺、岡山あたりの一般家庭でたびたび作られていたものを、福寿司の寿司職人窪田清一さんが聞き込みと文献を基に集約し、そのまま忠実に再現したものです。
ただし食材に恵まれた今日ですので、かつては手に入らなかった素材も加えています。

調理にあたって
(1)ご飯に鰆を絞めた漬け酢を振り込むことで、おすしの味の根源を担わせています。
(2)ごぼう、れんこん、さといもなどの根菜類は鰆のあらの煮汁で、干瓢、高野豆腐その他の煮物は昆布、かつお節、干し椎茸の戻し汁で、それぞれ完全に煮切ってから加えています。
(3)酢合わせは摂氏90度前後、具の混ぜ込みは約50~60度の時、寝かせは約30分行っています。
(4)砂糖は三温糖を主に、酢は純米酢を使っています。
(5)干物の戻し、鰆の漬け込み、野菜の下処理などを含めると、丸2日を費やしています。

福寿司
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イイダコも食べてみたかったので、
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備前ばらずし
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備前焼の器に盛られています。
ご飯は岡山のブランド米キヌムスメを使っています。
写真だけでは分からないので具の一覧です。
鰆(さわら)、鰣(ひら)、鱧(はも)、借飯魚(ままかり)、小鯛、津奈之(つなし)、鱚(きす)、細魚(さより)、黒袴(えび)、がら蝦(えび)、藻貝(もがい)、穴子、甲烏賊(こういか)、いかちち子、高野豆腐、干瓢、干し椎茸、木耳(きくらげ)、里芋、人参、牛蒡(ごぼう)、蓮根、生姜(しょうが)、茗荷、絹鞘豌豆、鞘隠元、銀杏、零余子(むかご)、蕪、菜の花、菊芋、随喜(ずいき)、筍、空豆、独活(うど)、蕗の薹(とう)、柚子、木の芽、胡麻、麻の実、錦糸玉子

鰆の漬け酢の匂いがやや気になり、甘い散らし寿司の味付けに慣れている舌には、いくらか予想外の味わいです。
しかしゆっくり噛み締めて味わうと、素材それぞれの旨みと風味がすめしを補佐しているような感じです。
具の食べ順を注意しないと、量的に多い魚類が残り、酢魚の単調な味わいとなってしまいます。
観た感じより内容量が多く、結構腹一杯になってしまいます。

今日は本格的な郷土料理を味わえたという感じです。

なお窪田清一さんは本も著していますので、興味ある方は見てください。
窪田清一著「岡山の備前ばらずし」 日本文教出版社発行