トクヴィルと言うフランスの思想家とアメリカ民主主義

アレクシ・ド・トクヴィル（Alexis de Tocqueville）は、19世紀のフランスの政治思想家であり、『アメリカの民主主義』（"Democracy in America"）という著作で知られています。この書は、彼が1831年に行ったアメリカ旅行の経験を基にしており、アメリカ合衆国の政治制度、社会構造、および民主主義に関する洞察を提供しています。

トクヴィルは、民主主義が台頭する中で個々の自由と平等の問題を探求し、専制政治と個人主義のリスクにも焦点を当てました。彼はまた、市民社会や公共の道徳的な結びつきの重要性についても論じ、アメリカの成功に対する洞察的な見解を提供しました。

その他にも、トクヴィルは多くの政治著作やエッセイを執筆し、その中で社会の変化や政治のあり方に対する見解を示しました。

●トクヴィルの『アメリカの民主主義』の概要

『アメリカの民主主義』は、アレクシ・ド・トクヴィルが1831年から1832年にかけて行ったアメリカ旅行の成果をもとに執筆された著作です。

アメリカ社会の観察

アメリカ合衆国を訪れ、その政治体制や社会構造、文化について詳細に観察しました。

平等と個人主義

アメリカの特徴的な要素として平等と個人主義を強調しました。彼はこれらがアメリカ社会の基盤を形成していると考えました。

民主主義の利点と危険性

トクヴィルは民主主義の利点と同時に、専制政治への転落や個々の自由の喪失といった危険性も指摘しました。彼はバランスの取れた民主主義の重要性を探求しました。

市民社会と公共の道徳

市民社会と公共の道徳が民主主義社会の健全な機能に不可欠であると認識し、これらの側面に焦点を当てました。

政治制度の分析

アメリカの政治制度についても詳細に分析し、地方自治体や連邦政府の機能に関する見解を提供しました。

『アメリカの民主主義』は、アメリカ合衆国における民主主義の理解と、その他の国々における政治体制の発展に対する洞察的な考察として高く評価されています。

●民主主義の多数決について

トクヴィルは民主主義の多数決に対して二重の視点を持っていました。一方で、多数決が政治的意思決定の一形態であり、広範な参加を反映していると認識していました。しかし、同時に、多数決が個々の権利や自由を無視する可能性があるとも警告していました。

"彼は、多数決が単なる数の支配に陥り、少数派の権利が侵害されることを危惧しました。

そのため、単なる数の支配による専制を避けるためには、市民社会や公共の道徳が重要であり、個々の権利を保護する仕組みが整っている必要があると考えました"

トクヴィルは民主主義においてもっとも重要なのは「尊重」であり、多数決だけではなく、異なる意見や少数派に対する尊重が必要だと強調しました。このようなバランスのとれたアプローチにより、彼は専制を回避しながらも自由で公正な社会を築く可能性を探求しました。

数の理論で政治資金にものを言わせ、多数の議員を抱え込み、聞く耳を持たない政権を民主主義政権などとは呼べないかもしれない。

1830年代にもかかわらず、トクヴィルは現代に通ずる民主主義の問題点を見抜いていたのであります。