ミチヨは27才。ある大手グループ 企業の子会社で営業事務をしている。


正社員になれる会社にこだわった。

他にとりたてて自立つ所のない自分をよくわかっているから、せめて正社員であることにプライドを持ちたかったからだ。


 東京に出てきたのは大学がきっかけだった。

特に何かやりたいことがあったわけではないが、とにかく東京に出たかった。


はっきり言ってしまえば、カッコつけかもしれない。


もしくは、「大学受験するなら東京にいくのが当たり前」という親や学校の無意識に、自分が流された結果なのかもしれなかった。


もっともミチヨ自身そのことに気付いたのはごく最近のことだ。



働きはじめてすぐ、自分の選択には疑問を感じていた。


高校生のころは、世界の貧困や、環境問題を解決したり、困っている人の役に立てる仕事がしたいという漠然としてはいるが希望があったし、自分でもそういうことができるだけの能力を持っていると信じていた。


だが、受験という現実にぶつかると、そういう高尚な仕事を担うのはすべて学力の高いものだけであり、


勉強がさして得意でなく、科学的な発明などもできない文系のミチヨには、平凡なOLになる道しか残されていないということがわかった。


人の役に立ちたいとはいっても、ヘルパーとか、看護師など、過酷な条件であることが予想される職種に、進んでいくほどの使命感は持ち合わせていなかった。


自分にそれが続けられるという自信もなかった。





結局、そこそこの収入と、プライドを満たすための選択しかできていない自分―――。


そんな自分のふがいなさに、このごろのミチヨは苛立ちを感じていた。。。