間接照明
木製の古い置き時計のような色合いの壁
ずらっと並ぶ様々なサイズの砂時計
中身が謎の缶の樽
手動で入れ替えられるおすすめの品
メニュー欄に載せてもらえなかった二種類のケーキの紙
少し古い紙コースター
とぼけたお店の名前
それらに溶け込む店員と客。
吐き出す煙がとても美味しそうに見えた錯覚が起きた。
はっと景色にトリップしていた。
危ない。
子供の頃"ため息をすると幸せが逃げる"という話を聞いてからため息しないようにしていた。うっかりしてしまった時は5秒以内に吸って飲み込んだらセーフという自分ルールを作り実行していた。
ため息を吐く時はマイナスな感情のイメージがぱっと思い浮かぶ。
失敗した時、がっかりしている時、落ち込んでる時、面倒くさいと感じている時、疲れている時などなど。
確かに、そうかもしれない。
が、ここ数年ため息へのイメージが変わった。
確かに不意に吐き出すため息はしんどいなと思う時が多いけれども、一度5秒以内に吸い込むルールを破ってみた。ため息を吐ききった時、なんだかすっとした。
多分、単純に大きく吸って大きく吐くだけの行為なんだ。ため息という意味はとりあえず置いておいて。
だから、普通に大きく吸って吐ききっただけの行為と考えたら単純にすっと落ち着いたのだ。
どれだけ日々、意識せず呼吸をしているか。短いか長いかもわからない呼吸を日々しているのか。
ゆっくりため息をして"しまった"ら、すごく時間がスローになったような。一旦休憩できたような感覚に。
もうこれは自分がどう思うかの感覚とルール次第でなんでもいいのだ。
ため息じゃなく、深呼吸だ、と。
そしてもう一つ。
プラスなため息もあるんだなと思った。
いい意味でため息が出る瞬間があった。何だか心が満たされて、とても自分に栄養が行き渡るなぁと感じた時。
風呂に浸かった時に出る「はぁ〜」も同じなのかな。
ずっと悪いイメージでいた事を申し訳ないと思う。