スーザン・ソンタグはアメリカの女性作家、批評家です。

 シカゴ大学卒業後ハーバード大学で修士号を取得し、雑誌の編集に従事し諸大学で哲学を講じました。

 ”スーザン・ソンタグ 「脆さ」にあらがう思想”(2023年10月 集英社刊 波戸岡 景太著)を読みました。

 1960年代のアメリカで若きカリスマとなり、今年生誕から90年を迎えいまでは忘れかけられている批評家スーザン・ソンタグの生涯を紹介しています。

 処女作は1963年の小説『恩恵者』 です。

 以後、1966年に『反解釈』 1969年に『ラディカルな意志のスタイル』1977年に『写真論』、1979年に『隠喩としての病い』 などを発表しました。

 かつて、反解釈・反写真・反隠喩で戦争やジェンダーなど多岐にわたる事象を喝破しました。

 波戸岡景太さんは1977年神奈川県生まれ、千葉大学を卒業し慶應義塾大学大学院文学研究科博士後期課程を修了しました。

 明治大学理工学部講師、准教授、教授を歴任しました。

 現在、明治大学大学院理工学研究科 建築・都市学専攻 総合芸術系教授を務めています。

 アメリカ文学者で、博士(文学)〈慶應義塾大学〉、専門はトマス・ピンチョンを中心とした現代アメリカ文学・日米比較文化論です。

 スーザン・ソンタグは1933年に東欧ユダヤ系移民の父母の元にアメリカ国籍者としてニューヨーク市で生まれました。

 父親は中国で毛皮の貿易会社を経営していましたが、5歳の時に結核で死去しました。

 その7年後、母は同じ東欧ユダヤ系のネイサン・ソンタグと親密関係になりました。

 正式には結婚はしませんでしたが、スーザンと妹は義父のソンタグ姓を名乗るようになりました。

 ソンタグはアリゾナ州ツーソンをへてカリフォルニア州ロサンゼルスで育ちました。

 15歳でノースハリウッド高等学校を卒業後は、学部生としてカリフォルニア大学バークレー校で学び始めました。

 のちシカゴ大学に転校し、学士号を得て卒業しました。

 ハーバード大学大学院、オックスフォード大学のセント・アンズ・カレッジ、パリ大学の大学院でそれぞれ哲学、文学、神学を専攻しました。

 大学院修了後、アメリカユダヤ人委員会の機関誌の編集者となったのち、コロンビア大学などで哲学講師となりました。

 そのかたわら、1963年に作家デビューし、1966年には初の評論集を出版しました。

 ソンタグは30年間、進行性乳癌と子宮癌を患っていました。

 2004年12月28日に骨髄異形成症候群の合併症から急性骨髄性白血病を併発し、ニューヨークで71歳で死去しました。

 生涯を通じ、アメリカを代表するリベラル派の知識人でした。

 ベトナム戦争やイラク戦争に反対するなど、人権問題についての活発な著述と発言でオピニオンリーダーとして注目を浴びました。

 ソンタグは写真や映画といった映像文化に造詣が深く、ジェンダーやセクシュアリティの問題にも敏感でした。

 かつまた、結核やがんといった病のイメージについても熱心に議論しました。

 そして、ベトナム戦争以後、9・11に至るまでずっと社会問題に反応し政治的な発言を続けました。

 ソンタグは、「批評家」「作家」「評論家」「映画監督」「活動家」などの肩書きをもつマルチな才能をもった文化人でした。

 ソンタグと同じくらいメディアに注目された知識人は今も昔も存在します。

 ソンタグは自身の輝かしい学歴に背を向け、刺激的な内容を絶妙な文章に磨き上げました。

 けれども、メディアを利用しても決してメディアに踊らされることのなかった人はとても珍しいです。

 2004年にソンタグが亡くなってから20年近くが過ぎようとしています。

 今、世界的な評価の高まりとは裏腹に、日本ではその名を耳にすることが減ってきたように思われます。

 それはソンタグが背負ってきた1960年代的なアメリカの「カッコよさ」が、今の日本ではあまり魅力的ではなくなったことも理由の一つかもしれません。

 あえて一般的な感情を逆撫でする政治的立場を表明してみせたりした、1970年代以降のもう一つの「カッコよさ」も、流行らないかもしれません。

 しかし、そうした傾向はあくまでも、「今の日本では」ということに過ぎません。

 ソンタグの精神的成長の記録というべき著作群は、読み方さえ理解すれば、明日を生き抜くための最高のツールとなるはずです。

 本書を通じて、ソンタグの挑発する知性とあらがいの思想が、厳しくも慈愛に満ちたものであることに気づいていただければ幸いですという。

誰がソンタグを叩くのか/「キャンプ」と利己的な批評家/ソンタグの生涯はどのように語られるべきか/暴かれるソンタグの過去/『写真論』とヴァルネラビリティ/意志の強さとファシストの美学/反隠喩は言葉狩りだったのか/ソンタグの肖像と履歴/「ソンタグの苦痛」へのまなざし/故人のセクシュアリティとは何か/ソンタグの誕生/脆さへの思想

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