書籍や雑誌等、紙の出版物の販売額は、再販制度や委託制度に支えられ、出版業界は1900年代後半まで順調に発展を遂げてきました。
しかし、ピークの1996年を過ぎると紙の出版物の売上は減少し続け、特に雑誌の売上の落ち込みは業界の大きな課題となっています。
”拝啓、本が売れません”(2018年3月 KKベストセラーズ刊 額賀 澪著)を読みました。
平成生まれのゆとり作家が直面した出版不況の現実の中で、いかに自分の本を売っていくかについて探ろうとしています。
書店員、ライトノベル編集者、ブックデザイナー、Webコンサルタント、映像プロデューサーなど、出版業界だけでなくさまざまな業界で活躍するキーパーソンを取材しています。
額賀 澪さんは1990年茨城県行方市生まれで、私立清真学園高等学校、日本大学芸術学部文芸学科を卒業しました。
高校時代に第22回全国高等学校文芸コンクール小説部門で優秀賞を受賞、日本大学芸術学部在学中に第24回舟橋聖一顕彰青年文学賞を受賞しました。
大学卒業後、広告代理店に勤務し、会社員として働くかたわら、2015年に第22回松本清張賞、第16回小学館文庫小説賞を受賞しました。
2016年末に広告代理店を退社し、現在、作家業のほか、フリーライターとしても活動しています。
書籍や雑誌等、紙の出版物の販売額は、過去5年以上、書籍の市場規模は減少傾向をたどっている一方、出版点数は伸びつづけ、1点当たりの売上高が急激に減少しています。
市場の縮小に伴い、出版社や書店の数も年々減少しています。
本が売れなくなった原因については、さまざまな説がとなえられています。
たとえば、若者が携帯に小遣いを使い果たして本を買えないこと、若者の活字離れの傾向、新古書店が増えていること、公共図書館の無料貸し出しなどが挙げられています。
しかし、流通経路にも大きな変化が見られます。
高度経済成長期までは本は主に町の小さな書店で売られ、本の流通は小さな書店の店頭と御用聞きの二本の柱で支えられていました。
高度経済成長で人件費が上昇すると、本の流通は書店の店頭での販売だけに頼るようになり、大規模な書店が増えるようになりました。
さらに、近年、読書好きが書店に集まるのは当然だとはいえない状況が生まれてきています。
書店の規模が大きくなりすぎなかなか本を探し出せなくなり、出版点数が多すぎて店頭での回転が早くなり読みがいのある本もあまり出てこなくなったのです。
また、インターネット書店や電子書籍など、本を取り巻く環境の大きな変化があげられます。
インターネット書店は時間と場所を選ばすに商品が購入でき、ライフスタイルの多様化に合わせ年々拡大しています。
出版物についても、書店やコンビニエンスストアでなく、ネット書店で購入する読者が増えてきました。
電子書籍は、21世紀に入り日本での市場は拡大し続けています。
では、これからどうすべきなのかについては、今後、いろいろな試行錯誤が続いていくと思われます。
本書は、そのような試行錯誤の一つでしょう。
この本が、”面白そうじゃん、買おう”と思った方はどうぞこのままレジへといい、”興味ない、買わない”と思った方はこの本を棚に戻し他の本を手に取って、といいます。
そのまま書店を出ていかないでください。
本屋さんには、たくさんの面白い本があります。
この本はその中のたった一冊です。
世界は”面白い本”であふれています、と続きます。
これは、読書の楽しみ、読書の素晴らしさを思い出して、周囲にそれを伝えていく努力をしていこうというのでしょう。
登場人物は、平成生まれのゆとり作家・額賀 澪、へっぽこ痛風編集者・ワタナベ氏、作家になりたい額賀の同居人・黒子ちゃんです。
ワタナベ氏と、額賀の本をベストセラーにする方法を探して、本を作ることになりました。
ゆとり世代はお先真っ暗で、老後が不安で死にそうだといいます。
黒子ちゃんはまだ作家デビューはしていないけれど、大手出版社が主催するライトノベルの新人賞で結構いいところまで行ったことがあります。
二人は都内のワンルームのアパートでルームシェアをして暮らし、六万円の家賃を折半して暮らしています。
毎年100人を超える新人が生まれ5年後はほとんどが行方不明という厳しさの中で、二人は日々原稿と戦っています。
本書の執筆に関連して取材した相手は、
元電撃文庫編集長でストレートエッジ代表取締役社長の三木一馬氏、さわや書店フェザン店・店長の松本大介氏、株式会社ライトアップ・Webコンサルタントの大廣直也氏、カルチュア・エンタテインメント株式会社・映像プロデューサーの浅野由香氏、ブックデザイナーの川谷康久氏
です。
これらの方々との出会い、本のプロット、執筆、改稿、ゲラ、装幀、本が本屋に並ぶという過程が紹介されています。
はたして、本書はどれくらい売れるでしょうか。
序章、ゆとり世代の新人作家として/第一章 平成生まれのゆとり作家と、編集者の関係/第二章 とある敏腕編集者と、電車の行き先表示/第三章 スーパー書店員と、勝ち目のある喧嘩/第四章 Webコンサルタントと、ファンの育て方/第五章 映像プロデューサーと、野望へのボーダーライン/第六章 「恋するブックカバーのつくり手」と、楽しい仕事/終章、平成生まれのゆとり作家の行き着く先/巻末特別付録 小説『風に恋う』(仮)
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