語の由来を語源または語原といいますが、語の意味、発音、表記は時と共にしばしば変わるため、語源がいつも明らかとは限りません。
また、言語の起源を考えることにも繋がるため、すべての語源を明らかにすることは難しいです。
”ぷらり日本全国「語源遺産」の旅”(2013年3月 中央公論社刊 わぐりたかし著)を読みました。
ふだん何気なく使っている言葉が誕生したと言われる土地100カ所以上を旅して歩き、言葉の歴史や物語をつづった17話です。
わぐりたかしさんは1961年東京・広尾生まれ、桐蔭学園高等学校を卒業し、東北大学法学部法律科を中退しました。
そして、慶應義塾大学文学部通信教育課程を卒業し、大阪府立大学大学院経済学研究科博士前期課程を修了しました。
学生時代に、”アメリカ横断ウルトラクイズ”で放送作家デビューしました。
その後、ディレクターやプロデューサーも兼務しながら、幅広いジャンルで数々のヒット番組を生みだし、企画・構成・演出・プロデュースに携わりました。
世界でただ一人の語源ハンターとして、さまざまな言葉が誕生した由来の地たる語源遺産を訪ね、新聞のコラムなどに執筆しています。
べっぴんさんといえば、2017年度上半期放送のNHK連続テレビ小説のタイトルです。
“ベっぴん”の語源遺産を訪ねる旅のテーマソングは、植村花菜の大ヒットナンバー”トイレの神様”しかありません。
トイレには、それはそれはキレイな女神様がいるんやで、だから毎日キレイにしたら、女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで。
この曲のおかげで、“ベっぴん”という懐かしい言葉が現代によみがえりました。
べっぴんの語源遺産は、東海道五十三次の古田宿にかつてあった一軒の割烹店にあります。
べっぴんという言葉が大流行したのは、このお店に由来しているとのことです。
情報の出元は、明治22年に創刊された日本初の月刊グラフィックマガジン”風俗画報”です。
風俗画報は、江戸時代の風俗の考証や、東京の新風俗、地方風俗を主に紹介していて、貴重な史料となっています。
その第72号に元祖べっぴんの逸話が載っているといいます。
それはこんな話です。
古田宿にあった織清という割烹店が、江戸で評判となっていた鰻の蒲焼きを、自分の店の新しいメニューに取り入れようと考えました。
そして、職人を江戸からスカウトしてきて、安価で提供することにしました。
その売り出しの際、織清の主人が友人に相談しました。
店の前をいく通行人の目をくぎ付けにするような、気の利いた宣伝文句を看板代わりに掲げたいと思うのだが、何かないものだろうか。
すると友人は、しばし思案に耽っていたかと思うと、やおら筆をとり、頗別品、と漢字三文字をしたためたといいます。
作戦がズバリ的中し、鰻の蒲焼きは大ヒットとなり、頗別品は織清の記名物となりました。
この噂と評判は、たちまち東西に知れ渡りました。
このように面白い語源遺産を巡る旅は、楽しすぎてやみつきになるということです。
おまけに、旅をすればするほど日本が好きになります。
日本語が愛おしくなってくるのです。
大げさでもなんでもなく、日本に生まれてきてよかったなとさえ思うそうです。
語源を、机上のウンチクや雑学のたぐいだと思い込んでいるとしたら、大間違いです。
インターネットや雑学本を拾い読みして、知ったつもりになっていると、それこそもったいないとのことです。
いっしょに語源遺産の旅に出よう、と思わず誘いたくなるそうです。
語源は生きています。
各地にひっそりと息づいていると言ってもいいです。
日本全国の語源遺産を旅すれば、それを実感することができるでしょう。
普段、なにげなく使っている言葉が生まれた舞台はどこなのか、その背景にはいったいどんな物語が秘められているのか。
あたかも言葉のミステリーに挑戦する探偵にでもなったかのように現地を旅して、秘密のベールを一枚一枚、楽しみながら丁寧にめくっていきます。
するとそこには、驚くような出会いや発見のよろこびが待っています。
言葉の出来となった神話や伝承を発掘して楽しみ、言葉の奥深くに眠っている歴史や物語に出会い、ゆかりの海や川、野山を歩きます。
まつわる事物や人物、祭事や遺跡、神社仏閣などを訪ね、自分の目で見て、自分自身で体験しながら、地元の方々とじっくりゆっくりコミュニケーションをとります。
のんびりまったり、よもやま話をします。
そうすることによって、語源は単なるウンチクや雑学をはるかに超えて、この国に生きてきた、そして生きている人々の生活や心情に思いを馳せる魔法の鍵となります。
土地土地で出会う言葉の物語は、時には人生を振り返らせ、日々の生活を見直すきっかけになることすらあります。
心温まる希望や驚きに満ちあふれたストーリーもあれば、涙にむせぶ悲劇に出会うこともあります。
なかにはとびっきり美味しい話もあります。
気がつくと、日本を再発見する旅をしているのだなと、つくづく思うそうです。
本書は、厳選した十ヒの言葉、十七の旅にご案内します。
1.べっぴん-「べっぴん」は、鰻の蒲焼きだった
2.やぶ医者-語源の地で、ホンモノの「やぶ医者」とご対面!
3.十八番(おはこ)-発見!團十郎もびっくり「十八番」の「お箱」
4.トロ-名付け親は、三井物産の係長、安達一雄さん!
5.タニマチ-大阪・谷町筋で、元祖タニマチの外科医を発見!
6.春一番-島に刻まれた「ハルイチ」の悲劇とは
7.折紙付き-鑑定家のルーツ、本阿弥家で語源大スクープ!
8.太鼓判-太鼓判の直径は、わずか一・五センチだった\\!
9.金に糸目を付けない-破格の八百円で「糸目」をゲット!
10.ぎょっとする-由来となった「虎」の背中をこすってみると...
11.ろれつが回らない-京都・大原は「ろれつ」のふるさとたった!
12.銀ブラ-元祖「銀ブラ」には、正しい道順があった!
13.感謝感激-足かけ二年の大旅行で「神の宿る島」ヘ!
14.うんたらかんたら-それは、宇宙と交信する呪文だった!
15.濡れ衣-悲しくも切ない二つの「濡れ衣物語」
16.しっぺ返し-特別公開、これが「しっぺ」だ!
17.完璧-古代史の謎…完璧の語源「玉璧」ってナニ?!
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