日本経済はいまどうなっているのでしょうか。

 ”日本がわかる経済学”(2014年9月 NHK出版刊 飯田 泰之著)を読みました。

 日本経済の仕組みを知るという、NHKラジオビジネス塾の番組の内容を書籍化したものです。

 ビジネスシーンに活かすことを目的として、ビジネスに密接に関わる日本経済の仕組みや政策をわかりやすく解説しています。

 NHKラジオビジネス塾は、35歳からのスキルアップを目的として月替わりでテーマを設け、中堅社員に向け仕事を進めていく上で必要な知識や情報を、様々なアングルから提供していく番組です。

 飯田泰之さんは1975年東京都生まれ、海城中学・高校、東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学しました。

 2003年駒澤大学経済学部現代応用経済学科専任講師・准教授を経て、2013年明治大学政治経済学部経済学科准教授を務めています。

 ”日本経済の仕組みを知る”という番組は、2014年10月~12月に放送されました。

 GDPってなんですか?、物価ってなんだろう?、経済は三本の脚で成り立つ、景気ってなんだろう?~統計から景気を読み解く~、

 移す・積む・慣れる~成長のための3つの方法~、競争市場はもう存在しない?~差別化と価格硬直~、有効な財政政策と無効な財政政策、金融政策って何をすること?、

 資産価格と安心、景気の”気”は気分の”気”、ビジネストーク”日本の経済政策と企業”(前編)、ビジネストーク”日本の経済政策と企業”(後編)でした。

 経済学の理論は、大まかにミクロ経済学とマクロ経済学に分類されます。

 ミクロ経済学は、個人や企業といった、何かを決める最小単位の経済活動から出発して、ボトムアップ式に、経済全体を語り起こしていこうとする経済学の分野です。

 経済学という思考法の基礎にあたるのが、ミクロ経済学といってよいです。

 このような特徴を持つミクロ経済学を学ぶことは、スポーツで言えば基礎練習、武道でいえば”型”を身につける訓練に似ています。

 この型を身につけておけば、少なくとも合格点は取れるという、ビジネス思考の型を身につけ、それを実戦の中で磨き上げていく方が、成果は得やすくなると考えられます。

 これに対して、マクロ経済学は、一国、ときには世界の経済全体を対象とする経済学の分野です。

 たとえば、日本国の景気、失業、経済成長率、インフレ率など、経済全体に共通する指標が、どのように推移していくか、また、お互いにどのように影響し合っているか、といったテーマを扱います。

 ビジネスや日常の生活とはあまり関係ないのではないか、と思われかもしれませんが、自分たちを取り巻く状況に応じて、とるべき行動、効率的な選択は変わってくるはずです。

 たとえば、経済全体が好景気に向かって拡大していくとき、どのような投資に力を入れるべきでしょうか。

 今自分たちが置かれている状況を知らなければ、いくら多彩な型・技を知っていても、それを有効活用することはできません。

 私たちが生きていく上で知っておくべき、戦場の情報=自分たちは今、どんな場で戦おうとしているのか、を把握するのに役立つのが、マクロ経済学の知識です。

 経済政策はマクロの経済環境に大きく影響しており、経済学の知識は民主主義下の国民の必煩知識です。

 本当は、1970年代から需給バランスを重視した経済政策をとるべきだったのに、たまたま国際環境の変化や企業努力などによって、上手く乗り切れてしまっていました。

 そのため、ここまでの日本は、需要管理政策=マクロ経済政策を軽視してきました。

 そのツケが回ってきた1990年代、需要が不足することによって、売れないからつくらない、つくらないから企業は人を雇えない、雇用が悪化するから、ますます需要が不足する、という悪循環に陥っていきました。

 そのとき、政府は有効な対策を講じられませんでした。

 長引く不況の中で1990年代の日本企業が陥った罠が、短期的な収益を上げるために人を切るという方法でした。

 企業がリストラを推し進め、海外生産の比重を高め、人件費を浮かせて、少ない売り上げで利ざやを確保するというのは、確かに合理的な面もあるかも知れません。

 しかし、このような収益確保の方法は、企業にとって、さらには日本経済にとってタコ足配当です。

 自分の足を食べて一時しのぎをしたところで、長期的には自滅への道です。

 不幸にも、多くの日本企業は、この状況から脱却するのに時間がかかってしまいました。

 2013年以降、わずかではありますが明るい兆しが見えるようになってきました。

 人を育て、その育てた人が、また自分の会社に貢献してくれるようになるという、働き手と雇う側がWIN-WINになるような関係の構築が求められています。

 働くこと、人を雇うことの位置づけが変わることこそが、現代の日本に必要とされているのではないでしょうか。

第1講 豊かさを表す数字を知ろう!-”GDP””物価””景気”
第2講 政策は幸福のためにある-”幸福の経済学””経済政策”
第3講 成長はこうして生み出す!-”経済成長””価格硬直性”
第4講 景気対策はどう効くか?-”財政政策””金融政策””資産価格”
第5講 分配システムはどうあるべき?-”効率と平等””年金”
第6講 経済学で人を動かす!-”割引率””アーキテクチャの力”
第7講 人口から日本の未来を考える-”これからの企業””これからの都市”
第8講 私たちはどこに立っているか?-”戦後の日本経済史”