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社会人になりたての頃。
僕は「頑張りすぎること」が
素晴らしいことだと思っていた。
「徹夜こそ、
最高のソリューション！」
※ソリューションとは、問題解決の意
そんな謎の呪文を唱えながら、
連日、朝日を会社のデスクで迎えていた。
はっきり言って、身体は悲鳴をあげていた。
リアル・ホーンテッドマンションだった。
腰は痛いし、肌もボロボロで、
口の中は口内炎だらけ。
きっと僕を作る３６兆個の細胞は、
「この身体、
とんだブラック企業だぜ」
と嘆いていたことだろう。
それでもそうやって、
「根詰めながら働くこと」
＝「仕事ができる」
と、謎の方程式を自分の価値観にしながら毎日を送っていた。
何度、レッドブルで
自分に翼を授けた分からない。
その価値観が変わったのは、
ある友人の一言だった。
目の下にクマを二頭も飼っているのを見て、
会った瞬間に何かを察したのだろう。
なんの文脈もなく、
「ちゃんと休みなよ」
と僕に向かって言い放った。
僕は間髪入れずに、
「いやいや、徹夜こそ、
最高のソリューションですし！」
と謎のテンションで返した。
なぜなら、自分の価値観を、
友人のそんな些細な一言で
変えるわけにはいかないからだ。
すると、友人はさらに続けた。
「いや、別に頑張って働くことが
いけないと言ってるわけじゃない。
ただ、そもそも論だけど、
人間はどれだけ休まないで
頑張ろうとしても、
どうせ休むハメになるんだよ。
身体はそういうふうにできてる。
だったら今、休めよ」
友人が言いたいのはつまり、
「休むのを我慢して働いても、
極限までいけば
どうせ休む（強制終了）ことになる。
だったら、今休んでも一緒だろ？」
ということだ。
なんとも痛快な一発。
僕の価値観が、価値観だけに、
カチッと変わる音がした。
思い返してみれば、当時の僕はミスだらけで、
上司に怒られまくっていた。
ミスの原因は何を隠そう、
寝不足による「集中力の欠如」だ。
僕が社長だとして、
「いっぱい休むけど、
成果もばっちり上げる社員」
と
「眠気をこらえながら必死に頑張るけど、
ミスだらけの社員」
がいたら、どう考えたって、前者にたくさんの報酬を与えたい。
そして、今なら分かる。
僕は明らかに後者だった。
日本人の僕が言うのもなんだけど、
日本人は頑張って働きすぎだと思う。
「今、休め。
どうせいつか休むハメになる」
そんな日本人に、このひと言を届けたい。
今、休むことを怠ると、
最悪の場合、
永遠のお休みになることだってあるのだ。
僕は友人からもらった「そもそも論」により、一気に働き方をこう変えた。
「全力で休む！
全力で働くために！」
そう考えると、
「休むこと」も仕事の１つではないだろうか。
「頑張りすぎ」ばかりが、美談のように捉えられがちだが、
「休みすぎ」てもいいじゃないか。
緊急事態宣言も発令されたことだ。
「頑張るな日本」でいいじゃないか。
ちなみに褒められたもんじゃない、
僕のサボり方を披露して、
今日を締めたいと思う。
冬の会社の中で、
一番身体が休まる場所は便座だ。
ホット便座に座りながら、ウトウトと。
会社の中で、
あんなにもぬくぬくと暖をとれる場所は、
便座を差し置いて他にあるだろうか。
いや、ない。
実は、便座の上でサボっている時に思いついた
書籍のタイトルも数知れず。
もしかすると、便座は宇宙と交信できる場所なのかもしれない。
同じ会社で働く男性社員の皆さん。
トイレの中でいつまで経っても開かない扉があるとしたら、
それはトイレの花子さんではない。
私だ！
便座こそ、最高のソリューションである。
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