<「大国主命2・・・赤貝比売と蛤貝比売」 >
「八十神(大勢の神)」は「八上比売」に求婚するのですが、「八上比売」は従者として連れてきていた「大国主命」に嫁ぐと言います。怒った「八十神」は・・・
「兎」の言った通り、「八上比売」は「八十神」に答えて「わたくしはあなたたちの言う事は聞きません。「大国主命」と結婚しようと思います」と言いました。そこで「八十神」が怒って、「大国主命」を殺そうと相談して「伯耆の国」の「手間」の山本に行って言いますには、「この山には「赤い猪」がいる。わたしたちが追い下すからお前が待ちうけて捕えろ。もしそうしないと、きっとお前を殺してしまう」と言って、「猪」に似ている大きな石を火で燒いて転がし落しました。そこで追い下して取ろうとする時に、その石に焼きつかれて死んでしまいました。
そこで「母の神」が泣き悲しんで、天に上って行って「神産巣日神」のもとに参りましたので、「赤貝比売」と「蛤貝比売」とを遣って生き還らしめなさいました。それで「赤貝比売」が汁を搾り集め、「蛤貝比売」がこれを受けて母の乳汁として塗りましたから、りっぱな男になって出歩くようになりました。
(「武田祐吉訳 古事記」より)
【 「季節の旅人」の“探検日誌” 】
「兎」の言った通り、「八上比売」は従者として連れてきていた「大国主命」を選びます。「兎」の予言は的中するわけですが、この「兎」は縁結びの「兎神」として、「白兎神社」の主祭神に祀られています。
「八十神(大勢の神)」は「大国主命」に対して怒り、殺そうと計ります。そして、「手間」に至り、この山「赤い猪」がいるとし、それを負い下すから捕まえろと指示します。そして、「猪」に似た「石」を火で焼き、転がり落とします・・・「大国主命」は捕まえようとし、その「石」に焼きつかれて死んでしまいます。・・・ここで、「手間」は現在の「鳥取県西伯郡南部町天萬」(米子市の南に位置します)とされています。
《「赤猪岩神社」》・・・「手間」の地元の言い伝えでは、「大岩」は
この神社の裏にある膳棚山(宍道山)から落とされたとされます。
しかし、この神社は元々は「要害山(手間山)」の山頂にあったらしく、
明治時代に膳棚山山麓に移されているので真偽のほどは分からない
とか。(鳥取県南部町)
(オンライン画像より)
※また、言い伝えでは、「大岩」がたたりを起こしたため、土中に
埋め、平石でふたをしたとのこと。その「ふたの平石」がこの
神社の境内で見られるとのことです。
(オンライン画像より)
「母の神」は悲しみます・・・この「母の神」は「大国主命」の母親ということでしょうから、「系譜」によれば、「刺国若比売」ということになりますね・・・その「母の神」は天に上り、「神産巣日神」(出雲系の神を支援している神)(古事記の世界(26)参照)に生き返させることをお願いしたようです。
「神産巣日神」は「赤貝比売」と「蛤貝比売」を派遣して「大国主命」を生き返させるよう指示します・・・「赤貝比売」が赤貝の汁を搾り集め、「蛤貝比売」がこれを受けて「母の乳汁」として塗ると、「大国主命」は立派な男に生き返ります・・・これは古代の火傷の療法を表しているとのことです。
ところで、「赤貝比売」と「蛤貝比売」のその後ですが、「出雲風土記」に現れてくるとのこと・・・。
「赤貝比売」は、「島根半島」の北側の「加賀神崎」で「風土記」で言う「出雲四大神」である「佐太大神」を産みます。「佐太大神」は「出雲二宮 佐太神社」の主祭神として祀られています・・・「佐太大神」は「猿田彦命」と同一視されています。
《「佐太神社」》(島根県松江市)
「赤貝比売」が暗い洞窟で「佐太大神」を産んだ時、明るくしようと洞窟内を「金の矢」で射通し貫通させたとのこと・・・この洞窟を「加賀の潜戸」といい、現在でも観光地となっています・・・そして、貫通して洞窟内に光が入り明るくなったため、「赤貝比売」が「輝けり!」と喜びの声をあげたため、この地は「加賀」と呼ばれるようになったとか。
《「加賀の潜戸」》(松江市島根町)
( 島根観光案内より )
《「加賀神社」》(松江市島根町)
・・・「赤貝比売」が祀られています
( 島根観光案内より )
「蛤貝比売」は「法吉鳥(うぐいす)」に姿を変え、「法吉郷(現在の松江市法吉町)」に飛来し、その地に鎮座されたとのこと。
《「法吉神社」》(松江市法吉町)
・・・「蛤貝比売」が祀られています
( 島根観光案内より )
( 注記 )
※「浅学」のため、「間違い」や、「ピント外れ」が多いかと思いますが、温かい目で、この「探検記」をお見守り下さい・・・「間違い」は都度修正していきますが、興味のある方は、自分で専門書物を調べて下さいね。[出典:「角川文庫 古事記」「武田祐吉訳 古事記」「ウィキペディア」「ニッポニカ」など]
・・・次回は「大国主命3・・・根の堅州国1」












