石田質問~発達障害者への支援についてお伺いします。

 はじめに、秋田県発達障害者支援センターについてですが、文部科学省の「通級による指導実施状況調査」によると、全国で通級指導を受けている児童生徒のうち発達障害のある児童生徒は二〇〇〇六年で七、〇〇〇人余りでしたが、二〇一九年には七万人を超えており、発達障害者への支援は今後、ますます大きくなると考えます。

本県においては現在、支援拠点が一つであり、県北・県南から通うのは遠く不便であるので、巡回相談について継続を要望するとともに、身近で支援が受けられる環境づくりを進めていただきたいと思いますが、知事のご所見をお伺いします。

また、秋田県立医療療育センターについてですが、精神科医が9月末に退職され、これまで通院していた発達障害のある方やその保護者から大変困っているという声が出されております。

そこで、各方面に対する働きかけを積極的に行い、早期に精神科の後任医師を確保し、常勤医師による診療を再開してほしいと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

 

佐竹知事答弁~秋田県発達障害者支援センターは、全県を対象に、本人や家族等の相談支援を行っているほか、当事者が身近な地域で支援を受けられるよう、各地域において関係機関の連携体制の強化に向けた連絡協議会を開催しております。

また、巡回相談については、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により休止しておりますが、今後も引き続き実施してまいります。県立医療療育センターの精神科医については、児童精神科医という専門性の高さから後任の確保に苦慮しており、現在は非常勤二名による週一回の診療体制となっております。

県としましては、後任の常勤医師が早期に確保されるよう、適時状況を把握しながら、必要な支援を行ってまいります。

 

石田質問~次に、新型コロナウイルスについて、これまでの対策の検証や今後の対応についてお伺いします。

振り返りますと、我が国において初めて、この新型コロナウイルスという未知のウイルスが確認されて以来、間もなく丸三年という時間が経過しようとしております。

この間、我々は緊急事態宣言の発令による不要不急の外出自粛や学校の一斉休校など、社会経済活動において、かつて経験したことがないような制限や制約を何度も受けながら、日常生活を送ってまいりました。

知事ご自身としても、四選出馬を決断された背景には、まさにこの前例や慣例が通用しないコロナ禍に対して、知事としての職責を果たしたいとの思いがあったものと理解しておりますが、同時に、正解のないコロナ対策という意味では、大変苦慮されてきたことも多かったのではないかと思います。

同時に、我々は今、第八波の最中にあるのではとも言われておりますが、こうした時だからこそ、これまでの三年間を振り返り、その対策の成果や課題を検証し、万全を期して第八波に立ち向かい、社会経済活動を維持・継続していなくてはなりません。

そこでまず始めに、知事としてこの三年間の新型コロナとの戦いを振り返り、どういった点に最も尽力されてきたか、また、同時に最も苦慮されたことは何だったのか、その点をお伺いします。

その上で、知事は先日フランスを訪問され、大変物議を醸した発言もあったわけですが、その表現はさておき、真意としては諸外国と我が国のコロナ対策、感染対策と社会経済活動の両立のあり方といったことの違いを痛感した上での発言であったのではないかと私は受け止めております。

これまでの三年間の我が国、本県のコロナ対策を踏まえ、また、諸外国での対応を踏まえ、知事は今後の我が国のコロナ対策のあるべき姿をどのように考えておられるのか、ご所見をお聞かせください。そうした中、先般、政府においては第八波への対策を決定しましたが、私から見ますと、その内容はあまりにお粗末であり、「検討します」を繰り返すばかりで、巷では「検討使」と揶揄される岸田政権の、まさに決められない政治の象徴とも言える対策ではないかと感じます。

第八波に対する対策として、財源措置や具体的な支援を伴わない形で、都道府県知事に「医療非常事態宣言」などの発令権限を与え、旅行自粛などの行動抑制を求めることができるようにするという、言わば自治体丸投げの対策について、知事はどのように受け止めておられるのか、ご所見をお聞かせください。

佐竹知事答弁~世界保健機関がパンデミックに認定し、国内での感染が確認された初期においては、政府が緊急事態宣言を発出するなど、封じ込めが優先でありましたが、ウイルスの変異とともに流行と沈静化を繰り返し、現在に至っております。

 この間、私はウイルスの特性や感染防止策について、自らの知見を収集しながら、人命最優先の上で、感染拡大防止と社会経済活動との両立を進めることに尽力してまいりました。

 こうした中で最も苦慮したのは、新型コロナにかかる医療の提供をいかに安定的に確保するかであり、医師会等と緊密に連携をとりながら、医療ひっ迫を回避するために全力を挙げてきております。

 我が国のコロナ対策のあるべき姿については、病原性がオミクロン株より高くならないことを前提にすれば、今後現れる変異株に関する情報をいち早く収集・分析しながら、ワクチン接種の促進に加え、検査キットや治療薬の十分な確保などの対策を講じるとともに、一部の医療機関のみに負担がかからないよう、どこでも診療を受けられる体制を構築することにあると考えます。

 なお今般、国の対策本部が決定した新たなレベル分類や「医療非常事態宣言」などの対策の枠組みは、国が、感染症法上の位置づけはそのままに、水際対策の緩和や全国旅行支援の実施による人流の増加を促進している中で、外出自粛などのブレーキをかける判断は、都道府県に委ねるという点に疑問を感じており、先の全国知事会においても、この点について強く主張したところであります。

 今後は、国が、都道府県や専門家などと行う、感染症法上の位置づけを二類から五類への引き下げを含む様々な議論を踏まえ、変異株の特性や諸外国の状況といった情勢の変化に機敏に対応し、対策の抜本的な戦略を描き、リーダーシップを発揮していくことが肝要であると考えており、こうしたことについても、全国知事会と一体になって働きかけてまいります。

石田質問~次に、本県独自のコロナ対策についての検証と、今後の対応についてお伺いします。

本県では、令和二年度に第一弾のプレミアム飲食券を約四五億円分発行し、今年度には第二弾を七五億円分発行しており、総額一二〇億円分の飲食券を発行して、飲食店の支援や経済活動の活性化に取り組んで参りました。

第二弾の飲食券については、結果的に、想定よりも一か月早く完売したということで、売れ行きが好調であったという意味では大変喜ばしいことであります。

他方、この事業が県内経済や飲食業界にどの程度の経済波及効果をもたらしたのか、飲食業界をはじめ小売り・仲卸し、タクシー業界など関連業界の下支えに役立ったのか、その点を明確にすべきとも感じます。

まず始めに、このプレミアム飲食券の経済効果について県としてどのように分析しておられるのかお伺いします。

その上で、この飲食券が十二月の忘年会シーズンを前に売り切れてしまい、なおかつ、目の前に第八波が押し寄せてきているという状況下で、また客足が鈍るのではないか、過剰な自粛ムードが広がるのではないかという不安の声も聞かれております。

県として、プレミアム飲食券の販売が終了した後、どのようにして経済活動や消費行動を停滞させないようにするのか、飲食店等への何らかの追加的な支援を行うお考えはあるのか、ご所見をお聞かせください。

また、県職員や様々な業界団体に対し、忘年会などの実施については、過度な自粛や行動制限をしないように知事から呼びかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。併せてお伺いします。

佐竹知事答弁~本事業は、飲食店はもとより、食材や酒類等の卸売業者、タクシーや代行事業者などの関連業界の事業継続のための支援として実施したところであり、商工団体や業界団体等から概ね高い評価をいただいております。

また、プレミアム飲食店の加盟店を対象としたアンケート調査によると、飲食券による集客が見込めるため、テイクアウト商品の充実や新メニューの開発などに取り組むことができ、コロナ禍前の売上を上回った店舗もあることから、本事業の実施が事業者による新たな取組への挑戦にもつながったものと考えております。

具体的な経済波及効果については、今月三十一日の利用期間終了後に、前回同様、調査を実施することにしております。

今後の飲食関連事業者への支援については、感染防止と社会経済活動の両立を図る方針が浸透してきており、地方創生臨時交付金の使途も既に決定していることから、緊急的に実施してきた消費喚起策ではなく、事業者が自ら行う消費行動の変化を踏まえた取組を支援するとともに、デジタル化や生産性向上のための設備導入など、収益性を高める取組を支援し、持続的な企業活動を支えてまいります。

また、オミクロン株よりも病原性の高い変異株への置き換わりが起きないという前提においては、十分な対策がとられている会場で行うことや、三密を回避することに加えて、体調の悪い方には参加を見合わせていただくこと等によって、感染リスクをより低くできるものと考えており、県庁内はもとより各事業所等においても、過度に萎縮することなく、忘年会等の開催の可否を判断していただきたいと存じます。

石田質問~もう一点、現在政府が行っている全国旅行支援についても、県の考えをお伺いします。

現在実施されている政府の旅行支援により、全国的には宿泊・観光業において一定の経済効果が発生しており、本県の観光業界においても、この事業を歓迎する声も多くあります。

今月二十日までとされていた事業期間も、先日、年明け以降も延長することが発表されましたが、知事としては、この全国旅行支援事業の効果をどのように受け止めておられるのかお伺いします。

また、この全国旅行支援に合わせて、独自の上乗せ支援を行っている都道府県もあるようですが、やはり人情としては、そうした上乗せ支援がある地域に足が向くということもあるのではないかと思います。今後、本県として独自の上乗せ支援などを行うお考えはないものか、知事のご所見をお伺いします。

佐竹知事答弁~十月からの全国旅行支援の実施等により、県内の温泉地では全国各地から宿泊客が多く訪れているほか、秋田市内のビジネスホテル等においては、洋上風力発電の工事に加え、ミルハスで開催されるコンサートやコンベンションなどにより、宿泊の予約が取りづらい状況が続いております。

 全国的にも同様の傾向が見られ、国では年明け以降も全国旅行支援を継続するものの、「徐々に平時に戻していく」ことを念頭に、割引率を引き下げる方向で考えております。

 本県においても、国の方針に沿った形で事業を進めていくとともに、付加価値の高い宿泊サービスの提供に向けた施設整備等への支援のほか、インバウンドの再開を含めた様々な誘客の促進に取り組むなど、旅行支援が終了した後においても観光産業が持続的に発展できるよう、環境を整備してまいります。