本会議の討論原稿です。結果は15対27。自公の圧倒的な数で否決でした。

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 社会民主党の石田です。ただいま議題となりました請願第15号 「平和安全法保障関連法の廃止を求める意見書の提出について、賛成の立場で討論を行います。 

まず、忘れてならないのは9月17日、参議院平和安全特別委員会の動きであります。

鴻池委員長は、社民党をはじめ民主党、生活の党、日本共産党、維新の党、無所属クラブが反対する中、締めくくり総括質疑を省略し、怒号飛び交う中、「安全保障関連2法案」の採決を強行したのであります。

 当初の議事録を見ると採決の場面は「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」と書かれているだけで鴻池委員長の「可決」との宣言は明記されておりませんでした。

その後に「可決すべきものと決定した」と付け加えられたそうです。議事録の内容まで与党側の判断で決めることができるものなのでしょうか。全く理解ができません。

 安保関連法案については、多くの弁護士、有識者などをはじめとする、約8割の国民が「政府の説明は不十分」、6割近い国民が憲法違反であると答えております。こうした多数の国民の声を無視する形で強行採決されたわけであり、戦後70年、平和憲法の下、自衛隊が海外で外国人を殺すことも殺されることもなかった、日本の誇りが日本の民主主義が根底から壊され「戦争のできる国へ」と歴史を逆戻りさせる暴挙に怒りを覚えるものであります。

 憲法前文に「政府の行為によって 再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」とあります。憲法で政府とあるのはこの部分だけであります。このことは政府に戦争行為を二度とさせないと憲法の目的をはっきり表しているものであります。さらに第9条では、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とあり、わが国では、自衛以外にあらゆる戦争が出来ないことが憲法で明確に規定されています。

 

その上で第99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあり、真っ先に憲法を守らなければならないのは国務大臣であり今回の安保関連法の可決は、憲法を守る義務を負っている国会議員が「戦争のできる国へ」大きく舵を切り憲法違反を行ったと言えるものであります。過ちは正さなければなりません。

 先月、13日フランスにおける同時テロがおこり多数の市民が犠牲になりました。お亡くなりになりました皆様に心から哀悼の意を表しお悔やみ申し上げます。 被害に遭われた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

 

今回のテロを受けて、安倍首相を含む各国の首脳は、次々にテロの根絶を誓う声明を出しておりますが、今後、世界各国が空爆を行ってISの拠点を殲滅したとしても、テロは根絶できるでしょうか。フリージャーナリストの志葉玲氏は「何故、テロが起きるのか。IS的な過激思想に走る人間が出てくるのか。その根源には、「自由と民主主義」への絶望、そして憤りがある。「自由と民主主義」を標榜する国々こそが、暴力ではなく話し合いや法によって物事が解決するということを、率先して示していかないといけない」と語っております。

 銃口から平和は生まれません。

 今年1月シリアで、ISによって無残にも命を奪われた日本人ジャーナリスト・後藤健二さんは、生前シリアで空爆などによって、何の罪もない子供たちの犠牲が出ている現実を目にし、伝え続けてきました。

 「目を閉じて、じっと我慢。 怒ったら、怒鳴ったら、終わり。 それは祈りに近い。 憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。――そう教えてくれたのはアラブの兄弟たちだった」と残しております。

 日本にできること、日本がやらねばならないのは「戦争のできる国へ」向かうのではなく世界平和のために呼びかけることであります。

 広島・長崎へ原子爆弾を投下され十数万人が犠牲となった唯一の被爆国として、また戦争放棄をうたった平和憲法を持ち戦後70年間、戦争に巻き込まれず経済成長を遂げた国だからこそ、世界の戦争や紛争を止めよう、武器を捨てよう、核を捨てようと呼びかけるリーダーになれるのです。ならなければならないのです。

このことは日本にできる、日本にしかできない国際貢献でもあります。

 安全保障関連法の成立は日本でなければできない国際貢献を自ら放棄してしまうことにならないでしょうか。もっと視野を広げましょう。私たちのやらなければならないことは戦争法を廃止することです。

 今一度踏みとどまって再考する必要があります。本会議では満場のご賛同が得られますように期待し賛成討論を終わります。

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22日の本会議に提出した「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の合意内容についての情報提供と国会審議の徹底を求める意見書」の趣旨説明を以下のように行いましたが15対27で自公の圧倒的数の力で否決となった。秋田県農家の皆さんに、慎重審議を求めるささやかな願いもゆるされないような今日の出来事を知ってほしい。

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 社会民主党の石田です。ただいま議題になりました意見書案第15号「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の合意内容についての情報提供と国会審議の徹底を求める意見書」について提出者として趣旨説明を行います。

 10月5日に「大筋合意」が行われた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、日本では決着したかのように報道され、政府はTPP対策本部を設置し「総合的なTPP関連政策大綱」も発表されております。しかし、大筋合意の内容や今後に多くの問題を残しているものであります。

まず、今回の合意は「大筋合意」であって「最終合意」ではないことを知るべきであります。

今後、各国間で最終的な合意に向けた協定書が作成され、各国の署名を行い、さらにそれぞれの議会での批准が行われるものであります。そこまでスムーズに行くのかも未知数であります。

 政府は、TPP合意による農林水産物の生産減少額を3000億円弱と見込んでいるようでありますが東京大学の鈴木宣弘教授によると政府の見込みは「過小」であり、鈴木教授の試算では、1兆1千億円に上るというのであります。

 具体的には、TPP協定を締結することにより、輸入牛肉価格は2割程度下落し、それに並行して、和牛肉も低下することになり、豚肉についても4割程度の価格下落が見込まれ、牛肉と豚肉を合わせると、生産額は、約7400億円減少するとのことであります。

 牛肉・豚肉ともに、生産コストを市場価格が下回った場合は、政府と農家との拠出金が大幅に減少するため、いわゆるマルキン事業はありますが、関税収入が大幅に減少するため、財源がなくなることは確実視されている。コメについては、オーストラリアから8400トン、アメリカからは7万トンもの特別輸入枠が新設され、その影響による国内米価格の下落による損失は、1100億円に上ると予想されております。

コメや牛肉・豚肉などの重要五品目以外でも、これまで関税を撤廃していなかった農林水産物の約半数が関税撤廃となるなど、国内の農林漁業者に及ぶ影響は甚大であります。

 政府と学者の影響額の違いはどこから来るのか。交渉の内容を全面的に明らかにするべきでありますが、政府が発表している和訳の協定内容は少なく、全体の30分の一に過ぎないと言われております。これでは交渉の経過がわかりませんし、広く国民に説明をしようという意思が全く感じ取れません。

 合意内容を隠すことなく明らかにし、国会で慎重に審議を尽くすべきであります。また、今回の大筋合意の内容は、我国の農業と自給率に多大な影響を与えるものであり、「聖域が守られなければ、交渉から脱退も辞さない」との強い意志を表明した、2013年4月の衆参両院、農林水産委員会での「国会決議」に明らかに違反するものであります。

このような政府の態度では、県内農家が不安と怒りを覚えるのは当然であります。農家の声を国会に届けるため、意見書提出にご賛同を賜りますよう期待し、趣旨説明を終わります。