SAPIXの教材は、明らかなミスが少なく、また判明した場合、素早く生徒に告知されます。
そんな信頼できるSAPIXの教材と体制ですが、一点、気になる点がありました。
それは、社会で表記の不統一が見られたことです。
気付いたきっかけは、息子のこんな言葉でした。
「非核三原則って、教材によって表記が違うけど、結局どれが正しいのか分からない」
彼は、ある日の授業内テストで、テキストの表記に従い、「(核兵器を)作らず」と書いたところ、日本語としてはおかしいという理由で、誤答になったそうです。
その日は、クラスの多数のお子さんが「作らず」と書き、同じく誤答になったとのことでした。
ただ、過去には「作らず」で正解だったこともあり、先生によって正解の基準が異なるようでした。
話を聞き、教材を見ると、表記が複数存在します。
発表当時の「作らず」と、正しい漢字の「造らず」と、漢字を「つくらず」と開く表記です。
いずれも「正しい」上、社外制作の教材もあり、統一は困難かもしれないと思いました。
また、別の例には、「足尾鉱毒事件」と「足尾銅山鉱毒事件」があります。
こちらも、表記が混在したため、先生に確認しました。
先生のお話では、「表記が学校によって違うため、複数の表記を混在させています」とのことでした。
意図的な揺れのため、先生もどちらが正しいとは言えないようでした。
以上のことから、我が家は表記が複数ある場合、家庭で方針を決めることにしました。
この時活用したのが、山川の『日本史用語集』です。
定評ある用語集が簡略な表記なら、書く時間を考えても、基本的には「足尾鉱毒事件」で良いように思いました。
(少なくとも、素人の私が選ぶより、山川の表記に従うほうが、息子が納得できると思いました。)
なお、基準としては、教科書も使えると思いますが、塾の授業は公立小の授業に先行するため、教科書の配布が間に合わないことがあります。
また、中学受験の範囲は公立小の範囲を超えるため、範囲が広い『日本史用語集』のほうが、基準としては使いやすいように思いました。
最終的に、我が家では、表記について以下の方針で進めました。
1.表記が複数ある場合、家庭学習では、『日本史用語集』に従う
2.塾の授業内テストでは、その時の先生の方針に従う
(先生により方針が異なる場合はあるが、それぞれの方針に理由があり、それが入試の実態であるので、先生に文句を言わない)
3.授業外のテストでは、記憶の確かさや残り時間、優先順位を考慮し、以下の手順で表記を決める
1)漢字に自信がない場合、平仮名にする
(漢字指定の場合を除く)
2)時間に余裕がない場合、時間の掛からない表記にする
(少数派と思われる表記でも良いので、確実に書き終えられるほうを選ぶ)
3)表記で迷う時間は、他の問題に充てるほうが建設的なので、何十秒も迷わない
(学校により正解が異なると思われる表記を、確実に当てるのは無理なので、点を取れるところに時間を掛ける)
以上、表記の不統一について、我が家の対処法を記しました。
学習がスムースに進むよう、上の方針を決めましたが、実際の入試では、模範解答と表記が違っても、揺れの範囲内であれば正解になることも多いかと思います。
また、どの受験生も条件は同じなので、本番では、「自分が誤答なら、ほかの受験生も誤答になり、点差は開かない」と、楽観的に捉えても良いかと思います。
中学受験の社会では、上の例のほかにも、表記や見解の不統一が見られました。
そうした場合、用語集に限らず、何か基準を決めておくと、学習をスムースに進められると思います。
また、特に気になる場合、先生に確認すると、お子さまがより安心して学習を進められるかと思います。
(ご参考までに、非核三原則の件、参議院と防衛省のサイトでは、「持たず、作らず、持ち込ませず」とあり、NHK for Schoolのサイトでは、「持たず、作らず、持ちこませず」とあります。
また、『日本史用語集』では、「つくらず」とあり、頻出用語でも表記がまちまちなことが分かりました。)