先日、息子と数学や算数の話をしていたところ、彼がこんなことを言いました。



息子「『場合の数』に必要なのはね」

私  「うん」

息子「最後までやり抜く勇気なんだよね」


「場合の数」は、「ある状況で起こりうる全ての場合の総数」で、中学受験の頻出単元です。
(高校受験・大学受験でも出題されます。)


数々の「場合の数」に挑み、数え上げてきた彼の言葉に、私は「なるほどなあ」と頷きました。



彼は、算数については入試まで自走しましたが、それを可能にした本人の背景としては、以下の二点が挙げられると思います。


1.元々算数が好きであった

彼は、SAPIX入塾までは、算数の習い事には通っていませんでした。
ただ、『ドラえもん』を好きだったことから、『ドラえもんの算数おもしろ攻略』という学習漫画のシリーズを読むようになり、足し算引き算から応用問題まで、次々に手に取り読んでいました。
読み耽るその姿は、勉強をしているというよりも、純粋に娯楽として楽しんでいるように見えました。


そして、シリーズ読了後も再読し、SAPIX入塾後は、習った単元に関わる巻をさらに読み返していました。
彼の「算数好き」は、ドラえもんが育ててくれたと言っても過言ではないと思います。


なお、ドラえもんの学習漫画は他教科も充実していて、息子は当時の既刊を殆ど全て読了しました。 
特に、『ドラえもん科学ワールド』のシリーズがお気に入りで、こちらは中学受験理科の導入の役割も果たしてくれたように思います。


2.幼児期より、遊びを通して「やり抜く習慣」を身に付けていた

息子は、モンテッソーリ教育を採り入れた幼稚園に通っていました。
モンテッソーリ教育の特徴の一つとして、「子どもが『今』やりたいことに、納得できるまで取り組める環境を整える」というものがあります。


当時、幼稚園に彼を迎えにゆくと、先生が笑顔で、「◯◯くん、今日はこんなに沢山カエルを折ったんですよ」と、色とりどりの折り紙のカエルを渡してくださることがありました。
先生は、ほかの物を作ることを息子に促さず、彼の「今、カエルを折りたい」という想いを、尊重してくださったのだと思います。


私は、モンテッソーリ教育については素人ですが、幼稚園での様子を見て、「一つの活動を続けることに、意味があるのだな」と思い、家庭でも、息子が遊びや絵本に夢中になっている時は、声を掛けるのを控えました。


また、彼は中学受験の頃、MITのスクラッチ公式サイトで、簡単なプログラミングをして遊ぶのが好きでしたが、それに集中している時も、声を掛けるのは控えました。



モンテッソーリ教育の本によると、子どもの「今」やりたいことを尊重すると、子どもが「獲得したい力」と「自信」を身につけ、自身の「個」を確立し、のちの「自立と自律」に繋がるそうです。


『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』 2021年 すばる舎

“そうすることで、子どもが「今」やりたいことを満足のいくまでやることができ、結果として、獲得したい力を身に付け、満足感や自信を感じることに繋がります。” p36
息子は、一つの遊びに集中しても、納得すれば別の遊びに興味の対象を移してゆきました。
その繰り返しが、中学受験で難問に挑む「自信」と「やり抜く力」、「集中力」を育てたのではないかと思います。


彼は今も、好きなことについては集中力を発揮し、順調に成果を上げています。
(現在、私は彼の学習に直接関わってはいませんが、彼の話によると、この春休みに数Ⅰと数Aの学習を進めたそうです。)


一方、現時点であまり興味を持てないことについては、それなりの成果に留まっているようです。


それでも、全体的には良い成績を収めており、次の受験まではまだ時間もあることから、今は部活や趣味も含め、好きなことに好きなだけ取り組み、「個」の確立を優先して欲しいと考えています。



(自分自身を振り返ると、小中時代は漫画・小説・洋楽・深夜放送にどっぷり浸かっていました。
小学校で出会った友人がセンス抜群で、彼女が勧めてくれたスパイ漫画(『エロイカより愛をこめて』)や翻訳小説、洋楽等をきっかけに、世界史や英語に興味を抱き、その延長で大学の学部や部活、就職先を選びました。
一見、勉強に関わりのないことが、将来の進路選択に繋がりました。

友人は今、コンサルタントとして活躍していますが、地位を確立しても学ぶ姿勢を忘れず、会うたびに尊敬の念を抱きます。

息子も、中高で出会う友人と、互いに尊重し、尊敬し合える関係を築き、視野と興味の幅を広げてくれたらと願っています。)





参考; マサチューセッツ工科大学(MIT)
スクラッチ公式サイト(保護者向けの案内)