国語の伴走で、私が試行錯誤したのは、言葉の意味調べの手順でした。



一般に、小学国語辞典では、出版元に関わらず、共通のルールが適用されています。
それは、「語を定義する際、原則としてその語より難しい語は使わない」というものです。


一方、一般国語辞典では、このルールが小学辞典ほどは厳密に適用されていません。
また、一般国語辞典では、収録語数を増やすため、省略記号や参照送り等が多用され、意味(語義)を特定する手掛かりとなる例文(用例)の数も抑えられています。


よって、小学生が一般辞典で意味調べをすると、
「意味を調べたら、もっと難しい言葉が出てきた」
「やっと言葉を見つけたら、別の言葉に飛ばされた」
「意味が沢山あるけど、当てはまるものが分からない」
という、悲しい事態に陥りがちです。


さらに、現在の子どもたちは、親の世代に比べ、辞書指導を丁寧に受けていない場合も多いようです。
昔は、学校が国語辞典などを一括採用し、クラスの皆で一斉に同じ頁の同じ語を引く、という辞書指導が広く行なわれていましたが、今は、様々な事情から、そうした日常的な辞書の指導は難しいようです。
また、紙の辞書自体、使うのは小学生まで、というご家庭も多いでしょう。
(息子も、今はもっぱら電子辞書を使用しています。)


さて、そんな環境下、SAPIXでは5年以降、大人にとっても難しい語句が次々現れます。
 

(『最難関対策プリント』に出た「卑近」「跳梁」などは、6年生には馴染みの薄い言葉だと思いますが、まだこのレベルでは語注は付けてもらえません。語注は、「惻隠」「淵源」のレベルでようやく現れます。)


この、5年以降の意味調べをどうするか、私は随分長い間悩みました。


まず、小学国語辞典では、語句が足りません。

高校国語辞典でも、カバーできません。

そして一般国語辞典は、設計が不親切で、小5の息子が使いこなすのは困難です。


検討の末、私はまず、
「息子の解き直しの前に、教材中の難しい語を、私がWebの辞書で引き、あてはまる意味を欄外に書く」
という、語注を手作業で付ける方法を試しました。
(Webの辞書を選んだ理由は下記※の通りです。)


この方法では、息子が、
「難しい語の正しい意味を、素早く把握する」という、第一目標は達成できました。
ただ、私が辞書を引くため、彼のスキルは向上せず、自走に繋がらないのが難点でした。


そこで、続いて私は以下の方法を試しました。
「息子自身が解き直しの際、難しい語にマーカーを付し、それをWebの辞書で検索する。そして、正しいと思われる意味を欄外に書き込む」
息子が自分で語注を付ける方式です。


これは、息子が自分で語を引くため、時間は掛かりますが、辞書を引くスキルは身に付きます。


ただ、正しい意味を選べていない恐れがあるため、私のダブルチェックは必要でした。


上の方法で、徐々に息子は辞書の使用に慣れ、意味の特定も次第に上達してゆきました。





※Webの辞書は、種類によっては紙の辞書より例文が多く、意味の特定が容易です。また、類書の比較や画像の参照がしやすく、共起表現や類義語の検索も容易です。
(国語の入試に出やすい戦争時代の事物は、文章よりも画像のほうが理解しやすいことがあります。)

なお、紙の辞書、電子辞書、辞書アプリにもそれぞれ固有の利点(一覧性、網羅性、携帯性、手書き入力可、履歴表示可、オフライン使用可等)がありますので、ご家庭により、ベストな選択は異なると思います。







(次回に続きます。)